2008年 01月 26日
観察
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出典元:先進企業レポート 三菱電機株式会社 ユーザビリティ評価室
私達は製品を操作する上でどこかしら戸惑うものだが、被験者を使ったユーザビリティ評価では、被験者に、その場で、その戸惑いの背景(=理由)を聞くようにしている。こうする事で操作性改善の方向性を抽出していく。
先日聴講した著名なデザイナーの講演会では「観察」の重要性が説かれていた。ユーザーは自分の行動を言語化できない。無意識にしている行動が殆どだという。そのデザイナーは、キッチンツールのデザインをするにあたって、自分自身の料理の行動をビデオカメラで撮影して観察したという。「何度も引き出しを開ける奴だ」と、自分では記憶に残っていない無意識の行動に気づかされるという。
某ユーザビリティ評価会社からは「御社はいろいろ質問しすぎる。そして、それで納得してしまうけど、被験者は嘘を言っているかもしれないんですよ。じっと黙って”観察”から課題を抽出するように心がけた方がいい」と。無意識にやっている行動は言語化できない。被験者は質問に答えようと、自分の記憶にある顕在化している事だけを都合よく構成して話しているかもしれない。
改めて「観察」への取組みを見直してみたい。
余談だが、どうもデザイナー間における「ユーザビリティ担当」に対するイメージが低い。某メーカーでは「ユーザビリティ担当になると、デザイナーとしては終わったと感じる」という。また私の同僚も「開発のお手伝い的関わりで達成感がない」という。しかし、それは自身が単なる評価者で甘んじているから、そう感じるだけだと認識しなければならない。私達は、新しい職能を作り上げているに相当することを成し遂げようとしている。高い壁であることは確かだ。しかし開発を引っ張る位の気概で、切磋琢磨し取り組んでいく必要がある。
「だめなユーザビリティ専門家はこんなレポートを出す。「ユーザ 1 は気に入ったが、ユーザ 2 はそうではなかった」。これではデザインチームには、たいして参考にならない。優秀なユーザビリティ専門家は、複数のユーザから”観察”した事項を組合せ、パターンを抽出し、デザインを導いていけるような概念的洞察に到達する。」
出典:ユーザビリティ専門家になるには
先に紹介した講演者の某デザイナーは「スタイリングを調整するのはデザインプロセスの最後の最後。それまでは徹底した”観察”から、いかに今までと異なる新たな視点を得られるかどうか」だという。
>デザイナー諸氏
デザイナーのキャリアパスとして、これからは「ユーザビリティ」が必須となりますよ。
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by isoamu
| 2008-01-26 21:40
| ユーザビリティ