高校二年生の思い出十七歳の夏。そう聞くだけで、陽光にきらめく水しぶきや、すらりと伸びた肢体を包む夏の涼しげなワンピースや、ひそやかな恋心の成就や、おずおずと手をつないで歩く浜辺や、そんなものが頭の中をぐるぐるする。人というのは、いつまでも…
唐突な話を、突然始める。 艇長の「櫂立て」の号令で、乗員全員がオールを垂直に立てるのが「櫂立ての礼」だ。実習場のある館山の海でカッター訓練をしていると、地元の水産高校のカッターとたまにすれ違う。彼らは礼儀正しい水産健児なので、私たち大学生の…
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