2006年 07月 21日
<日本人が知らない 恐るべき真実 -研究メモ-:政府紙幣はなぜ発行できないか>へのコメント
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あなたがサラ金から10万円を年利28%で借りたとしよう.あなたは多分毎月4000円を支払うことで3年後には完済できるだろう.この場合あなたはトータルで144000円支払ったことになるから,元本に対し44%の利息を支払ったことになる.もし,月々2300円しか入金できないとすると,あなたはほぼ永久に元本10万円に対する利息のみを払い続けることになるだろう.しかし,このような状態に陥ったとしてもあなたはサラ金業者から見て必ずしも「債務破綻者」ではない.実際,あなたに支払い能力がある限り,業者は借入元本が減るたびに追い貸しをして元本10万円を維持するよう勧めるに違いない.もう一つの例を見てみよう.
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あなたは月々4千円支払いの約定を怠って3ヶ月滞納し,その後はきちんと4000円づつ支払ったとしよう.この場合どういうことが起こるかを考えてほしい.あなたの感覚では3年3ヶ月後には完済するか完済に近くなると思うかもしれないが,多分そうはならないだろう.おそらくあなたはきちんと返済しているにも関わらず3年後にも元本はほとんど減らないかむしろ増加していることに気付くだろう(モデルによって結果は異なる).上記の利払いが均衡する一線を一円でも下回ると返済額は「無限増加」に転じて「発散」する.これを「債務破綻」と言う※.
我国の国家財政が「債務破綻」の危機に瀕していることはほとんど全国民の共有する常識となりつつある.大雑把に言えば累積債務(国公債)の利払いが税収を超える時点がその破断点となる(これは国債の日銀引受によっても回避することができない正味の破綻である).自公政権は2008年にも予測されるこの破断点を「大増税」と「年金システムの解体」で乗り切ろうとしているが,それが「国家的破滅」以外の何ものでもないことはほとんど自明である.この「国家的破滅(動脈瘤の破裂)」が具体的に意味するものは「戦争」である.
<日本人が知らない恐るべき真実>によると,日本は明治維新以降このような「財政破綻」を2度経験し,そのたびに「戦争」を引き起こしてきた.1回目は1904年(明治37年)から1916年(大正5年)にかけて,2回目は1931年(昭和6年)から1945年(昭和20年)までの14年間である.言い換えれば,「戦争」を防止することと「財政破綻」を回避することはシャム双生児のように一体化した不可分の課題であることが深刻に認識されなくてはならない.
以下は<日本人が知らない 恐るべき真実 -研究メモ->ブログの7月20日付けエントリ『政府紙幣はなぜ発行できないか』のコメント欄で行われた私と該ブログのオーナであるabe氏との応答を転記したものである.abe氏は"レインボーリング"という地域通貨を(おそらく国内でもっとも早い時期に)立ち上げられた「貨幣論」の実践的研究者である.氏は該エントリで<株式日記と経済展望>の記事を援用されながら,「政府貨幣の発行は実現が難しい」と展望された上で,「自治体が信用を裏付ける地域通貨の発行」を提案されている.
確かに「地域通貨」というアイディアは魅力的なものではあるが,私の観察する限り「おままごとの葉っぱのお金」の域を脱したものは(これまでのところ)ないように思われる.私は「政府貨幣の発行は可能である」というポジションから以下のような具体的な提言を行った.
-----------------------------------------------------------------------
# exod-US 『郵貯システムを使って政府貨幣を実現できる可能性があります.
仮にこれを郵政貨幣と呼ぶことにしましょう.この貨幣単位を〒とし,日銀券との交換比率を1:1とすれば1〒(いちゆう)=1円で郵貯ATMが使えます.郵政貨幣は電子的にしか存在しない完全に抽象的なマネーです.つまり,政府紙幣の発行は行いません.これを実現するためには郵政改革法を廃止し再国有化するのが最善ですが,公社のままであっても実現不可能ということはありません.(業務委託すればよい:この辺りはテクニカルな問題です)
「地域通貨を主体をはっきりさせないまま発行する」というアイディアはあまり感心できません.道州制というアイディアと結合するという考え方はあるような気もしますが.地域通貨同士の交換・統合の意味からも郵政貨幣のようなシステムは有用であると思います.このような内国貨幣を持つことは実際可能であるし,そのために「世界支配者」の許可を得る必要はまったくないと思います.(多分彼らもこの実験に興味を持ってむしろ積極的に注視するに違いありません)※並行通貨としての内国貨幣を持つということはまったく内政問題であり,外国勢力が干渉する余地はない.日本が「彼ら」にとって金の卵を産むガチョウであるとすれば,そのガチョウを絞め殺すことが「彼ら」に取って何の利得にもならないことは自明である.
平たく言えば日銀券兌換の内国通貨ということになります.
もちろんこのような特殊な「政府貨幣」を扱うための特別立法が必要になります.郵政貨幣は電子的にしか存在しないので(円以外とは)為替交換することはできません.従って貿易取引に使われることもなく為替投機に晒されることもありませんし,(政府保証を付けることにより)銀行破綻の恐れもありません(少なくとも国家破産するまでは).もちろんドルの存在を脅かすような国際通貨にはなり得ません.※¥(円)と〒(U)の交換比率を固定することが妥当か否かは検討課題である.
写真↑は前島密銅像(日本橋郵便局)
言うまでもありませんが,郵政貨幣で国債を償還することは可能であると考えられます.この提案の最大のメリットはほとんどコストゼロでリアルに使い勝手のよいドメスイティックな新通貨システムを実現可能であるという点です.』
# rainbowring-abe 『exod-USさん、コメントありがとうございます。
郵政貨幣というアイディアは、私の不勉強のせいでしょうか、初めて聞きました。これは郵貯を原資に郵政公社または第三機関が信用創造をおこなうということでしょうか?
なるほど面白いアイディアですね。
郵貯は、そのほとんどが財投か国債に投資され、かなりの部分が実質的に不良債権化していると思いますが、そのへん(つまり担保に実際価値がないこと)がどうなるのか、ちょっと検討が必要な気がします。
まぁ、財政問題と言っても実は会計処理をどうするかという問題にすぎませんから、都合が悪ければルールを変えればいいだけなんですが、その際、いかにモラルハザードが起きないようにするかが大事なのだと思います。
特に、誰が何に対して発行するか、監査をどのように中立におこなうかが大事な問題になる気がします。“郵政貨幣利権”なんていう新たな利権構造ができないようにする工夫が必要でしょうね。ちょっとじっくり考えてみたいと思います。』
# exod-US 『私は小泉の郵政民営化を究極のマネーロンダリング(国民資産の持ち出し)であるとし,経済安全保障の観点から批判してきました.政府貨幣をこの(郵貯)システムの上で発行するというアイディアはもともとあったのですが,外国為替交換の問題がクリアできずペンディングしていました.(郵政貨幣というアイディアは)今回abeさんの「並行通貨」という考え方をお聞きして「結晶化」したと言ってよいと思います.
私のイメージでは郵貯システムというのは国民経済の基底部分をカバーする手数料ミニマムな小口当座決済システムです.国民経済的には自給自足可能なミニマムな実体経済と固く結びついた血脈ネットワークを構成すべきであると考えます.これによって悪意ある資金移動に起因する経済破壊行為(経済戦争)を防止することができます.この観点からすると,郵貯資金を原資として信用創造を行うというのはあまりよいアイディアではないと思われます.(当座=預金金利ゼロですから原理的には「儲け」を出す必要はありません)
郵貯内部の財投資金のこげつきについては,基本的には政府貨幣の投入によってちゃらにすることが可能です.もちろん,その前にやるべきことはたくさんあります.そのこげつきの原因が実質的に経済犯罪(たとえば横領)である可能性もあります.無能無策が原因であるとすれば,きっちりと総括し改善策を立てる必要もあるでしょう.つまり,徹底的な「国民監査」が必要だと思います.しかし,おそらくかなりの部分はもともと収益性のない公益事業であると思われますので,それを政府貨幣で償還するというのは合理性があります.
政府貨幣というアイディアを極限まで進めると「無税社会」の到来を期することもできますが,その機構をどのように(モラルハザードを回避して)執行することができるかというのはとても難しくまたチャレンジングな課題です.「誰が何に対して発行するか、監査をどのように中立におこなうか」という問題ですね.私のブログに「第4権力《正義と公正》」というカテゴリがありますが,少なくとも3権分立に加えてもう一つの憲法的権力が必要なのではないかと考えています.故石井こうき議員の提唱されていた「国民会計検査院」のような考え方はその萌芽形態なのではないか?と認識しています.』
-----------------------------------------------------------------------
【補足】郵政通貨システムの具体的なイメージをもう少し補足しておこう.郵政通貨システムは全銀システムとは独立の郵貯ATMを入出力デバイスとする電子決済システムであり,独自の紙幣・硬貨は発行しない.郵貯ATMに投入する貨幣は日銀券であり,引き出される貨幣も日銀券である.郵政通貨システムの内部通貨単位は〒(ないしU)であるが,操作上はこれまでとまったく同一手続きで入出金を行う.投入された日銀券(通貨単位円)は内部で通貨単位を自動変換して郵政貨幣(通貨単位〒)として保存される.政府は郵政通貨システムを用いて政府貨幣を直接(各個人ないし法人口座あての入金として)発行することができる.郵政通貨システムは基本的に(少なくとも当初は)小口決済システムと考えられるから,為替(送金)手数料は送金金額の1%を超えるべきではない(理想的には手数料ゼロとすべき).
※財政再建問題を審議している経済財政諮問会議では,財政の持続可能性(破綻可能性)の条件式として以下のような公式を用いて議論を進めている.
以下,『選択』2006年5月号 見えてきた財政再建論争の「勝敗」 ── 次は「消費税率8%」めぐる攻防 ── からの引用:
「財政が破綻しない(=持続可能、つまり財政再建)状態とは、公債残高のGDP(国内総生産)比率が年々横ばいになるか減少(左辺がゼロかマイナス)すればよい。そのためには、成長率と金利が同じ(右辺第二項がゼロ)なら、プライマリーバランス(PB=基礎的財政収支。公債発行による収入を除く税収から公債の元利払費を除く支出の差)が均衡(ゼロ)するか、わずかに黒字になればよい。金利が成長率を上回るなら、その差に現在の公債残高GDP比率をかけた分(右辺第二項)だけ、PBのGDP比率(右辺第一項)が黒字になる必要がある。
竹中は「経済政策をうまく運営すれば、成長率と金利は同じくらいにできる可能性がある」とみて「PBは最低限、均衡すればいい」と考えた。これに対して、与謝野や吉川たちは「歴史的に金利は成長率より高いから、対GDP比率で二%程度のPB黒字が必要」と反論した。PBは二〇〇六年度で、国と地方を合わせてGDP比で三・二%の赤字見通しだ。
議論はここで「PBは均衡でもいいとみるか、黒字が必要とみるか」に収斂する。PBは税収と支出の差なので、均衡でいいなら小幅増税ですみ、黒字なら大幅増税が必要になる。
要約すれば、竹中は「経済政策次第で成長率=金利になる可能性があるので、PBは均衡でもOK。したがって小幅増税でいい」。与謝野は「成長率は金利より低いので、PBは黒字が必要。したがって大幅増税」という基本的な立場の違いになる。
正月の中断をはさんで、延々四カ月に及んだ論争で、与謝野や吉川は「金利が成長率より高い状態を基本にして、財政再建を考えるべきだ」と唱えたが、竹中は一貫して「金利と成長率が同じケースも複数の選択肢として残すべきだ」と訴えた。そして、最終的に小泉は竹中の複数案をとる。」
【参照記事】
《共同的資本主義論》新たなる国生みへの手がかりへ
郵政民営化:身包みはがされて最後に残ったイチジクの葉一枚
究極のマネーロンダリングとしての小泉郵政改革―河宮・青木論文(2005-10-09)を読む
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あなたは月々4千円支払いの約定を怠って3ヶ月滞納し,その後はきちんと4000円づつ支払ったとしよう.この場合どういうことが起こるかを考えてほしい.あなたの感覚では3年3ヶ月後には完済するか完済に近くなると思うかもしれないが,多分そうはならないだろう.おそらくあなたはきちんと返済しているにも関わらず3年後にも元本はほとんど減らないかむしろ増加していることに気付くだろう(モデルによって結果は異なる).上記の利払いが均衡する一線を一円でも下回ると返済額は「無限増加」に転じて「発散」する.これを「債務破綻」と言う※.
我国の国家財政が「債務破綻」の危機に瀕していることはほとんど全国民の共有する常識となりつつある.大雑把に言えば累積債務(国公債)の利払いが税収を超える時点がその破断点となる(これは国債の日銀引受によっても回避することができない正味の破綻である).自公政権は2008年にも予測されるこの破断点を「大増税」と「年金システムの解体」で乗り切ろうとしているが,それが「国家的破滅」以外の何ものでもないことはほとんど自明である.この「国家的破滅(動脈瘤の破裂)」が具体的に意味するものは「戦争」である.
<日本人が知らない恐るべき真実>によると,日本は明治維新以降このような「財政破綻」を2度経験し,そのたびに「戦争」を引き起こしてきた.1回目は1904年(明治37年)から1916年(大正5年)にかけて,2回目は1931年(昭和6年)から1945年(昭和20年)までの14年間である.言い換えれば,「戦争」を防止することと「財政破綻」を回避することはシャム双生児のように一体化した不可分の課題であることが深刻に認識されなくてはならない.
以下は<日本人が知らない 恐るべき真実 -研究メモ->ブログの7月20日付けエントリ『政府紙幣はなぜ発行できないか』のコメント欄で行われた私と該ブログのオーナであるabe氏との応答を転記したものである.abe氏は"レインボーリング"という地域通貨を(おそらく国内でもっとも早い時期に)立ち上げられた「貨幣論」の実践的研究者である.氏は該エントリで<株式日記と経済展望>の記事を援用されながら,「政府貨幣の発行は実現が難しい」と展望された上で,「自治体が信用を裏付ける地域通貨の発行」を提案されている.
確かに「地域通貨」というアイディアは魅力的なものではあるが,私の観察する限り「おままごとの葉っぱのお金」の域を脱したものは(これまでのところ)ないように思われる.私は「政府貨幣の発行は可能である」というポジションから以下のような具体的な提言を行った.
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# exod-US 『郵貯システムを使って政府貨幣を実現できる可能性があります.
仮にこれを郵政貨幣と呼ぶことにしましょう.この貨幣単位を〒とし,日銀券との交換比率を1:1とすれば1〒(いちゆう)=1円で郵貯ATMが使えます.郵政貨幣は電子的にしか存在しない完全に抽象的なマネーです.つまり,政府紙幣の発行は行いません.これを実現するためには郵政改革法を廃止し再国有化するのが最善ですが,公社のままであっても実現不可能ということはありません.(業務委託すればよい:この辺りはテクニカルな問題です)
「地域通貨を主体をはっきりさせないまま発行する」というアイディアはあまり感心できません.道州制というアイディアと結合するという考え方はあるような気もしますが.地域通貨同士の交換・統合の意味からも郵政貨幣のようなシステムは有用であると思います.このような内国貨幣を持つことは実際可能であるし,そのために「世界支配者」の許可を得る必要はまったくないと思います.(多分彼らもこの実験に興味を持ってむしろ積極的に注視するに違いありません)※並行通貨としての内国貨幣を持つということはまったく内政問題であり,外国勢力が干渉する余地はない.日本が「彼ら」にとって金の卵を産むガチョウであるとすれば,そのガチョウを絞め殺すことが「彼ら」に取って何の利得にもならないことは自明である.
平たく言えば日銀券兌換の内国通貨ということになります.
もちろんこのような特殊な「政府貨幣」を扱うための特別立法が必要になります.郵政貨幣は電子的にしか存在しないので(円以外とは)為替交換することはできません.従って貿易取引に使われることもなく為替投機に晒されることもありませんし,(政府保証を付けることにより)銀行破綻の恐れもありません(少なくとも国家破産するまでは).もちろんドルの存在を脅かすような国際通貨にはなり得ません.※¥(円)と〒(U)の交換比率を固定することが妥当か否かは検討課題である.
写真↑は前島密銅像(日本橋郵便局)
言うまでもありませんが,郵政貨幣で国債を償還することは可能であると考えられます.この提案の最大のメリットはほとんどコストゼロでリアルに使い勝手のよいドメス
# rainbowring-abe 『exod-USさん、コメントありがとうございます。
郵政貨幣というアイディアは、私の不勉強のせいでしょうか、初めて聞きました。これは郵貯を原資に郵政公社または第三機関が信用創造をおこなうということでしょうか?
なるほど面白いアイディアですね。
郵貯は、そのほとんどが財投か国債に投資され、かなりの部分が実質的に不良債権化していると思いますが、そのへん(つまり担保に実際価値がないこと)がどうなるのか、ちょっと検討が必要な気がします。
まぁ、財政問題と言っても実は会計処理をどうするかという問題にすぎませんから、都合が悪ければルールを変えればいいだけなんですが、その際、いかにモラルハザードが起きないようにするかが大事なのだと思います。
特に、誰が何に対して発行するか、監査をどのように中立におこなうかが大事な問題になる気がします。“郵政貨幣利権”なんていう新たな利権構造ができないようにする工夫が必要でしょうね。ちょっとじっくり考えてみたいと思います。』
# exod-US 『私は小泉の郵政民営化を究極のマネーロンダリング(国民資産の持ち出し)であるとし,経済安全保障の観点から批判してきました.政府貨幣をこの(郵貯)システムの上で発行するというアイディアはもともとあったのですが,外国為替交換の問題がクリアできずペンディングしていました.(郵政貨幣というアイディアは)今回abeさんの「並行通貨」という考え方をお聞きして「結晶化」したと言ってよいと思います.
私のイメージでは郵貯システムというのは国民経済の基底部分をカバーする手数料ミニマムな小口当座決済システムです.国民経済的には自給自足可能なミニマムな実体経済と固く結びついた血脈ネットワークを構成すべきであると考えます.これによって悪意ある資金移動に起因する経済破壊行為(経済戦争)を防止することができます.この観点からすると,郵貯資金を原資として信用創造を行うというのはあまりよいアイディアではないと思われます.(当座=預金金利ゼロですから原理的には「儲け」を出す必要はありません)
郵貯内部の財投資金のこげつきについては,基本的には政府貨幣の投入によってちゃらにすることが可能です.もちろん,その前にやるべきことはたくさんあります.そのこげつきの原因が実質的に経済犯罪(たとえば横領)である可能性もあります.無能無策が原因であるとすれば,きっちりと総括し改善策を立てる必要もあるでしょう.つまり,徹底的な「国民監査」が必要だと思います.しかし,おそらくかなりの部分はもともと収益性のない公益事業であると思われますので,それを政府貨幣で償還するというのは合理性があります.
政府貨幣というアイディアを極限まで進めると「無税社会」の到来を期することもできますが,その機構をどのように(モラルハザードを回避して)執行することができるかというのはとても難しくまたチャレンジングな課題です.「誰が何に対して発行するか、監査をどのように中立におこなうか」という問題ですね.私のブログに「第4権力《正義と公正》」というカテゴリがありますが,少なくとも3権分立に加えてもう一つの憲法的権力が必要なのではないかと考えています.故石井こうき議員の提唱されていた「国民会計検査院」のような考え方はその萌芽形態なのではないか?と認識しています.』
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【補足】郵政通貨システムの具体的なイメージをもう少し補足しておこう.郵政通貨システムは全銀システムとは独立の郵貯ATMを入出力デバイスとする電子決済システムであり,独自の紙幣・硬貨は発行しない.郵貯ATMに投入する貨幣は日銀券であり,引き出される貨幣も日銀券である.郵政通貨システムの内部通貨単位は〒(ないしU)であるが,操作上はこれまでとまったく同一手続きで入出金を行う.投入された日銀券(通貨単位円)は内部で通貨単位を自動変換して郵政貨幣(通貨単位〒)として保存される.政府は郵政通貨システムを用いて政府貨幣を直接(各個人ないし法人口座あての入金として)発行することができる.郵政通貨システムは基本的に(少なくとも当初は)小口決済システムと考えられるから,為替(送金)手数料は送金金額の1%を超えるべきではない(理想的には手数料ゼロとすべき).
※財政再建問題を審議している経済財政諮問会議では,財政の持続可能性(破綻可能性)の条件式として以下のような公式を用いて議論を進めている.
「財政が破綻しない(=持続可能、つまり財政再建)状態とは、公債残高のGDP(国内総生産)比率が年々横ばいになるか減少(左辺がゼロかマイナス)すればよい。そのためには、成長率と金利が同じ(右辺第二項がゼロ)なら、プライマリーバランス(PB=基礎的財政収支。公債発行による収入を除く税収から公債の元利払費を除く支出の差)が均衡(ゼロ)するか、わずかに黒字になればよい。金利が成長率を上回るなら、その差に現在の公債残高GDP比率をかけた分(右辺第二項)だけ、PBのGDP比率(右辺第一項)が黒字になる必要がある。
竹中は「経済政策をうまく運営すれば、成長率と金利は同じくらいにできる可能性がある」とみて「PBは最低限、均衡すればいい」と考えた。これに対して、与謝野や吉川たちは「歴史的に金利は成長率より高いから、対GDP比率で二%程度のPB黒字が必要」と反論した。PBは二〇〇六年度で、国と地方を合わせてGDP比で三・二%の赤字見通しだ。
議論はここで「PBは均衡でもいいとみるか、黒字が必要とみるか」に収斂する。PBは税収と支出の差なので、均衡でいいなら小幅増税ですみ、黒字なら大幅増税が必要になる。
要約すれば、竹中は「経済政策次第で成長率=金利になる可能性があるので、PBは均衡でもOK。したがって小幅増税でいい」。与謝野は「成長率は金利より低いので、PBは黒字が必要。したがって大幅増税」という基本的な立場の違いになる。
正月の中断をはさんで、延々四カ月に及んだ論争で、与謝野や吉川は「金利が成長率より高い状態を基本にして、財政再建を考えるべきだ」と唱えたが、竹中は一貫して「金利と成長率が同じケースも複数の選択肢として残すべきだ」と訴えた。そして、最終的に小泉は竹中の複数案をとる。」
【参照記事】
《共同的資本主義論》新たなる国生みへの手がかりへ
郵政民営化:身包みはがされて最後に残ったイチジクの葉一枚
究極のマネーロンダリングとしての小泉郵政改革―河宮・青木論文(2005-10-09)を読む
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by exod-US
| 2006-07-21 19:38
| 貧民の金を返せ!無年金者同盟