2009年 03月 04日
WyzArtifact イノベーションの担保
|
WyzArtifact
いろいろと参考になった。
WyzArtifactとは…
「世の中の多くの人に知的好奇心とインスピレーションを与えるイノベーションをもたらすプロダクト」
出典元:Wyzart WyzArtufact 02.25.2009
WyzArtifactの4つの方向性は…
1)一般的に予想される未来像をいち早く実現したもの
2)自然現象に着目し、そこから導かれる概念を具体化したもの
3)身の回りにある当たり前な物を組み合わせる事によって新しい価値を実現したもの
4)言葉でしか表現できないような概念を形に表したもの
出典元:Wyzart WyzArtufact 02.25.2009
量産を前提にしたものだと、それを見る人は、その“善し悪し”しか判断しないが、用途が特定されていない試作品は、未完成ゆえに「こう使ったらいいのでは?」のように見る人の発想を導出することが出来る。そこにイノベーションが生まれる可能性があるとしている。また、そもそも量産を前提としないこと自体にも、イノベーションの可能性があるともいえる。
以前私が関わったタッチゾーンプロジェクト(研究所の要素技術を使ったアートを作り、それを見る人から新たなアイデア、ビジネスを導出する活動)でも、同様のイノベーション創出のインタラクションを想定して活動している。そして、社内だけでなく社外においてもそれを期待し100%デザインに作品を展示した。タッチゾーンプロジェクトは、応用したい要素技術を起点にしたものだが、WyzArtifactは”4つの方向性”とあるように、起点となるものを設定していない。ここで私が感じるのは、この柔軟性が図らずもイノベーション創出をより困難なものにしているのでは?ということだ。
おそらく、そして間違いなくWyzArtifactを触媒にコミュニケーションは生まれる。しかし新規事業と新商品創出のソリューションビジネスを受注したいのであれば、いずれイノベーションが確実に生まれる何かしらの担保をクライアントに示さざるを得なくなるだろう。メーカーの中での活動であれば、多少の猶予も与えらるだろうが(否最近はそうでもない)、外部であるWyzartの立場であれば、クライアントから即、対費用効果が求められることは明白だ。いやイノベーションが担保されなければ、発注さえしないこともありうる。不確実なイノベーションをビジネスにすることの本質的な難しさがここにある。そして”結果には責任を持たない人材育成、仕組み作り”というビジネスが展開されることになる。
しかし、現在のデザイン事務所のビジネスモデルは、”デザイン作業の受注”と”スタイリングアイデアの販売”(方法として製品化を想定したクールなデザインモデルの発表)に留まっているのも残念なことだ。このWyzartの挑戦は、デザイン事務所とビジネスソリューションを組み合わせた極めて実験的な活動であることは間違いない。これからが非常に楽しみだ。
by isoamu
| 2009-03-04 23:04
| デザイン全般