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共用試験(CBT)の季節 〜医学部4年生の関門


子どもから「CBTの申し込み期限が迫ってきたから、振り込みよろしく」と頼まれています。33000円なのね。大学入試の受験料並みに高いなというのが実感。試験実施の公平性を確認するため、他大医学部に所属する実施委員を呼ぶことになっていますが、その費用としても高いな。CBTは昔の医学部になかった制度です。2000年前後から、全国の医学部で本格的運用が始まりました。CBTは「共用試験」とも言いますが、Computer-Based Testingの略です。医学生が4年までに習う基礎医学、臨床医学全般に問う試験で、多肢選択型の問題をパソコンに向かって解いていきます。


CBTはComputer Based Testの略で、その名の通りコンピューターを使ったテストです。医学部4年生の終盤におこなわれ、OSCEとセットで5回生への進級判定に使われることが多いようです。問題は基礎から臨床の幅広い分野に渡ります。


最も特徴的なのは、全員が違う問題を解くことがあげられます。

これは20,000ほど蓄積されたプール問題から各個人ごとに問題が選択されるためであり、周りを見渡してもCT画像を眺めている受験者がいれば、胃の組織図を見ている受験者もいるなど、ばらばらです。当然、各受験者の問題の難易度にばらつきが出るのですが、難易度は補正され、正答率が計算されます。そのため、各受験者の実力を正確に反映した成績がわかるそうです。

 内容は平易で、普通に学習していれば落ちることはまずない試験だと思います。7割程度の得点が合格ラインですが、それでも落ちる学生がいるらしい。どうも大学によって試験準備に学生の温度差があると聞きますが、息子が所属する「北の大地」大学はどうなんでしょうか?ま、終わってから訊くか。しかし7割なんてしみったれたこと言わないで、9割は最低でも取ってほしいと内心思っています。「出題」した側からすると、その程度の正答率になるよう、作成時にうるさく言われているからです。苦労してるんだから、ちゃんと勉強せよ。


 CBTはOSCE(オスキー、Objective Structured Clinical Examination)という臨床診断の基本的実技をみる試験とペアでおこないます。この辺の記載をwikiから引きます。

OSCE(オスキー、Objective Structured Clinical Examination)は、客観的臨床能力試験のこと。日本の医学部、歯学部、薬学部6年制課程、獣医学部の学生が臨床実習に上がる前に、この試験とCBTの2つに合格することが、臨床実習に進むための条件となっている[1]。2021年、医師法及び歯科医師法が改正され、医師国家試験、歯科医師国家試験それぞれの受験資格にOSCEとCBTの合格者に限られると追記され、これにより医学部、歯学部では公的試験化された。日本において、医学部・歯学部は公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構、6年制薬学部ではNPO法人薬学共用試験実施センター、獣医学部ではNPO法人獣医学教育支援機構[5]が実施している。医学部では2020年から上記の臨床実習前に加え、6年次に受験するPost-CC OSCE(Post-Clinical Clerkship OSCE、臨床実習後OSCE)の正式実施が開始された


ふーん、今は医学部・歯学部だけでなく、薬学部・獣医学部もあるのか。しかも医学部はポストOSCEなんてのもあるのか。でもOSCEは普通の医学生は落ちません。問題はCBT、特にその得点スコアでしょう。というのは、医学部卒後の初期研修で、研修先病院をマッチングをおこないますが、その時病院側で採否を判断する重要なポイントがCBTのスコアだからです。スコア評価は以下のようです。

スコアはともかく、CBT, OSCEに合格すると、いよいよ臨床実習が始まります。

2013年1月17日、全国医学部長病院長会議が記者会見をし、共用試験を合格した学生に「student doctor」を付与すると発表[10]。2014年から医学部生に対して、学生医カードの交付が開始された。歯学部では2019年から「student dentilst」認定制度が開始された

 我々の頃はCBTなんてないので、臨床系の講義科目にすべて合格したら自動的に病院での臨床実習開始でした。患者採血などの医療行為も始まりますが、それまでの学内実習の学習から特に境界を感じず、連続的な移行でした。


医学部生、歯学部生については1991年の「前川レポート」(臨床実習検討委員会最終報告)、2018年に再度整理された「門田レポート」(医学部の臨床実習において実施可能な医行為の研究報告書)によって,臨床実習における医行為の範囲が示され,かつ実習開始前には学生の能力を厳しく評価し、合格することが求められてきた。それに伴い、2014年から医学部では「student doctor」制度、2019年から歯学部で「student dentilst」の認定制度が開始された。

なるほど。医学生の医療行為について、今は厳密な規定がなされているのですね。私の母校でも、臨床実習開始前に「白衣式」というのがあるそうで、OB会新聞によると全員白衣を着て集合し、宣誓などをおこなうようです。「ふーん、看護学生は「戴帽式」というのが昔からあったけど、今は医学生も似たようなことするのか」と漠然と眺めていましたが、上記のような経緯があるからなのですね。


 CBTに合格したらいよいよ医学生らしい勉強が始まります。そして卒業で医師国家試験の受験。合格してようやく初期研修医かあ。その後も後期研修、専門医試験と30代半ばくらいまで忙しい日々です。そうそう、医学博士の学位取得も検討しないとなりません。こうやってみると、医学生は忙しい。でもきちんと学んでいけば充実した人生を送れるはずです。ではその初っぱなのCBT、頑張ってくださいね。