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人生100年時代、いつまで働くべきか 〜卒倒する内容



以前紹介した以下の記事ですが、元記事が何処に書かれたものなのかわからなくなっていました。
「70歳を超えても働きたい」 〜本当か!
しかし、ようやく検索で上がって来たので紹介します。読売新聞のコラムで5月20日の掲載でした。あまりに唖然とする内容なので、記録として残します。


人生100年時代、いつまで働くべきか…まずは高齢者が活躍しやすい環境作りを

2024/05/20 13:13


編集委員 吉田清久


「人生二毛作」が言われて久しい。平均寿命が延びて、会社でサラリーマンとして勤め上げ、60歳で定年退職したとしても、人生は残りまだ20年以上ある。

シニアの就業を応援するイベントで開かれた合同就職面接会(2018年10月、東京都立川市で)


 還暦を迎えた仲間たちと話すと、それぞれの健康状態に加え、「二度目の人生をどう生きるか」や「いつまで働くべきか」が話題となる。だいたいの人は「元気であれば、70歳を超えても働きたい」という。


 その意気やよし。だが、踏み込んで聞くと前向きな声ばかりではない。「年金生活を間近に控え、給付額を調べたら思ったより少なかった」「いまの生活を維持するには働き続けるしかない」などと、答える人が少なくないのである。

 政府は数年前から「豊かな老後」「人生100年時代」を唱え、70歳まで就労することを奨励しているようだ。ただ、これをプレッシャーと感じる人が少なからずいる。「定年後は自由な時間がほしい。働きずくめだったこれまでの人生を取り戻したい」(60歳男性)というのが本音らしい。

 「豊かな老後」で思い出すのは、1980年代の「フルムーン夫婦グリーンパス」の旧国鉄CMだ。俳優の上原謙さん、高峰三枝子さんのお二人が混浴の温泉シーンで話題をさらった。当時、上原さんは70代、高峰さんは60代だった。夫婦で国内外をゆっくり旅行する――老後と言えば、そんなイメージがあった。

 われわれの世代ではそんな余裕はなさそうだ。「老後の必要資金2000万円」が問題となったのは2019年のことだ。


 政府が「70歳までの就労」を勧めるのには理由がある。少子高齢化の進展だ。社会保障費が急増し、年ごとに年金財政が厳しくなっているからだ。

 定年を迎えた人たちは、年金保険料を払いながら子育てをする現役世代に対して申し訳なさ、引け目を感じているはずだ。かといって年金の受給開始年齢を、現在の65歳から、遅らされても困る。


 政府が切り札として掲げたのが「元気な高齢者にも働いてもらい、社会保障の担い手になってもらう」ということだ。

 狙いは理解できる。実際、周囲を見渡すと、定年後に高校の校長先生になった教育記者、一念発起して専門学校に通い、整体師になった経済記者などがいる。ただ、自分が望む仕事を難なく見つけられるとは限らない。職探しのため、ハローワークに通い続ける人もいる。


 誰しも、年金だけで暮らすよりサラリーを得て生活の足しにしたいと思う。だが、それは健康であってこその話だ。

 日本人の平均寿命は2022年で男性81歳、女性で87歳だ。しかし、健康で自立した生活を送れる「健康寿命」となると、平均寿命に比べて男女で9~12歳短いのが実情だ。70歳まで働き、その後、年金だけで「健康で豊かな老後」を送れる時間は意外と短いのである。

私がこのコラムで唖然とする点を抜き出します。
還暦を迎えた仲間たちと話すと、それぞれの健康状態に加え、「二度目の人生をどう生きるか」や「いつまで働くべきか」が話題となる。だいたいの人は「元気であれば、70歳を超えても働きたい」という。
少なくとも私の周囲では、そう言うひとはいません。


われわれの世代ではそんな余裕はなさそうだ。「老後の必要資金2000万円」が問題となったのは2019年のことだ。
2000万円で足りるわけないでしょ?いったい何年前の話だ?


政府が切り札として掲げたのが「元気な高齢者にも働いてもらい、社会保障の担い手になってもらう」ということだ。狙いは理解できる。実際、周囲を見渡すと、定年後に高校の校長先生になった教育記者、一念発起して専門学校に通い、整体師になった経済記者などがいる。
成功譚ばかり書いていますが、いったい何割の高齢者がそういう幸運な道を歩いているんだ?


吉田清久氏は、まるで岸田政権とその背後にいる官僚たちの主張の提灯持ちみたいです。もしかりに働く気満々の高齢者であったとしても、それができるのはあくまでも心身ともに健康な状態という条件つきです。これが本当に危うい。まず身体機能の衰えは60歳以降なら全員が感じていると思います。運動能力の低下だけでなく、ちょっとした病気とか怪我でも、若い時と違って回復に時間がかかる。高い塀の上を伝い歩くような状態で、ちょっとでもバランスが崩れたらたちまち奈落の底に落ちるのが現状です。
 そして恐ろしいのは認知症です。MCI(軽度認知障害)も入れたら、65歳〜70歳でほぼ10%がそれに該当するというのが偽らざる実感です。85歳を過ぎたら100%近い人が認知症。働く間でも知力の面で不安を感じるストレスが続き、ようやく70過ぎて解放されたと思ったら今度は本当に認知症になってしまって楽しむことができなくなる。


 ところが吉田氏は最後にこんなことを言ってます。
日本人の平均寿命は2022年で男性81歳、女性で87歳だ。しかし、健康で自立した生活を送れる「健康寿命」となると、平均寿命に比べて男女で9~12歳短いのが実情だ。70歳まで働き、その後、年金だけで「健康で豊かな老後」を送れる時間は意外と短いのである。
だったら、なんで70歳まで年金受給を待たないとならないの??この突き放した物言いに、吉田清久という人間の非情を感じます。岸田政権そして財務省・厚労省の恐ろしいまでに高齢者切り捨ての政策を高らかに擁護しています。心底、呆れました。


吉田清久 よしだ・きよひさ

読売新聞編集委員


1961年生まれ。石川県出身。早稲田大学政治経済学部政治学
科卒業。1987年読売新聞社入社。東北総局、政治部次長、 医療部長などを経て現職。