2011年 04月 18日
「Social Material Design」と「Business」 Vol.1
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先日、デザイナー版プロボノ「In-House-Out」主催の”産業廃棄物ナイト”が開催された。「株式会社ナカダイ」より産業廃棄物を再商品化し流通させるという意義とその背景、多摩美術大学からは「ナカダイ×多摩美×AXIS 共同プロジェクト Social Material Design」の概要、そして会場に持ち込まれた産業廃棄物をワークショップ形式でラピッドプロトタイピングを行った。「ナカダイプロジェクト」については昨年の100%Designで展示されていたのでご存知な方もいらっしゃるかもしれない。
多摩美術大学の久保田先生は共同プロジェクトについて「再商品化するというのは、その素材を”見立てる”という行為。これはサスティナブルデザイン、ひいては日本の美意識に通じるもの」「廃棄されたものには使われていた頃の物語がある。そこに”再商品化”という新たな物語を紡ぐことに意義を感じる」「(産廃は)1度に大量にでるが、そのほとんどが1回きり。それは見方を変えれば”旬な素材”であり、それを活用した商品には希少価値(リミテッドエディション)が生まれる」「マテリアル(産廃)は随時公開し、それを活用した再商品化アイデアを募るが、そのアイデア自体(作り方)も公の財産として公開していく」など活動に対する思いが語られた。産廃、再商品化、アイデアの公開などすべての要素・プロセスに社会性があるということから「Social Produst Design」「Social Material Design」「Social Business」と「Social・・・」という呼称がつけられた
さて通常の商品販売ビジネスであれば、一定品質の材料を大量調達して、量産効果をもって原価を抑え、利益を確保する。結果、それが営業費・開発費(もちろんデザイン費)に分配される。前述のプロジェクトは、その社会性は誰しも認めるところだが、商品販売ビジネスという観点では果たして成り立つのか。不均一な素材が不定期に調達され、そのほどんとがハンドメイドで作られる。そこには構造的な課題が重くのしかかる。このないないづくしの中で果たして持続維持しうるビジネスモデルを構築することが出来るのか。ここで既に存在する国内外の廃棄物を利用した製品事例及びプロジェクトを見ていきたい。
・myspacefruit の cluster petals brooch
・lianakabel の Tape Measure Measure-Up Brooch、Knitting Needle Knitwit Bangles
・mindwhatyouwear の rubberband necklace、GRANDMA'S BUTTONS
・rebeccawardjewellery の キーを使ったアクセサリー
やはりアクセサリー商品が多い。具体的な用を作り出すより(装飾であれば)色、材質などが活きる。その中でも「refinding」のバック、財布、時計のラインナップは用を作り出し、且つ廃材の雰囲気を上手く活かしたファッション性を確立している。「margauxlange」のバービー人形を使ったシュールなアクセサリー(下写真)も、高いデザイン性を誇る。
「ecoist」は、パッケージのフィルムを活かした ハンドバック(上図はコカコーラ、m&m) などを作っている。ユニークなのは、その廃材のメーカーの協賛、そしてその制作を開発途上国で行い雇用機会創出に繋げている点だ。製造過程と製品訴求に上手く社会性を織り込んでいるわけだ。refinding、margauxlange そしてecoistと一定のイメージを確立するなど高い商品性を維持しながらも社会性を踏まえている。
フィンランドの「SECCO」は、リサイクル材を活用した商品のほとんどが評価は高いものの一点もののアートとして留まっていたという。そこで廃材の安定供給とアーティストとのコーディネートを進めた。今までの事例含め、産業廃棄物とはいえ、一定のファッション性、商品性を担保するためには、廃材の安定供給は必須ではないか。それでこそブランディングが可能となる。結果、強い商品性に繋がる。
また次稿、事例紹介を重ねながら可能性を探ります。
by isoamu
| 2011-04-18 21:33
| サスティナビリティ