2007年 08月 10日
日本デザインの特徴は・・・
|
先のエントリーの記述「ダッチデザインの特徴は自由な発想」だとすると、果たして日本はどうなのか気になるところ。
最近読んだ「普通のデザイン」(内田 繁)からポイントをいくつか抜粋しておきたい。
「海外に紹介される日本のインテリアデザインの多くは、他の国のデザインに比較して特徴的であるとことを認めざるを得ない」 出典:「普通のデザイン」内田繁
海外から帰ってくる度に、成田空港のインテリアの色調が極めてグレーッシュだと気づかされる。ローコントラストの淡い色調で展開されている。また、デザイン部門の色見本に、いかにグレーが多いことか。
「イタリアのデザインは極めてイタリア的であると私は感じますし、 ~中略~ フィンランドのデザインはフィンランド固有の文化に根ざしている ~中略~ デザインが地域それぞれに固有的であり特徴的であることは、世界的に見ても当然のことであるようです」 出典:「普通のデザイン」内田繁
一昨年のイタリア視察時、彼らが「イタリアであること」を常に意識してデザインしている事が印象的だった。ピニンファリーナにいけば「これはピニンファリーナか?」 フィアットに行けば「これはランチャか?」「これはアルファか?」 そして「これはイタリアか?」
なかなか言語化できずコントロール困難な領域だが、常に自ら問い続けている。そして、それが国際競争力に繋がると疑わない。
よく日本らしさは「狩猟民族=西洋」「農耕民族=日本」のように比較して語られる。長年培われた自然への対峙の仕方が、デザインアプローチに影響しているという。西洋にとって自然は、狩猟し搾取する対象である。日本にとって自然は、作物を与えてもらう尊ぶべき対象である。
「季節の微細な変化を捉え、動物や植物との一体感をもちながら洗練されてきました。そうした風土に生きる人々の意識は、「大地に身を負かせ、抱かれ、一体化したい」といった無意識の願望をはらんでいます。大地に甘え、共感し、寄り添う姿勢こそ、ごく自然な坐俗の生活であり、世界観です。決して自然と闘うことはありません」 出典:「普通のデザイン」内田繁
自然の微細な変化を感じとる感受性が、日本デザインのきめこまやかなディテールの処理、淡いトーンの中で展開されるカラーリングなどに反映しているという。
海外に行く度、日本の「カメラ」がいかに世界を席巻しているかを実感する。アムステルダムでたまたま隣に座った外国人の首からぶら下がっているデジカメが同僚のデザインであったり。カメラ店で販売されているデジカメは殆ど日本製。そして、高度な技術を小さなボディに詰め込み、コンマmm台のR形状を制御し、様々な表面処理が賑わうプロダクトを、あの大雑把(失礼)な西洋人に出来るとは到底思えない。
そして、故田中一光氏の言葉
「簡素が豪華に引け目を感ずることなく、その簡素の中に秘めた知性なり感性なりがむしろ誇りに思える世界、そういった価値体系を拡めることができれば少ない資源で生活を豊かにする事ができる。」 出典:MUJI AWARD
「簡素の中に秘めた知性なり感性」
これを感じとり、コントロール出来るのは、日本人の特色であり、アイデンティティであり、国際競争力であると思う。そして、地球温暖化を背景にこれから益々こうした感性は求められてくるのではないか。
「日本デザインの特徴は微細な感性」 かな?
_
応援のクリックを!
最近読んだ「普通のデザイン」(内田 繁)からポイントをいくつか抜粋しておきたい。
普通のデザイン―日常に宿る美のかたち
内田 繁 / 工作舎
スコア:
「海外に紹介される日本のインテリアデザインの多くは、他の国のデザインに比較して特徴的であるとことを認めざるを得ない」 出典:「普通のデザイン」内田繁
海外から帰ってくる度に、成田空港のインテリアの色調が極めてグレーッシュだと気づかされる。ローコントラストの淡い色調で展開されている。また、デザイン部門の色見本に、いかにグレーが多いことか。
「イタリアのデザインは極めてイタリア的であると私は感じますし、 ~中略~ フィンランドのデザインはフィンランド固有の文化に根ざしている ~中略~ デザインが地域それぞれに固有的であり特徴的であることは、世界的に見ても当然のことであるようです」 出典:「普通のデザイン」内田繁
一昨年のイタリア視察時、彼らが「イタリアであること」を常に意識してデザインしている事が印象的だった。ピニンファリーナにいけば「これはピニンファリーナか?」 フィアットに行けば「これはランチャか?」「これはアルファか?」 そして「これはイタリアか?」
なかなか言語化できずコントロール困難な領域だが、常に自ら問い続けている。そして、それが国際競争力に繋がると疑わない。
よく日本らしさは「狩猟民族=西洋」「農耕民族=日本」のように比較して語られる。長年培われた自然への対峙の仕方が、デザインアプローチに影響しているという。西洋にとって自然は、狩猟し搾取する対象である。日本にとって自然は、作物を与えてもらう尊ぶべき対象である。
「季節の微細な変化を捉え、動物や植物との一体感をもちながら洗練されてきました。そうした風土に生きる人々の意識は、「大地に身を負かせ、抱かれ、一体化したい」といった無意識の願望をはらんでいます。大地に甘え、共感し、寄り添う姿勢こそ、ごく自然な坐俗の生活であり、世界観です。決して自然と闘うことはありません」 出典:「普通のデザイン」内田繁
自然の微細な変化を感じとる感受性が、日本デザインのきめこまやかなディテールの処理、淡いトーンの中で展開されるカラーリングなどに反映しているという。
海外に行く度、日本の「カメラ」がいかに世界を席巻しているかを実感する。アムステルダムでたまたま隣に座った外国人の首からぶら下がっているデジカメが同僚のデザインであったり。カメラ店で販売されているデジカメは殆ど日本製。そして、高度な技術を小さなボディに詰め込み、コンマmm台のR形状を制御し、様々な表面処理が賑わうプロダクトを、あの大雑把(失礼)な西洋人に出来るとは到底思えない。
そして、故田中一光氏の言葉
「簡素が豪華に引け目を感ずることなく、その簡素の中に秘めた知性なり感性なりがむしろ誇りに思える世界、そういった価値体系を拡めることができれば少ない資源で生活を豊かにする事ができる。」 出典:MUJI AWARD
「簡素の中に秘めた知性なり感性」
これを感じとり、コントロール出来るのは、日本人の特色であり、アイデンティティであり、国際競争力であると思う。そして、地球温暖化を背景にこれから益々こうした感性は求められてくるのではないか。
「日本デザインの特徴は微細な感性」 かな?
_
応援のクリックを!
by isoamu
| 2007-08-10 02:03
| デザイン全般