2008年 10月 17日
製造方法のデザイン
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「やけに語りだしたな・・・」という印象の新しいMacbook。今までのApple製品は、指でさっと触ったり、ポケットから出したり、封筒から出すだけだったが、ここまで語られると逆に語らなければ伝わらない製品なのかと勘ぐってしまう。パーツの製造方法(上YouTube動画)なんて、ユーザーにとってはどうでもよく、それによってどんな価値(ユーザーメリット)がもたらされるかが肝要なのだが。
ただやっていることは確かに常識外れだ。PCのような大量生産品における金属外装といえは、通常はプレス、押し出し、インゴットなど成型することを考える。これは一枚のアルミから削りだしているが、1台分作るのに果たしてどれほどの時間を要するのか。そして、これは当然コストにはねかえる。
とはいえ 「美しい」
通常のプロダクトデザイナーは抜きテーパを考慮し、外装の組立性も考慮しながら図面を引くものだが、彼ら(Apple)は最初から、製造方法をリ・デザインすることを前提にラインを引いている。そして、これが彼らのプロダクトデザインにおけるコアコンピタンスとなっている。Snow Whiteの頃(下写真)から、ダルな台形を嫌って全面スライド型は当たり前にやっていたし、メンテ性の悪化を前提にネジは決して表面に出さないようにしていた。基盤の色にも拘ったジョブスは逸話になっている。
ブランドに頼れないメーカーは、安値路線から外れるのは自殺行為そのもの。他メーカーが同じやり方をやろうにも出来ないことをわかってて、Appleはそれを確信犯的にやっている。数多ある製品の中で、全く新しい形を生み出すには”成型”という縛りから開放させるのが、実は極めて有効な手段なのだということをわかってやっている。
因みに前述の「美しい」は、プロダクトデザイン経験者として”恨めしさ”がこもっての感覚。一般のユーザーに伝わるかどうかは別問題、だからこそ彼らは語らなければならない。Macbookに関する冷ややかな反応は、こうした所に起因している。
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by isoamu
| 2008-10-17 23:53
| デザイン全般