11.6 & 13.3インチ 2K IPS液晶パネル&ケース
11.6インチと、13.3インチの液晶2種類です。
それぞれIPS、2k解像度(1920x1080)となります。
特別なスペックはありませんが、癖の無い液晶になっていると思います。
特徴
ごく普通のIPS液晶で平凡ですが、そこそこの画面サイズを使えるのが利点です。- HDMI入力・解像度:1920x1080
- ノートPCに使われる液晶サイズで視認しやすい。
- 8bit駆動なのでバンティングが抑えられる。
デザイン云々は毎度のクリア仕様です。自分の好みで作ったのでクリア仕様です。
構造が見える = 部品がデザインのため、部品に合わせてレイアウトを詰めています。
スイッチケーブルは最短距離・直線で結ぶよう、ケーブルを自作して配置しています。
HDMI映像基板はコンパクト & 発色が良い基板を選んで使用しています。
発色が液晶としての性能に直結します。
基板サイズは『小さいければ野暮ったさが少ない程度』ですが、発色については重要です。
色温度がRGB単位で調整出来るので、液晶ごとの個体差を吸収できます。
バンディング・色階調の対応も良く、他の基板と比較して性能の良い物を使用しています。
液晶
ノート用に使われる、11.6インチ・13.3インチの液晶を使用しています。
初回分はChimei Innoluxの液晶を使用しています。
時期や流通数によって、今後使う部品が変わるかもしれません。
使う部品はオークションの方で、その都度記載します。
手元にある分だけで言うと…IPS・2k解像度・8bitになります。
ノートPCに採用されている物なので、極々普通ですが綺麗です。
11.6インチ・n116hse-ea1
13.3インチ・n133hse-ea1
良い所
階調が8bitなので、発色は良好です。
プロ用途に使えるという訳では無いですが、ノートPC搭載の下手なIPS液晶よりも綺麗です。
その映像品質違いは、使用している映像基板になります。
ハードウェア上で調色出来るので、ソフトウェア上で色の変更をするよりも映像品質を損ねません。
液晶の固体差や、発色の好みもカバーできるので、発色は綺麗です。
悪い所
デフォルト状態の色温度が低いようです。
これは基板側で調整可能です。
改善出来なかった所は、液晶自体のバックライト配光ムラや、光の漏れ。
バックライトLED配置が少ないのか、『n116hse-ea1』は手持ちの3台分とも同じ傾向がありました。
一方の『n133hse-ea1』は配光ムラ・漏れは見られなかったので、これは仕様だと思います。
といっても、暗い画面を表示しない限り、目立つ事はありません。
サブモニターとして使うには差し支える事は無いと思います。
いつもの
もはやこれも毎度のなんで、簡単に紹介だけ。
4k15.6インチと、13.3インチTPで盛り込んだ要素をMIXしています。
デザインは4k15.6インチ。部品校正は13.3インチTP。
ぱっと見た印象は4k15.6インチの小型版で、良い所取りの間の子みたいな感じです。
15.6インチ 4k解像度液晶
13.3インチ タッチパネル
液晶フロート・スペーサー
液晶がケース背面側に接触しないよう、マウント部にスペーサーを設けて浮かせています。
ケース背面から圧力が掛かったり、曲がる力が掛かっても、液晶に圧力が加わりにくくしています。
また、アクリルと接しないことで、熱がたまりにくくなっています。
ベゼル
ベゼル幅は下方部を除き、3mm~10mm幅に抑えています。
3mm幅の部分は強度が落ちるので、フレーム箇所にネジ打ちを増やして強度に配慮してあります。
液晶の入るフレーム層はアクリル3mm x 2枚を使用して、内部空間を確保してあります。
密閉した空間で液晶がフロントパネルに接触すると、熱によってフロントパネルが熱くなり過ぎるので前面側の液晶とフロントパネルの間に空間を持たせています。
前面側は防塵・視認性維持のため、スリットを設けていません。
そのぶん前面の空間に持たせることで、内部でゆるやかに熱を拡散・放熱するようになっています。
背面放熱スリット
液晶下部のユニット部の発熱が大きいため、ケース背面に放熱スリットを設けています。
前面側を開放出来ない分、背面から冷却をしています。
開放箇所は大きく開放すると、内部にゴミや埃が混入する恐れがあるので限定的です。
入った汚れが画面表示側に回り込むと、表示を阻害する可能性もあります。
内部に空気を入れて循環・換気しなくても、縦長スリット内の換気で温度上昇を抑えられるます。
スリットは背面下部に集中配置してあります。
幅の長い制御基板に直に当たるよう、スリットを横方向に向けて分散配置しています。
コネクタカバー
映像基板の側面、コネクタ側に保護用のカバーを設けています。
組み立て方法は圧入で、ケース側に部品を圧入して組み立てます。
圧入なのでしっかりと自立できるだけの保持力があります。
差し込みが『ややきつめ』になっています。
差し込みにくい場合は、カバー部品のエッジを削ったり、シリコンオイルを塗るなどして組み立てをして下さい。
破損の懸念があると思うので、予備部品としてカバー部品をもう一つ添付します。
ケーブル取り回し
ケーブル類は背面ユニット部の側面から差し込むようになっています。
正面から見た時、コネクタ類がが隠れるようになっています。
下部からケーブルが出ていると、スタンド設置やケーブルの取り回しづらい。
またコネクタ部分が正面から見えると野暮ったく見えるため、隠す位置に配置してあります。
三脚 & Vesaマウント
三脚穴と、Vesa(75mm)対応になっています。
いずれもケースの中心に位置しているので、画面を回転させた際に中心軸が動かないようになっています。
シンメトリーデザインで偏心を抑えているので、重量バランス的にも画面回転を考慮した設計になっています。
スイッチ周り
スイッチをケース上から押し込めるよう、スイッチブロックを設けてあります。
部品は板厚5mmのアクリルから切り出しているので、しっかりした接触感があります。
スイッチブロックはくさび状になっています。
部品の抜け防止以外に、内部へのゴミ・埃混入が生じさせないための『隙間を埋める役目』をもたせてあります。
操作性向上と誤操作防止のため、スイッチブロックの高さはケースよりもやや低めにしています。
ケースを寝かした際に不意に押し込んでしまう可能性があるので、誤操作防止に高さを下げています。
高さ下げてあることで指が触った際、『段差の触感』でスイッチ位置を判断しやすくしくなっています。
部品カット
レーザーカッターで部品を切り出しています。
光沢・透明感のあるカット断面になっています。
熱でカットしているので、断面は刃物でのカットや切削の様な、エッジのバリはありません。
やや丸まった、適度なエッジ感があります。
部品に合わせた細かい切り欠きを入れてあります。
レイヤーが重ねる部分は外形寸法を統一してあるので、積層することでの統一感があります。
レイヤーごとに部品の干渉を避けて、細かく切り欠きを入れることで、『レジン封入』の様な統一感を出しています。
サイズ比較
いつもの雑な比較。
左上の2種は11.6インチと13.3インチ。
左上はigzo 7インチと、11.6インチ。 右上はipad 9.7インチと、11.6インチ。
スイッチケーブル・EDP
スイッチケーブル
基板間を直線的・最短距離で結ぶために、スイッチケーブルは自作した物を使っています。
画像
11.6インチ・ステンレスボルト
11.6インチ・ポリカーボネートネジ
13.3インチ・ステンレスボルト
13.3インチ・ポリカーボネートネジ
レイヤー
蛇足
ケースの使い勝手には関係ない、制作に纏わる一年間の話です。
製品を使う上で必要な話ではありません。
記録として残しておくものなので、読まなくても大丈夫に良いです。
ただ書いておきたかったのは、こっちが本編かもしれない。
『書いておくと何かの役に立つかもしれない』と思って書いておく。
それと、こういう話は楽しまれている節がある。
まず
期間は11ヶ月掛かっていた。
暫定的にこの紹介を書いた際に『2016年4月から始めた』って書いてましたが、記録を漁ったら正しくは2016年2月に手を付け始めていた。
こんなので11ヶ月掛かってると思うと笑うしかない。
危うく1年じゃないですか。
原因はノウハウ不足と、段取りが悪かったこと。
反省しかありません。
2016年 2月
制作開始。
先に作業をしていた『4k 15.6インチ』の動作確認を終えて、あちらは最初の山を超えた頃。
こちらは『このサイズの液晶って、使えると思うんだけど製品無いよね?』と、11.6インチ以上のサイズに決める。
この時点で見込みが甘いんだよ。
2016年 3月
液晶・映像基板など、一通り部品が揃う。
評判が良かった映像基板を試しに入手。
確かに動作は良いのですが、組み合わせるにはサイズが大きすぎる。
レイアウトどうするのかと、既にうんざりしている。
試しに4k 15.6インチの上に乗っけて考えるも、このざま。
基板が大きすぎる。まずこれで悩んで停滞する。
そのような作り直しを、他の作業の合間を縫って12月まで続ける。
それでもレイアウトを考えてみて、ひとまずこんなものかな?とスタックしてまとめる方向に。
占有面積を抑える & 見栄えの悪い所はスタックして隠してしまえば良いかなと。
ただし間違ってTN・LVDS買ってしまって予定は滅茶苦茶。
これが原因で15.6インチを作るのは止めた。リソース確保のためにも。
11.6インチと13.3インチはケースのみの提供予定でしたが、国内からは液晶などの入手性が悪いので、中身を含めた全てセットで提供することに。
しかしケース設計が進まないのが、とにかく問題。
明らかに『作るノウハウ』が足りない。段取りが悪い。準備と作業の進みが遅い。
2016年 4月
ひとまず部品スタック配置する方向で設計を進めている。
進めるけど『コイツのこのサイズ…やっぱどうにもならねえな』と唸る。
加えて、先に入手した4k 15.6インチキットの基板故障も合わさって唸る。
試作なり実物見て考えないと進めようもないので、設計を出来るところまで進める。
干渉部分の確認・サイズ感を確かめるため、液晶部分の外周輪郭と、基板の固定位置だけ進める。
しかし、いざ出力してみると、液晶の外周サイズが合ってない。
実寸とスペックシート上の寸法が合ってない。
モデル名は一緒でも、Ver.が違うせいでサイズが違っていた。
確認不足で作業やりなおし。アクリルが無駄になった。
2016年 5月
結局、液晶は自分で採寸した。
それでようやく液晶部分の出力完了。ケースらしいサイズ感の確認ができる。
液晶部分は良さそうだけど…映像基板のサイズ感はやっぱ駄目。
この野暮ったさは許せない。また行き詰まり。
当初のスタック方式で確認するものの、ケース厚があり得ない。
普通の配置に戻すとしても、11.6インチで配置レイアウト取ると、部品がケースからはみ出しかねないサイズになる。
実用性として、こんなものを使うとは思えない。
もう、とにかく部品が大きい。D-subとかいらないコネクタ多い。
11.6インチはサイズ感からして許せないので、許容できそうな13.3インチだけ作る方向に。
かといって13.3インチでやっても似たような結果なんですよ。
『なんとか収まってる程度』にしかならない。
ただどうあれ、形にしないと作ると言った約束を破る事になる。
そして出来ないからこそ、やらないとノウハウを得られない。
モチベーションも上がらないので、実験として2台ほど作って、最悪それで終わらせようと思い始める。
自分が欲しいかと言われると、即答で『んなもん、いらない』と思ってた。
やると言った手前、引き返せない。
2016年 6月
映像基板を変更することに。
部品選定からやりなおし。
作るならしっかりやりたい。
ちょっと小さめの基板を見つけたので発注。
誰も使ってない、情報が無い部品。
手を出すか迷いつつ『やめるにしても、やるだけの事はやっておこう』と注文。
そして6月は部品が届くまで待っていたのと、体調崩してお休み。
注文して部品はすぐに発送されたものの、中国税関で止まって差し戻されたり、いつまでも航空便に積まれなかったり。
追跡と問い合わせがこの時期の作業みたいなもので、手を出した事に対して、輪をかけて嫌気が差している。
届かないのは原因は結局、送り主がインボイスを書き間違えてただけだった。
伝票書き慣れないほど売れてないし、買う人いなかったんだろうな…と思い始める。
7月に届いて使ってみたら、その通りの性能だった。
半端で使えない部品だった。
もう引っ込みが付かない状態になる。
止めるにも切っ掛けが欲しい。
『ここでやめて、部品だけ処分すれば良かった』と思う分岐点だが、止めたら止めたで後々腐るので続ける。
本当に続けて良かったのやら悪かったのやら。
2016年 7月
上記の6月に注文した部品が届く。
しかし、この部品は使い物にならない。
色温度が変更出来ない。発色も悪い。
仕様書では色温度が出来るってあったのに、実際は変更出来ない。
進めることで判ることがあると、改めて身を持って勉強になりました。
このトラブルの経験があってから、少しずつ気持ちの割り切りを覚えた気がする。
失敗することでわかる、失敗の必要性がある。
なので、多分良かったと思う。
そして作れる部品は自分で作った方が良い。
使いたい部品が入手出来ていないので、また別の基板(最終的に採用した部品)を見つけて、発注することに。
これ以外は使える物が見つからなかったので、やるとしたら最後のつもりで注文。
ちなみに。
この時点で13.3インチタッチパネル(TP)を作る事になったので、既に気持ちはTPメインになっています。
ひとまず、これより作りたいものが出来たので、気分は楽になった。
TPに取り掛かることが無ければ、モチベーションの低いこの液晶はここで止めてたと思う。
TPはTPで別の模索に半年以上掛かってるので、今思うとそっちも荷が重かったけど。
2016年 8月
この辺りから13.3インチTPで書いた所。
7月に注文した映像基板を使うことにした。
コンパクトかつ良発色、新しい部品によって作る条件が整った。
一番の問題だったサイズ問題が解決したので、再び11.6インチ液晶も作る事に。
ここから何が悪かったって、これまでの遅れを取り戻そうと急いで、小さな失敗が積み重ねてしまった。
11.6インチ液晶、13.3インチ液晶、13.3インチTPに使う映像基板が同じだからと、3種の設計を並行したら、基板サイズの採寸を間違えていて、3種とも修正することになった。
更に把握すべきことが増えすぎて、修正をどこをどこまでしたのかわからなくなって、修正を反映しないデータを出力するなど、失敗が積み重なってしまった。
修正する都度、3種分すべて出力確認するのは、全くもって無駄な工程だった。
部品が共通だと言っても、部分確認を積み上げるべき。
ノウハウが足りないなら、それこそ着実に進めるべき。
制作はとにかく基板は決まったので、出品分の部品調達を始める。
届いた荷物を見たら、ニュースでよく見る『税関で発見された末端価格いくらの密輸』みたいな感じ。
他の部品でタバコの空き箱に入っていた事があった。
当然、部品がタバコ臭くなってた。中国凄い。
この制作を始めてから輸入する機会が増えたので、色々と驚くことが多い。
2016年 9月
行きつ戻りつ。
11.6インチ・13.3インチ共に試作完了。
画像の右上のに決めた。
fabのレーザーカッターだと汚れが出るので、Warkさんに頼んで10台分を出力してもらった。
だけど一旦休止。
TPの提供に向けて、リソースをTPに優先。
こちらも一定の制作目処が付いたことで、一息付きたかった。
届いたのがFFCフラットケーブルで、設計していたケースに使えない。
ケーブルだけ発注し直すか考えるものの、ケース側で最適化することに。
FFCの方が見た目も良いので、ケース側を作り直し。
このせいで先に出力したケース10台分を破棄。
まだ破棄分が端材置き場に残ってる。
端材置き場は辛い思い出の墓場と化しているので、画像は撮らない。
そっ閉じ封印。
2016年 11月・12月
今度は13.3インチTPの方を作り直し。
同じくEDPケーブル変更に伴う設計修正。
大半の部品を作り直した。修正に伴って何度アクリルを破棄したか。
2017年 1月 年跨いで。
設計・試作やりなおして、ひとまず終わった。
試作完了から1ヶ月経ちましたが、改良を迫られる部分も無さそう。
クリアケースの辛い所は、内部が見える事。
改良すれば美観として反映される。
デザインに直結するので手が抜けない所。
だけど、今回やれることはやったと思う。
経緯を振り返ってみて。
吐露できる機会なので、もう言うだけ言っておくと、なんですかね。
動作すれば出しても良かったのに、気に食わないからやりなおしていた。
そこからはもう、腕が悪いのが問題。自業自得。
時間掛かり過ぎて既に飽きたというか、うんざりしてる物を振り返って書いていたので、製品説明を書くのは面白くなかった。
今回に限ったことでは無いのですが、終わった途端に見向きもしたくなることがある。
作り込むと、作った後は『終わった物』になる。見たく無くなる。
もう見たくないけど、ほぼ一年前、当初の手探りから考えると「やっとかよ」と安堵する部分もある。
そしてやりきった事を振り返ると、憎めない感じもする。
複雑な感情です。
ひとまず、今回11.6インチと13.3インチは収めることが出来ました。
収めるべくして収まったと思います。
おしまい
四苦八苦した事もあって、ノウハウも溜まりました。
身を持って学ぶことが多くて、悪い事ばかりでありませんでした。
ちくしょう。
13.3インチTPのリリースが先になりましたが、それより先に取り掛かったこちらの経験がなかったら、13.3インチTPは難航していたと思う。
11ヶ月間かかって、その間に実質2回分改良しました。
もう寝かしても、改良すべき所はもう無さそうです。
完成したと思います。
後は部品調達が問題なので、2種2台分を出したら終わるかもしれません。
ほぼ一年掛かって、この4台で終わるかもしれません。と思うとやっぱ割に合わない。
もしかしたら都合が付くなら、またひっそり出すかもしれません。
ひとまずコイツはやっつけた。
次は4kのTP化やる。
やっと今年の新しい作業始められる。
2020年 3月
見直してみて、11ヶ月ごときで大変だったとか甘いな!
その時から暖めていた制作物、4年越しの作業を続けてるぞ。
だけど、ここで苦労した事。
それがちゃんと生かされてるので、本当に良い経験したと思う。
2025年 2月
甘いな! 更に5年経ったぞ。
デザインっていうのは、実物を作るだけでは無いんだぞ。
見返すと、良い失敗してる。そして統括したのは良かった。