二条乃梨子(にじょう のりこ)とは、ライトノベル『マリア様がみてる』及びそれを原作とするアニメの登場人物である。
第9巻「チェリーブロッサム」から登場する、福沢祐巳より1学年年下の新入生。おかっぱ頭がトレードマークで、時々市松人形に例えられる。三度の飯より仏像鑑賞が好きな仏像マニア(今で言う仏女)で、これが原因で本命の高校に落ちてしまい、大叔母・菫子の推薦したリリアン高等部に不本意ながら入学する。元々リリアンに縁が無かったため当初は校風に馴染めず孤立していたが、桜の木の下で藤堂志摩子と運命の出会いを果たす。マリア様の宗教裁判など様々な事件を経て、志摩子と姉妹(スール)の契りを交わし、白薔薇さまのつぼみ(ロサ・ギガンティア・アン・ブゥトン)となる。
真面目なしっかり者である上に、外部入学ながら入学式代表に選ばれるほどの秀才。そのため、山百合会のメンバーになってから即戦力として早くから大活躍し、志摩子はもちろん祐巳や島津由乃にとっても頼れる相談役となっている。普段は淡々としていてクールな性格だが、志摩子や後述の松平瞳子のためならば、がむしゃらなまでに懸命になる熱さも併せ持つ。
その瞳子とは、入学した時からの腐れ縁。当初は瞳子の馴れ馴れしい言動を鬱陶しく思っていたが、彼女が次第にクラスから孤立し始めるようになると、その身を案じるようになる。瞳子が祐巳と姉妹になることによって彼女が救われることを誰よりも望んでおり、瞳子には祐巳がいないとダメと志摩子に打ち明けたり、無事に姉妹の契りを結んだことを知った時は、大粒の涙を流しながら号泣した(いずれもここの原作絵は必見!)。マリア様の宗教裁判で窮地に立たされた志摩子を助けた時もそうだが、いつもは冷静沈着な乃梨子が、大切な人のためならば情熱的になり、感情をさらけ出して泣く場面は、いずれも読者の心の胸を打って止まない。
こうした世話好きで献身的な乃梨子の言動は、かつての水野蓉子を彷彿させるところがある。彼女もまた佐藤聖のことをいつも気に掛けていたが、原作者が意図的に重ね合わせて描いたと思われる節もある。順当に行けば、祐巳たちが卒業した後、乃梨子・瞳子・有馬菜々が三薔薇さまとなる。紅白こそ逆だが、祐巳→乃梨子(山百合会の中核)、聖→瞳子(やさぐれていた昔を克服)、江利子→菜々(顔から声まで全て引き継ぐ)となり、もしかしたら祥子や祐巳の代を上回るオーラや風格が出てくるのかもしれない。
第9巻「チェリーブロッサム」の前半「銀杏の中の桜」は、リリアンに入学したばかりの乃梨子の視点で描かれるストーリーだが、元々「マリア様がみてる」はこの話を単独で発表した読み切り作品であった。そのため、実は乃梨子がマリみての初代主人公だったのである。この作品では、主要人物として詳しく描かれているのは乃梨子・志摩子・瞳子の三人のみであり、小笠原祥子と支倉令はまだ名前も無く単に紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)、黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)と呼ばれていた。令が乃梨子の顎を引き寄せて品定めするという今では考えられない行動を取ったのも、まだキャラクターが決まっていなかったためである(瞳子も後の作品とかなり印象が異なる)。
この作品が好評だったため、話を一年前の志摩子がまだ1年生だったころまで遡り、新たに登場した主人公・福沢祐巳と紅薔薇さまになる前の小笠原祥子をメインにした、俗に無印と呼ばれる第一作「マリア様がみてる」が誕生したのである。
しまのりとは、藤堂志摩子と二条乃梨子のカップリングである。元々、マリみて第一作が乃梨子と志摩子の出会いの物語であるだけに、その歴史はとても古く、様々なカップリングの中でも、トップクラスの人気を誇る。
藤堂志摩子の記事にも記してあるが、一歩引いた聖と志摩子の関係とは対照的に、しまのりは百合分が非常に濃い。祐巳も二人の関係を「初々しい新婚夫婦」と評しており、見てるこちらがもどかしくなるほどのラブラブっぷりを見せてくれる。また、志摩子はシスター志望でもあるため、聖と栞のようなある種の背徳感も醸し出している(実際、SSでは志摩子が神への信仰と、乃梨子との恋の板挟みになって悩む話がよく見られる)。
ビジュアル的にも、日本人離れした美貌の志摩子と和風美人の乃梨子は対照的で絵になるのだが、アニメでも二期・四期のEDに描かれた志摩子と乃梨子のイラストは、いずれもキス寸前のガチ百合仕様。中嶋敦子女史、GJである。
話が少しそれるが、乃梨子役の清水香里と志摩子役の能登麻美子は、アニメ「スクールランブル」でもそれぞれ高野晶・塚本八雲役で茶道部の先輩・後輩を演じていた。中の人繋がりか、この二人をマリみて風にパロディ化したイラストもしばしば見受けられた(但し、先輩後輩の関係は逆になっている)。スクランはマリみて二期(通称「春」)の直後に放送されたが、共通する声優が非常に多いため、当時話題にもなった。
初代主人公とは言うものの、多くの読者は無印の単行本から入った人が多いため、生粋のリリアンっ娘である祐巳とは全く異なるタイプのキャラクターである乃梨子の登場は、当時の読者にとって意外かつ新鮮だったらしい。先述の通り、普段はクールで無愛想なところもあるが、ここぞという場面で誰よりも情に厚い面を見せるギャップに惚れた人も多いだろう。
また、乃梨子と言えばやはり仏像絡みの話題が多い。しまいには、公式でも志摩子を観音様と思って拝み出したり、webラジオドラマでは校内に住む野良猫のゴロンタを仏師の運慶と命名するなど、ネタに事欠かない。公式・非公式問わず、ツッコミ役としても定評があり、瞳子や島津由乃に対してジト目になるイラストもよく見られる。
しまのり以外にも、乃梨子は瞳子とのカップリングもよく目にする。瞳子との付き合いも志摩子と同様に長く、二人の間にも様々なドラマが生まれた。当初乃梨子は、表面上は馴れ馴れしい瞳子を鬱陶しく思っていたが、次第に孤独な瞳子の内心に触れて、彼女を手助けするようになる。第27巻「大きな扉 小さな鍵」で瞳子が祐巳を傷つけたことを後悔して絶望した時、救いの手を差し伸べたのが誰であろう乃梨子だった。乃梨子は早い段階から瞳子を呼び捨てで呼んでいたが、瞳子もこの時から乃梨子を呼び捨てで呼ぶようになり、二人は胸襟を開いて分かち合える親友となったのである。よって、この二人は百合よりも友情的な面が強く描かれており、二次創作でもなかなかのコンビネーションを発揮している。
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最終更新:2024/12/23(月) 19:00
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