2010年 12月 26日
お金のかからないバリアフリー
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バリアフリーは儲かる!
中澤 信 / PHP研究所
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車椅子ユーザーの友人によれば、近年は交通機関も随分アクセスしやすくなったという。「バリアフリー新法」(2006.12.20)では、すべての障害者を対象に含め、交通バリアフリー法における利用客数五千人以上という限定を外し、心のバリアフリーについても言及するなど包括的な取り組みに移行した。その成果によるところなのかもしれない。しかし、さらに対応を広げていくためには、自営業など資本のない民間でいかに現実解を出していけるかが今度の鍵となろう。トイレ、エレベーターなどの投資は、小さな事業主にとっては極めて大きな問題だ。
中澤氏の「バリアフリーは儲かる」ではハード、ソフト、ハートを組み合わせた具体的で柔軟な対応事例を示している。「階段にスロープが設置できなければ、インターホンで呼び出してもらえば良い」「エレベーターが設置できなければ、地上階で受付が出来るようスタッフが1階に来れば良い」など、今すぐに出来ることを提示する。そして、こうした人的対応は時に”より手厚いサービス”だとして顧客満足度向上につながることもあろう。
更には、より仔細にユーザーシナリオを拾っていく必要もある。例えば、トイレが狭くて使えないためお酒を我慢する車椅子ユーザーがいる。段差は人的介助で容易に対応できる。この場合、なにより友人と一緒にお酒を楽しむためのトイレ改修が肝要なのだ。
あるテレビ番組では「日本の競争力の源泉であった品質は”過剰”だとして海外市場から吐き出されている」という。視野狭窄にならず柔軟に、そして当事者の立場を忘れずに、適切にリソース配分していけるかどうか。今後の日本にはとても求められているように思うのである。
中澤氏には著書も頂き、そして今後もいろいろご一緒させて頂くことになった。コンサル業としてはヒヨッコの私にとって、きっと多くの学びがあると期待している。
by isoamu
| 2010-12-26 16:01
| ユニバーサルデザイン