メーリングリストにも少々書かせてもらいました が、こちらにも書き留めておきます。
経緯から説明しますと、現状、フランスにおいてはコンピュータにあらかじめインストールされているソフトウェア、特にWindowsについて、使用をしないので返品したとしても、メーカは返金に応じる必要はありません。 実際、私たちの会社ではWindowsを返品して、ラベルをひっぺがすということを頻繁に行ってきましたが、それに対してライセンス料を返還してもらったことはありません。
先日、フランス政府のウェブサイトにおいて、 Ordinateurs et systèmes d’exploitation : Luc Chatel veut la fin de la vente liée という記事を公開されました。 この記事で、 消費・観光担当副大臣(Secrétaire d’Etat chargé de la Consommation et du Tourisme)のリュック・シャテル氏(Luc Chatel)が、 コンピュータ販売の際、プリインストール済みのソフトウェアの価格を表示し、消費者が返金を受けられるようにすべきであるという意見を表明しました。 方法としては、アクセスコードを入力しなければ使えないようにし、 アクセスコードを得るためにはそのライセンスの価格の支払いに同意しなければならないものとする、と提案しています。
それに応じて、私たちの会社はプレスリリースを公表し、 ZDNet Franceで採り上げられています。 アイデアとしては、 GRUB 2 を拡張して、 アクセスコードの入力インターフェースを作成し、 ハードディスク上の暗号化されたデータを復号化するというものです。 この方法を用いれば、BIOSやWindowsなどを改変する必要はありませんし、 GRUBはフリーソフトウェアですから、 余計なライセンス購入も発生せず、 仕組みはすべて公開されます。
私たちの考えとしては、 いくら政府が良い方針を打ち立てたところで、 それがライセンス料を取り立てることができなくなるベンダに頼るような方法では、 なかなか現実化はしそうにもないということです。 ですから、不利になる側に依存するようなやり方ではなく、 中立的な方法論が必要になると考えました。
私見を言わせてもらえれば、現在のWindows、その他のソフトウェアを強制購入させられるようなやり方はアンフェアです。 どう考えても特定ソフトウェアがなければ意味を成さないハードウェアならともかく、PCのような汎用コンピュータにおいて、特定ソフトウェアをバンドルされるというのは、明らかに抱き合わせ販売と呼ばれるものでしょう。
そういうソフトウェアを本当に使う人が支払わなければならないことについては、私は決して否定しません。 ソフトウェアの対価を設けることは全く悪いことではありません。 しかし、全く使う気もないし、実際使わないものに支払いを強制されるというのは、とてもおかしいことだと感じます。 それはまるで、住んでもいない人から住民税を取り立てるようなものです(もちろん、地方自治体はそんなことはやってません)。
当然、メーカやベンダにも言い分はあるでしょう。 典型的には、インストールしたものとそうでないものを用意するのはコストがかかるということです。 そして、インストールしたものの方が売れるのであれば、そちらを優先せざるを得ないというわけです。 それはその通りです。
しかしながら、暗号化技術の発展のおかげで、 そうした問題は技術的解決が図れるところに到達しているのです。 もはや、残りの理由付けは、そのための開発コストが必要になるということでしょうが、 GRUBというフリーソフトウェアによってコストの増大は防ぐことができますし、 そのための開発は私たちがもうやっているというわけです。
残念ながら、販売を行う人の多少の手間暇はどうしても必須になりますから、インセンティブを与えるのは簡単ではありません。 そうすると、やはり政府の介入は避けがたいと言わざるを得ません。 しかし、消費者の利益を守るのも政府の重要な機能の一つであることを考えると、ここは政府に頑張ってもらうしかないんじゃないでしょうか。
この話はあくまでフランスの話ではありますが、 おそらく他の国にも大なり小なり影響を与えることになりそうです。 私としてはとても喜ばしいことです。
いろいろやることが多くて、時間をとるのが難しいですが、 GRUBの開発方面に顔を出すと、すごくリラクゼーションになるということがよくわかりました。 たまには気分転換できるといいものです。 純粋に技術のことだけを考えられるのがいいのかも、とか感じてます。 今の立場になると、GRUBのボランティア活動からは足を洗わないと仕方がないのかなと覚悟していたのですが、 当分やめたくなりそうにもありません。
ちなみにですが、 最近やっていたことの一つは、新しいプレスリリースを書くことで、 中央銀行、オープンソースのERP5を8ヶ国に導入成功 〜プロプライエタリなERPシステムに失敗した後、Nexediのサービスへ移行〜 です。 今回は元が英語のものを翻訳したこともあって、 あんまり日本っぽくない体裁になってしまいました。 オリジナルから一週間近く遅れてしまったのが少し残念でしたが、 何とか形にはできたと思います。
ところで、最近ふと思っていることですけど、 ソフトウェアの自由を信奉する人たちはもっと「哲学臭さ」を抜いた方がいいんではないかなあ。 自戒をこめて。
世の中にはすごい人がいるのかもしれませんけれど、 大抵の人は、生まれながらに「自由こそ全て!」とか思って現れるわけではなくて、 何かもっと生々しいこととか、身近な出来事とか、そういう実際的な部分から「あー、やっぱり重要なんだなあ」とか噛み締めていくものじゃないでしょうか。 いきなり抽象的な話をされても、「確かに論理的にはそうなんだろうけどさ」と流されるのがオチではないのかな?とか。
例えば、あの RMS だって、出発点はすごく現実的じゃないですか。 いきなり「こういう世界は間違っている」とか言い出したわけではなくて、 プリンタドライバがいじれなくて苛々したとか、 ずっとコードがあるのが当たり前だったのに、急にそうではなくなって、仲間もばらばらになったとか、 すごく分かりやすいことから始まっているんですよね。 もっとそういう実際的なことを語った方がもう少し納得しやすい気がします。
ちなみに、私の場合は、フリーソフトウェアのおかげでプログラミングを勉強できて、しかもその使っているソフトウェアがいじれることのすごさ、便利さ、逆にコードのないものの究極的不便さ、なんかが始まりだった気がします。
私もHDDのシークの遅さには辟易しているので、 SSDに期待する気持ちが強いのはよくわかるのですけど、 ちょっと熱狂しすぎで、本当によく考えているのかなあ?と思うこともしばしばです。
OCZ Core Series のような廉価な製品が出回りはじめたおかげで、ますますこの傾向に拍車がかかっているのでしょうけれど、 個人的には、耐性の低さを考慮すると、私のようなヘビーユーザにはとても無理だろうと感じています。 SSD Write Limit には、Eee PCでどうなるかを計算してみた結果がのっていますが、 1、2年程度で壊れるのではちょっと無理です。
技術的な情報は、英語版のWikipediaの Solid-state drive、Flash memory、 Flash drive 辺りによくまとまっているので、詳細は割愛します。 しかし、ときどき Wear levelling のことをわかっていない人が見受けられるので、ちょっと書いておくと、
残念ながら、その先にあることで、私もよくわかっていないことがあります。 識者の方にご教授いただければありがたいと思っています。 次の二点です。
SSDをHDDの代わりに使うのは、寿命がもっと長くならない限り、かなり用途を選ぶんじゃないかなあと想像します。
Before...
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