利子とは、お金の貸し借りに関する用語である。利息とほとんど同じ意味として扱われる。
お金を貸し借りするとき、貸し手が借り手へ渡すお金を元金(がんきん)という[1]。
貸し手が借り手に現金を貸すと、貸し手は不自由な状態に転落し、財産権が劣化して財務体質が悪化する。貸す前の貸し手は現金に対する所有権を持っていて、現金を全面的に支配し、現金を自由に使用・処分できる状態だった。しかし貸すことによって貸し手は現金に対する所有権が大幅に制限され、現金を支配することができず、現金を自由に使用・処分することもできなくなり、その代わりに「借り手に対する期間付き債権」を与えられた[2]。
貸し手が借り手に銀行振り込みして貸すときもほぼ同様で、貸し手は不自由な状態に転落し、財産権が劣化して財務体質が悪化する。貸す前の貸し手は銀行預金という流動性・換金性が極めて高い債権を持っていたのに、貸した後の貸し手は「借り手に対する期間付き債権」という流動性・換金性が低い債権を持つことになった[3]。
お金を貸すことで貸し手の財産権が劣化して財務体質が悪化する。言い換えると、お金を貸すことで、元金ぶんのお金を使って買い物できる自由な状態から、元金ぶんのお金を使えず買い物できない不自由な状態に転落する。貸し手は不自由という損害に対する賠償金を借り手に請求したい。
貸し手が借り手に元金を貸している間に、インフレーションが起こって通貨価値が下落することも十分に考えられる。貸し手は借り手に対してインフレーションによる損失の埋め合わせを請求することになる。
また、元金を貸している間の貸し手は「借り手が返済しないかもしれない、債務不履行が起こるかもしれない」という不安と戦わねばならず、その心痛に対する慰謝料も請求したいところである[4]。
貸し手が元金を自由に処分する権利を失うことに対する損害賠償金と、貸し手が通貨価値の下落によって損失を受けることに対する損害賠償金と、貸し手が債務不履行の不安で疲れることに対する慰謝料の合計が、利子とか利息というものである。
借り手は元金に利子を付けて返済する。
利子と利息はほとんど同じ意味として扱われる。
「借り手が支払うものを利子、貸し手が受け取るものを利息という」と説明されることもあるが、辞書では同一の用語として扱われる[5]。
民法と商法と会社法と利息制限法と出資法と貸金業法と銀行法では利子という言葉を使わず利息という言葉だけを使っている。所得税法や法人税法では利子と利息の両方の言葉を使っている。
ゆうちょ銀行以外の銀行と信用金庫と労働金庫と信用組合では「預金の利息」と表現することが一般的である。ゆうちょ銀行では「貯金の利子」と表現している[6]。
利子や利息をお金で得る場合は、貨幣利子と表現する。利子や利息を「お金以外の物品またはサービス」で得る場合は、実物利子と表現する。21世紀の日本は貨幣経済が浸透しているので、利子とか利息というと貨幣利子のことを指す。
利子の計算方法は、単利と複利の2種類がある。詳細はそれぞれの記事を参照のこと。
単利の場合は、元金のみに対して期日と利率を掛けて利子を計算する。利率は年利(%)、つまり「1年で●%」という表現をすることが一般的である。
10000円を借り利率が年利3%であって金銭貸借の期間が60日だったとする。その場合は、年利を一日あたりの数値に変換するために3÷365と計算して、「1日あたり約0.008%」という数値を得る。1日あたり約0.008%の利率が60日間続いたので、0.008×60と計算して0.4931%となる。この場合の利子は10000円の0.4931%なので、10000×0.01×0.4931=49.31で、49円となる。
あるいは、次のように計算する。60日を年に変換するため60÷365と計算して、「60日は0.16438年」と把握する。「10000円を年利3%で0.16438年借りた」と考え、10000×0.01×3×0.16438と計算し、49円と利子を計算する。
利子を計算するための割合のことを利率という。この利率は百分率(%)で表示されることが多い。また前述のように、1年で●%といった意味の年利で表示されることが一般的である。
単利の場合は、年利を月利や日歩(ひぶ)に換算するのが簡単である。
月利というのは1ヶ月で●%といった意味である。年利3%なら月利は3÷12と計算して0.25%になる。
日歩(ひぶ)というのは少々ややこしくて1日で●%といった意味ではない。元金100円に対して1日に●銭の利子が付く、と考えるのが昔からの伝統である。円ではなく銭で利子を表現する。銭というのは1円=100銭で計算する単位である。
年利3.65%なら3.65÷365と計算して「1日あたり0.01%」になる。元金100円ならば100円×0.01×0.01と計算して1日の利子が0.01円になる。0.01円は1銭なので、元金100円ならば1日の利子が1銭であり、このことを「日歩は1銭」という[7]。
お金を貸し借りした期間の数え方には3通りがある。
借入日と返済日の両方を日数として数えて、貸し手が得をするのが両端入れ(りょうはいれ)である。1月1日から1月7日までの借り入れなら7日間の借り入れと計算する。
借入日を日数として数えず返済日を日数として数えて、貸し手が少し得をするのが片落ち(かたおち)である。1月1日から1月7日までの借り入れなら6日間の借り入れと計算する。
借入日も返済日も日数として数えず、貸し手があまり得をしないのが両落ち(りょうおち)である。1月1日から1月7日までの借り入れなら5日間の借り入れと計算する。
約定利息(やくじょうりそく)とは、借り手と貸し手が契約を結んで決める利息である。
法定利息(ほうていりそく)とは、法律によって定められている利息である。民法や商法や供託法に法定利息を定めた条文がある。詳しくは利子のWikipedia記事を参照のこと。
約定利率(やくじょうりりつ)とは、借り手と貸し手が契約を結んで決める利率である。
約定利率については利息制限法や出資法によって上限が定められている。詳しくは本記事の『日本における利率の制限』の項目を参照。
法定利率(ほうていりりつ)とは、法律によって定められている利率である。先述の法定利息を計算するための利率を法定利率という。
貸し手と借り手がお金の貸し借りをする契約を結んだにも関わらず約定利息や約定利率について何も決めなかった場合は、民法404条に基づいて利率を定める。この場合の利率も法定利率という。2021年9月の時点では民法404条第2項による利率は年利3%と決められている。
金利というのは広い意味を持つ言葉で、利子(利息)と利率と利回りという3つの意味を持っている。文脈によって意味が変わる。
金利生活者というときの金利は利子(利息)という意味であり、「短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場における金利」というときの金利は利率という意味であり、「短期金融市場のオープン市場の国庫短期証券市場における金利」というときの金利は利回りという意味である。
日本において借り手と貸し手が金銭消費貸借契約を結び、双方の合意のもとに約定利率を確定させたとしても、行政・司法が法律に基づいてその約定利率の全部または一部を無効とすることがある。
「あまりに高い利率が横行して借り手を経済的に困窮させてはいけない」という債務者保護の思想がある。
日本の法律では、人を「業として金銭の貸し付けを行うわけではない人」と「業として金銭の貸し付けを行う人」の2種類に分ける。
業として金銭の貸し付けを行うわけではない人 | 業として金銭の貸し付けを行う人 | |
代表例 | 非・金融業者が友人・隣人に金銭を貸す 銀行や貸金業者といった金融業者が子会社に金銭を貸す |
銀行や貸金業者といった金融業者が顧客に金銭を貸す |
利息制限法の第1条で「元金が10万円未満なら年間利率20%まで、元金が10万円以上100万円未満なら年間利率18%まで、元金が100万円以上なら年間利率15%までが有効である。それを超えた分の利率は無効である」と定められている。
利息制限法第1条に反して「元金100万円で年間利率30%」という金銭消費貸借契約を結んでも、民事裁判を起こせば、裁判所が「その契約は元金100万円で年間利率15%というものになります」と認定してくれる。
利息制限法には罰則がないので、利息制限法第1条を無視しても警察に捕まえられることがない。
この規定はすべての人に適用される。
出資法の第5条第1項で「1年365日の年で年間利率109.5%を超えて貸し付ける契約をしたり、1年366日の閏年で年間利率109.8%を超えて貸し付ける契約をしたりしたら、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められている。
この規定は「業として金銭の貸し付けを行うわけではない人」に適用される。
非・金融業者であっても友人や隣人に対して年利110%で貸し付けたら、お巡りさんのお世話になってしまう。
出資法の第5条第2項で「銀行や貸金業者が業として年間利率20%を超えて貸し付ける契約をしたら、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められている。
出資法の第5条第3項で「銀行や貸金業者が業として1年365日の年で年間利率109.5%を超えて貸し付ける契約をしたり、1年366日の閏年で年間利率109.8%を超えて貸し付ける契約をしたりしたら、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められている。
貸金業法の第42条で、「貸金業者が業として1年365日の年で年間利率109.5%を超えて貸し付ける契約をしたり、1年366日の閏年で年間利率109.8%を超えて貸し付ける契約をしたりしたら、その金銭消費貸借契約は無効とする」と定められている。
これらの規定は「業として金銭の貸し付けを行う人」に適用される。
業として金銭の貸し付けを行うわけではない人 | 業として金銭の貸し付けを行う人 | |
代表例 | 非・金融業者が友人・隣人に金銭を貸す | 銀行・貸金業者といった金融業者が顧客に金銭を貸す |
20%以下の年間利率 | 合法 | 合法 |
1年365日の年で20%を超えて109.5%以下の年間利率、1年366日の閏年で20%を超えて109.8%以下の年間利率 | 民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利20%に引き下げてくれる。 貸し手は刑事罰を受けない |
民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利20%に引き下げてくれる。 貸し手は出資法第5条第2項により刑事罰を受ける。5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金、またはその併科 |
1年365日の年で109.5%を超える年間利率、1年366日の閏年で109.8%を超える年間利率 | 民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利20%に引き下げてくれる。 貸し手は出資法第5条第1項により刑事罰を受ける。5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金、またはその併科 |
貸金業者の場合は、貸金業法第42条に基づき、金銭消費貸借契約が無効とされる。 貸し手は出資法第5条第3項により刑事罰を受ける。10年以下の懲役、または3000万円以下の罰金、またはその併科 |
元金が10万円以上100万円未満であるなら、利率の規制は次のようになる。
業として金銭の貸し付けを行うわけではない人 | 業として金銭の貸し付けを行う人 | |
代表例 | 非・金融業者が友人・隣人に金銭を貸す | 銀行・貸金業者といった金融業者が顧客に金銭を貸す |
18%以下の年間利率 | 合法 | 合法 |
18%を超えて20%以下の年間利率 | 民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利18%に引き下げてくれる。 貸し手は刑事罰を受けない |
民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利18%に引き下げてくれる。 貸し手は刑事罰を受けないが、金融庁の行政処分を受ける |
1年365日の年で20%を超えて109.5%以下の年間利率、1年366日の閏年で20%を超えて109.8%以下の年間利率 | 民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利18%に引き下げてくれる。 貸し手は刑事罰を受けない |
民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利18%に引き下げてくれる。 貸し手は出資法第5条第2項により刑事罰を受ける。5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金、またはその併科 |
1年365日の年で109.5%を超える年間利率、1年366日の閏年で109.8%を超える年間利率 | 民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利18%に引き下げてくれる。 貸し手は出資法第5条第1項により刑事罰を受ける。5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金、またはその併科 |
貸金業者の場合は、貸金業法第42条に基づき、金銭消費貸借契約が無効とされる。 貸し手は出資法第5条第3項により刑事罰を受ける。10年以下の懲役、または3000万円以下の罰金、またはその併科 |
金融業者が「18%を超えて20%以下の年間利率」の契約を結ぶと、金融庁によって行政処分を受ける。銀行なら銀行法に基づき行政処分を受け、貸金業者なら貸金業法に基づき行政処分を受ける[8]。
元金が100万円以上であるなら、利率の規制は次のようになる。
※「元金が10万円以上100万円未満である場合」とほとんど同じで18%を15%に置き換えただけである
業として金銭の貸し付けを行うわけではない人 | 業として金銭の貸し付けを行う人 | |
代表例 | 非・金融業者が友人・隣人に金銭を貸す | 銀行・貸金業者といった金融業者が顧客に金銭を貸す |
15%以下の年間利率 | 合法 | 合法 |
15%を超えて20%以下の年間利率 | 民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利15%に引き下げてくれる。 貸し手は刑事罰を受けない |
民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利15%に引き下げてくれる。 貸し手は刑事罰を受けないが、金融庁の行政処分を受ける |
1年365日の年で20%を超えて109.5%以下の年間利率、1年366日の閏年で20%を超えて109.8%以下の年間利率 | 民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利15%に引き下げてくれる。 貸し手は刑事罰を受けない |
民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利15%に引き下げてくれる。 貸し手は出資法第5条第2項により刑事罰を受ける。5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金、またはその併科 |
1年365日の年で109.5%を超える年間利率、1年366日の閏年で109.8%を超える年間利率 | 民事裁判になると利息制限法第1条に基づき裁判所が年間金利15%に引き下げてくれる。 貸し手は出資法第5条第1項により刑事罰を受ける。5年以下の懲役、または1000万円以下の罰金、またはその併科 |
貸金業者の場合は、貸金業法第42条に基づき、金銭消費貸借契約が無効とされる。 貸し手は出資法第5条第3項により刑事罰を受ける。10年以下の懲役、または3000万円以下の罰金、またはその併科 |
借り手と貸し手が金銭消費貸借契約を結んで双方の合意のもとに約定利率を確定させるときには、いくつかの考え方がある。
非・金融業者が友人にお金を貸すときは、本記事の「概要」のように考えて利率を決めていく。
すなわち、お金を貸している間はそのお金を自由に使えないという経済的不自由に対する損害賠償金と、インフレーションで通貨価値が下がっていくことに対する損害賠償金と、債務不履行が起こるかもしれないという不安に苛まれる精神的苦痛に対する慰謝料の3つを合計して、利率を決めていく。
銀行が顧客にお金を貸す場合は、すこし考え方を変えて利率を決める。
銀行が顧客へ融資を行うときは、短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場における貸し出し利率よりも必ず高い利率にして、利鞘(りざや)を稼ぐ。
銀行は「短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場における貸し出し利率は、インフレ率を反映している」と基本的に信用している。そのため短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場における貸し出し利率に、「債務不履行が起こるかもしれないという不安に苛まれる精神的苦痛に対する慰謝料(信用リスク)」を追加して、さらには人件費などの経費を追加して、そうやって利率を決める。
貸金業者が顧客にお金を貸す場合は、銀行と似たような考え方で利率を決める。
貸金業者が顧客へ融資を行うときは、銀行が貸金業者に貸し出すときの利率よりも必ず高い利率にして、利鞘(りざや)を稼ぐ。
貸金業者は「銀行が貸金業者に貸し出すときの利率は、インフレ率をある程度上回っている」と基本的に信用している。そのため銀行が貸金業者に貸し出すときの利率に、「債務不履行が起こるかもしれないという不安に苛まれる精神的苦痛に対する慰謝料(信用リスク)」を追加して、さらには人件費などの経費を追加して、そうやって利率を決める。
お金を貸している世の中の人たちはすべて「貸し出しの利率はインフレ率よりも上回っているのだろうか、それとも下回っているのだろうか」ということに大きな関心を持っている。
貸し出しの利率がインフレ率を上回っていれば一安心だが、貸し出しの利率がインフレ率を下回っていると損害をこうむることになる。
「貸し出しの利率はインフレ率よりも上回っているのだろうか、それとも下回っているのだろうか」ということを把握するための概念を実質金利という。
「貸し出しの利率がインフレ率よりも上回っている」というのは分かりやすい表現なのだが、記述するのに長くて不便である。このため「実質金利がプラスである」と簡潔に表現することが多い。
「実質金利がプラスである」というのは、いかにも経済学といった感じの分かりにくい表現だが、文字数が少ないのが長所である。
名目金利というのは、ごく普通に発表されている金利のことである。
「短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場における貸出金利が実質金利プラスの状態である」というのなら、コール市場における貸出金利がインフレ率よりも大きい状態である。貸し手が得をしている状態であり、借り手が損をしている状態である。
短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場における貸出金利は、銀行と家計・企業の間における貸出金利に強く影響を与える。
「銀行から家計・企業に対する貸出利率や、家計・企業から銀行に対する貸出利率[9]が実質金利プラスの状態である」というのなら、貸し手が得をしている状態であり、借り手が損をしている状態である。
人々は「お金を借りて債務者になって消費するよりも、お金を銀行に預けて債権者になった方が得だ」と考えて、消費をとりやめることになる。
中央銀行が「インフレ率が高すぎて銀行間取引市場の貸し出し金利が低すぎる」と判断して利上げを行った場合、実質金利がプラスになることがある。
何らかの理由でインフレ率が急下落し、中央銀行の金融調節が間に合わなかった場合、実質金利がプラスになることがある。
「短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場における貸出金利が実質金利ゼロの状態である」というのなら、コール市場における貸出金利がインフレ率とぴったり同じであることを意味している。貸し手も借り手もまったく損得が無い状態である。
「短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場における貸出金利が実質金利マイナスの状態である」というのなら、コール市場における貸出金利がインフレ率よりも小さい状態である。貸し手が損をしている状態であり、借り手が得をしている状態である。
短期金融市場の銀行間取引市場のコール市場における貸出金利は、銀行と家計・企業の間における貸出金利に強く影響を与える。
「銀行から家計・企業に対する貸出利率や、家計・企業から銀行に対する貸出利率が実質金利マイナスの状態である」というのなら、貸し手が損をしている状態であり、借り手が得をしている状態である。
人々は「お金を借りて債務者になって消費するほうが、お金を銀行に預けて債権者になるよりも得だ」と考えて、消費するようになる。
中央銀行が「インフレ率が低すぎて銀行間取引市場の貸し出し金利が高すぎる」と判断して利下げを行った場合、実質金利がマイナスになることがある。
何らかの理由でインフレ率が急上昇し、中央銀行の金融調節が間に合わなかった場合、実質金利がマイナスになることがある。
実質金利について表にまとめると次のようになる。
実質金利が プラス |
実質金利が ゼロ |
実質金利が マイナス |
|
インフレ率 | 貸出金利よりも低い | 貸出金利と全く同じ | 貸出金利よりも高い |
貸出金利 | インフレ率よりも高い | インフレ率と全く同じ | インフレ率よりも低い |
貸し手・債権者 | 経営しやすい | 経営が厳しい | |
借り手・債務者 | 経営が厳しい | 経営しやすい | |
増えやすい考え方 | 「債務者になって消費をするのはもったいない、銀行預金して債権者になろう」 | 「銀行預金して債権者になっても損だ、債務者になって消費しよう」 | |
インフレ・デフレ | デフレ圧力 | インフレ圧力 |
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最終更新:2024/12/23(月) 00:00
最終更新:2024/12/23(月) 00:00
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