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enbug diary


2008-10-06

_ また近況報告

kazuhikoは心を入れ換えて書き始めたらしいので、 私もちょっとだけ。

日本ではうろうろしてましたが、またフランスに帰ってきて(まだ自宅はフランスなのだから「帰る」が正しい)、ここしばらくはフランスにいます。 でもまたもうじき日本に行かないといけないので、自分の家にいるのも束の間の話です。 こんな生活だと、自宅に物を揃えたりしていたのが、何だか馬鹿らしく感じられます。

フランスに帰ったからといって、別に暇になれる訳ではないので、 むしろずっと働いてられるので、というのも、移動ばっかりしていると、案外作業時間が少ないけど、動かないと働いてばっかりになってしまうんで、現実にはもっと疲れます。 気力がわかないぐらい疲れていたので、 宴会をやったり してもらったんですけど、宴会なんて所詮は現実逃避の一種にすぎないので、酔いがさめれば元の現実が待っているわけです。

そんな疲れる話はさておき、 少し技術のことも書いておきます。

pyjamas とかいうプロジェクトがあります。 要するに、 Google Web Toolkit のPython版で、Pythonで書いてJavaScriptのコードが吐けるとか、そういうものなんですが、確かRubyにも似たようなものがあったような。

私自身は全然試したことがないので、単にわかってないだけかもしれませんが、こういう方法を使う処理系って、感覚的に嫌だと思っちゃうんですね。 何でかなあと思って、ちょっと真面目に考えていたんですが、 どうもデバッグで頭に来たことが多かったからだと気がつきました。

例えば、Autoconf。 こいつはM4で書いて、展開されてシェルスクリプトになります。 M4のレベルで変なことが起きると普通にエラーが出てきて、 それは全く困らないんですが、 やっぱり走らせてみないとわからないことがあります。 で、走らせて何か起きると、生成されたシェルスクリプトのレベルでエラー情報が吐かれて、元ファイルでどこなのかは教えてくれません。 結局、どんなコードに展開しやがったのかを眺めて理解して、 元が何だったか推測しないといけません。

あるいは、Automake。 こいつは、Perlでコンパイルして、Makefileになります。 これも同じで、makeして変なことが起きると、元ファイルでどこなのかはよくわからない情報しか出してくれません。

じゃあ、一体gccとかのコンパイラで大して苛々しないのは何でなんだろうと考えると、つまるところ、元のコードとの対応を取ってくれる機能があるからなんですね。gdbで追えば、ソースの位置がわかりますから。

つまり、ソースと対応を取ってくれるぐらいに統合されているかどうかが問題なんだと気づいたわけです。 そこんところがpyjamasで実際にどうなっているのかは知らないんですけど、 それぐらい作りこまれていないと使う気にならないんですね。 コンパイルできたら一発でまともに動くんならいいでしょうけど、 開発からデバッグが消えることがあるとは思えないですし。

ところで、 IPAが「翻訳コミュニティ基盤の開発」発注先選定に係る企画競争なるものを始めているのですが、 要するに、launchpadパクリクローンをオープンソースで作りましょうっていう話のようです。

IPAって、こういう結末がどうなるのか、さっぱり見えないことに大金を投資していることがあるような気がするんですけど、 それって一体どうですかね。 やれWikiを使えだとか、やれメーリングリストを使えだとか、 作り方は無意味にたくさん指定してあって、 じゃあ肝心の「どうやったら使ってもらえるのか」、「どうやって今後の開発を継続していくのか」って部分がさっぱり見えません。

はっきり言って、Wikiを使うだとかいうのは、全く本質的じゃないじゃないですか。 翻訳コミュニティを助ける、それは良い目標ですよ。 でも、要は、使えるツールになればいいわけであって、技術的に何を使うかなんて、それこそ企画で提案させればいいことじゃないですか。 それよりも、これをやることにどういう意義があるのかって説明がない、足りない。 作るのに成功したら、実際にどんな効果が期待できるのか、期待値をどうやって増やせばいいんだっていう、展望がない。 簡単に言えば、すでに使われまくっているlaunchpadではなく、敢えてこっちを使いたくさせる方法がありません。

別に、投資っていうのは、すぐに効果が見えるものではなくてもいいんですよ。 長い目で見て、ちゃんと変化が起こせて、その変化が投資に見合う価値をもたらすのであれば。 しかし、そういうROIをちゃんと考えてるのかどうかもわからないところに問題があると感じるんです。

これをやっているのが私企業とかだったら文句は言わないし、言う権利もないと思いますが、IPAで使うお金というのは、そもそもは税金なんでしょう。公的資金の無駄を減らすことが叫ばれている現代において、そういうお金の使い方は感心いたしかねます。

しかし、 IPAフォントのライセンス改訂の方はとても有意義でいいことだと思います。 是非頑張ってください。

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2008-10-08

_ OpenOffice.orgの互換性

OpenOffice.orgの1.x系で作ったドキュメント(sxwとか)を、 2.x系で取り込むと、いろいろおかしくて困ります。 ヘディングを足したり引いたりして(章題とか)、勝手に番号を付けさせると、訳の分からないことがおきます。

あんまりどうしようもないので、私がどうしたかというと、 unzipして、content.xmlをxmllint --formatで見やすくして、 vimで直接書き換えてました。 で、その後、zipして出来上がり。

何が起きているかというと、ヘディング自体にもスタイルが付いているんですが、この周りにもさらにもう一つタグで囲まれているところがあって、 そこにもスタイルが付いています。 この「外側のタグ」のスタイルがGUIでは見えてないんですね。 だから、そこのスタイルはどうしようもなくって、 外側が違うものだから、内側のスタイルも別扱いになってしまうという、 大体そういうことのようでした。

しかし、一からドキュメントを作ると、真面目にスタイルでフォーマットを制御する限りは、こんな妙な症状は起きません。なので、教訓としては、昔のフォーマットは閲覧にだけ使い、編集元には使ってはいけないってことです。バージョンが変わっても、Wordなんかよりは、見かけの再現性が高い気がするので、まあいいとしましょうか。

ちなみにですが、ベクター・グラフィックの取り込みがまた難点です。 OpenOffice.orgのDrawでもそれなりには作れるんですが、 これがどうも痒いところに手が届かない代物です。 機能的にもそうなんですが、SVGをわかってくれないのが辛いです。

仕方がないので、私はよくInkscapeを使ってますが、 こっからOpenOffice.orgに移すのがなかなか難しいのです。 EPSにすると、結構がたがたになりやすいです。 一応、InkscapeからDraw用にodgが吐けるんですが、 これをOpenOffice.org上で見ると、太かったはずの線が細くなったりして、 どうにも使い勝手が悪いです。

じゃあ、結局一番の安全策は、高解像度でビットマップ(PNGとか)で出すってことになってしまい、やはり嬉しくはありません。 一応、現在の方針は、

  1. とりあえず、odgにしてみる。
  2. 駄目っぽかったら、epsにしてみる。
  3. それでも駄目なら、pngで逃げる。

という感じです。もうちょっとマシな方法があったら、是非知りたいものです。

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2008-10-17

_ オレオレ日本OSS貢献者賞

「2008年度日本OSS貢献者賞」の受賞者を選定の通り、 今年の日本OSS貢献者賞を受賞させていただくことになりました。 ITproの速報では、わざわざ気をきかせて、 うちの会社の名前を出してくださったようで、感謝感激です。

GRUBでオープンソースの賞を受ける等、いかにもRMSに怒られそうな話なんですが、IPAさんからの通知では、何が理由で選ばれたのか、承諾するまで教えられていなかったので、後の祭りだったんです、と言い訳させてください。

基本的にネタは発表に取っておきたいので、ここでは「空気を読んで」現場ではできそうにもないネタだけ。

私以外の、今回選ばれた方々はみな立派な人ばかりですし、 別段不満はないんですが、私の独断と偏見で選んでいいとしたら、 一体誰を選ぶか考えてみました。当然、すでに選ばれている人は除外します。後、確実に「オープンソースの人」と言われると嫌がりそうな「フリーソフトウェアの人」も除外します。

  • 野首さん。Namazuをはじめ、さまざまなソフトウェアの保守開発を引き受け、凄まじいばかりの努力をされています。私はソフトウェアが有用であるためには、「長く安心して使い続けられること」が最も重要だと考えているので、彼のような人こそ評価されるべきだと思います。
  • 狩野さん。FontForgeの開発をはじめ、数多くのフリーフォント・プロジェクトに貢献されています。オープンソースでデスクトップが使えるのは、彼の尽力に負うところが少なくありません。大体において、プログラマはドキュメントを書くとかデータを作るとかはやりたがらず、なかなかボランティアでは進展しにくい分野なので、とても貴重な方です。
  • 佐渡さん。SourceForge.JPやスラッシュドット・ジャパンの運営をはじめ、長年コミュニティの支援や広報活動をされています。オンラインで開発者が「何となく集える場所」が存在しているのは、彼のおかげといっても、過言ではないでしょう。
  • 前田青也さん。経営危機を経験されながらも、長年Good-Dayの経営者として活動され、オープンソース開発者がオープンソースで仕事をしてオープンソースに還元できる、そんな職場を初めて日本で実現された方です。今や私も経営者なわけですが、この立場になると、これだけ長く続けることがどれだけ大変かが身に染みてよくわかります。

私が選ぼうとすると、どうしても世間的には「地味」な印象の方が多くなってしまうんですね。だから私に列挙されてしまった方は、まるで祟りのように、決して本当には選ばれない、なんてこともあるかもしれません(ごめんなさい)。

逆に言えば、「選ばれる人」は表面的に見えやすい人に偏っているのが現実で、本当は「目立たないけど、すごい人たち」がもっといっぱいいるのだ、「選ばれた人」はあくまで分かりやすい例に過ぎないのだ、ということをみんなが理解してほしいと思います。(過ぎない、は言い過ぎかな...)

それから、itojunさんに関するコメントを見ましたが、この賞は本人から承諾を受けることが前提になっているようなので、そういう事情で無理なのではないかと想像しました。仮に彼が生きていたとしても、私の勝手なイメージではありますが、とてもFree Softwareという言葉が好きだったように思いますんで、OSSの賞を受けとることには否定的だったかもしれません。 本人が本当に嬉しがるかわからない以上、そういう賞を与えると、彼に対して無礼にあたるのではないかと思います。

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2008-10-26

_ レンタルサーバの移動先

随分前から私はenbug.orgという独自ドメインを持っています。 DynDNSで管理していて、 新しいホストを作ったりとか、好き放題できて、なかなかに便利です。

ところで、最近ウェブやメールに使っている専用サーバをやめて、 もっとありきたりなレンタルサーバに移りたいと考えています。 というのも、今使っている Dedibox はフランス居住者しか利用できないので、 近々サービス利用ができなくなるからです。 それに、OSのメンテナンスが面倒くさいというのもあって、 もっと普通の共用サーバの方が嬉しかったりします。

条件は次の通り。

  • 独自ドメインでウェブやメールが使えること。
  • Pythonで書いたCGIが動くこと(mod_pythonでも可)。
  • あんまり高くないこと。
  • ドメインを移管せずに使えるか、DynDNS並に自由な設定がDNSに対して可能なこと。

最初の三つぐらいなら、いくらでもあるみたいで、例えば、さくらとかでもいいんですけど、最後がどうも厳しいようです。 grub.enbug.orgなんてのも別に設定していたりするので、 ドメインを移管させられて、そういうことができなくなるのが辛いんです。

自分で結構探してみたんですが、日本でこれらの条件を満たすレンタルサーバが見つからなくて困ってます。 誰か知っていたら教えてください。

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