三好長慶とは (ミヨシナガヨシとは) [単語記事]

「三好長慶」（みよし・ながよし　1522～1564）とは、阿波を本拠地とする戦国時代の武将・大名であり、後に畿内をほぼ制圧し『日本の副王』とも呼ばれた有力者であり、名前を『ちょうけい』と音読みされる事が多い人であり、次々に身内の不幸に見舞われてストレスがマッハになり病死してしまった苦労人である。

また、弟達や一族家臣はニコニコ大百科に記事があるのに、いつまでも単体記事が作成されなかった不遇の兄貴。

概要

三好元長の長男として誕生する。三好義賢・安宅冬康・十河一存・野口冬長の兄で、まとめて『三好四兄弟』と呼ばれる事もある。

父・三好元長は細川晴元に仕えていたが、その声望と勢力を恐れた主君晴元の策謀により元長が殺されてしまう。長慶はまだ幼少（10歳）だったので、父同様に殺される事なく家督を継承し晴元に仕えることとなった。晴元家臣として記録に残るところでは12歳から和睦交渉や一向一揆との合戦などで活躍し始め、父・元長の頃の勢力を盛り返ていった。そして主君である晴元とのすったもんだを経て、もう陪臣じゃないやいとばかりに直接幕府と交渉したり、大兵力で上洛したらそれにビビッた晴元が京から退去したりと、完全に力関係が逆転していった。当時は応仁の乱や一向一揆の隆盛で京・畿内の情勢はとんでもなく混沌としており、四国の阿波を根城としていた長慶はその点でも勢力を伸ばしやすかったのだろう。

そんなある日、父・元長を謀殺した仇敵の一人である三好政長を討つ許可を主君晴元に求めるが、政長を信任していた空気の読めない晴元は、

　　　　〃〃∩ 　_, ,_
　　　　　⊂⌒（　`Д´）　＜　政長討っちゃヤダヤダ！
　　　　　　｀ヽ_つ ⊂ノ
　　　　　　　　　　　　　　ジタバタ

　　　　　　_, ,_
　　　　　（`Д´ ∩　＜　長慶も大事な家臣だしケンカしちゃヤダヤダ！
　　　　　⊂　　　（
　　　　　　　ヽ∩　つ　　ｼﾞﾀﾊﾞﾀ
　　　　　　　　　〃〃
　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　∩
　　　　　⊂⌒(　　_, ,_）　＜　元長の事はもう忘れてくれなきゃヤダー！
　　　　　　｀ヽ_つ ⊂ノ
　　　　　　　　　　　　　　ﾋｯｸ...ﾋｯｸ...

　　　　　　　∩ 　_, ,_
　　　　　⊂⌒(　ﾟ∀ﾟ）　＜だから聞かなかったことにする
　　　　　　｀ヽ_つ ⊂ノ

と拒否されると、堪忍袋の緒が3つぐらい立て続けに切れた長慶は武力蜂起に及んだ。晴元には近江の六角定頼が味方したが、長慶は弟達とともに細川・六角連合軍を破り、仇敵政長を討ち取った。更に晴元と足利義晴・義輝を追放し、新しい主君として細川氏綱を擁立して京を制圧。ここに三好政権が誕生したのである。

野心に燃える人ならここで天下人として幕府を滅ぼし天下統一と考えてもおかしくないのだが、そういった野心はなかったのか、将軍家である足利義輝との和睦交渉を始めた。が、これは足利方の拒否により不首尾に終わっている。さらにまだ懲りない六角・細川・足利連合は京へ帰還しようと合戦を仕掛けるが、長慶に迎撃命令を出された皆大好きボンバーマンこと世界のギリワン松永久秀…の弟の松永長頼により撃退される。細川・足利はそれで凹んだのか、六角氏を前に出して本格的に和睦交渉をやり始め、ついに和睦が成立。細川晴元は事実上隠居に追い込まれるものの、足利義輝が将軍、細川氏綱が管領、長慶は将軍家直臣扱いで実権を握るという、編者も書いていて混乱しそうな状況となった。長慶はその前後から丹波・播磨方面に出兵して主導権争いをしていたが、やっぱり懲りない足利義輝と細川晴元がアレコレと敵対してきたので、義輝は近江朽木にまたまた追放され、この時は長慶もいい加減頭がヒットしていたのか5年間も京に戻れなかった。その後、義輝は京には戻れたもののほぼ完全に傀儡とし、長慶は勢力を丹波・河内・大和・和泉・若狭・讃岐などに伸ばして強大な勢力を築き上げ、室町幕府屈指の有力者の地位にあった。

長慶勢力の衰退と病死

そんなこんなで磐石っぽかった三好政権だが、猛将と呼ばれていた弟・十河一存が急死してしまった事をきっかけにいきなり暗転し始める。三好兄弟の中でも軍事を司っていた一存の死により、各地で反三好勢力が活発に動き始め、和泉では畠山氏らによる反撃が開始された。この合戦は最終的には三好勢力の勝利に終わるものの、合戦の最中にもう一人の弟である三好義賢まで戦死してしまう。また、この頃からギリワン松永久秀が各所で暗躍活躍し始め、弟二人を失った空隙を埋めるように勢力を拡大してしまう。長慶の不幸はまだまだ続き、2年後には嫡男義興が僅か22歳で病死してしまい、さらに管領細川氏綱も同時期に病死。この頃には長慶自身はあまり表立った行動を取っておらず、既に病に冒されていたらしい。そんなこんなで心身ともにかなり参っていたところへギリワンの讒言に載せられ、最後の弟安宅冬康を無実の罪で誅殺してしまう。長慶はこの冬康の誅殺により完全にズタボロになってしまい、その直後に病死してしまった。享年43歳。

…そこ、ギリワンの計画通りとか言わない。

※その他「三好長慶」の詳細についてはWikipediaの該当記事参照の事。

三好兄弟とその子供達の末路

それぞれの詳細はニコニコ大百科の各個人記事（この記事を編纂してる段階で長慶以外全員の記事がある）やWikipediaを参照していただきたい。三好兄弟とその子供達の没年時の年齢を見ていくと、

三好長慶：43歳・病死
三好義賢：37歳・戦死
安宅冬康：37歳・誅殺（病死説有り）
十河一存：29歳・急死（暗殺説有り）
三好義興：22歳・病死
三好義継：23歳・自害
三好長治：24歳・自害
安宅信康：30歳・病死？
十河存保：32歳：戦死

…書いてて悲しくなってきた。歴史ゲー界隈では島津家や真田家のぶっ飛び具合を『例の一族』と称するが、こっちはこっちでとにかく短命に定評のある一族である。ただ、三好姓全体が短命なわけではなく、仇敵である三好政長の子供達である三好政康・三好政勝兄弟は逆に長寿で有名である。叔父に当たる三好康長もかなりの高齢で没している。

…やっぱりギリワンのせいかもしれない。

三好長慶の天下人議論と長慶の立ち位置

三好長慶や三好政権の研究が盛んになるに連れ、「三好長慶は天下人であった」という議論が増えてきている。識者の中には織田信長の先駆者、あるいは三英傑に準ずる評価を与える人もいる。歴史的な長慶の評価変遷としては、戦国期に近い頃は信長や秀吉と同格とする史料があったものの、時代が下るに連れて評価が下がり、徳川幕府が倒れた後もそのまま伸びることはなく、最近になってある程度再評価されてきた。長慶を天下人と見做す点としては以下のことが挙げられる。

京都を支配し、朝廷とも比較的良好な関係を築いている。
周辺勢力と争いながらも、高国死亡以後、乱れていた五畿内を制圧している。
勢力圏は11か国（大和、山城、摂津、河内、和泉、丹波、播磨、淡路、讃岐、阿波、伊予）に及び、当時の日本において最大の石高を有していた。
京都、堺という当時の日本における二大経済都市と、淀川経済圏、東瀬戸内経済圏を勢力圏に含め、経済力でも他の大名を圧倒していた。
将軍、足利義輝を戴きながら事実上周辺の政治を取りまとめていた。
というか、長慶は義輝と対決し、将軍不在の時でも近畿に独自の体制を築いて政治運営を行っていた。

そして「日本の副王」という異名が示すとおり、存命当時においては「日本のNo.2」という評価があった。これは朝廷の官位にも現れていて、三好長慶の最終官位は従四位下修理大夫である。

これを他の天下人と比べると

平清盛：従一位太政大臣
源頼朝：正二位征夷大将軍
足利尊氏：正二位征夷大将軍（贈従一位左大臣）
足利義満：従一位太政大臣
織田信長：正二位右大臣（贈従一位太政大臣）
豊臣秀吉：従一位太政大臣
徳川家康：従一位太政大臣

となる。これを見ると確かに朝廷に認められた天下人達に比べ、三好長慶の官位は低く見えてしまう。しかし、長慶と同じような扱いの人達が300年前にもいた。それが鎌倉幕府執権を代々引き継ぐ（鎌倉）北条氏である。

北条義時：従四位陸奥守
北条泰時：正四位下左京権大夫
北条時頼：従五位相模守
北条時宗：従五位下相模守
北条高時：正五位下相模守

少々齟齬はあるものの、概ね長慶と同格の人物が揃っている。鎌倉幕府では源頼朝の系統の死後、将軍の実権は徐々に制限され、事実上執権、のちには得宗が実権を握っていった。三好長慶もまた、13代将軍である足利義輝と管領であった細川晴元らを上手く牛耳り、操ることで天下の政局をある程度掌中におさめることができたのである。

三好長慶を天下人に数えるかどうかは、未だに識者、学者の中でも意見が分かれている。しかし、たとえ天下人でないにせよ、鎌倉幕府を牛耳った執権北条氏のように、影から政権を一定コントロールすることはできたのである。だが、鎌倉幕府の北条氏が内管領に実権を取られ、やがて新興勢力に滅ぼされてしまったように、三好家もまた、松永久秀や三好三人衆が実権を握り始め、長慶が死ぬと新興勢力である織田信長に取って代わられた。長慶のいなくなった三好家は散り散りになり、抵抗は見せたものの、結局江戸時代まで三好家が残ることはなかった。

戦国大戦

「私が天下を掴むのだ！」

Ver1.0から他の兄弟と共に他家で参戦。そこそこの能力の弓足軽。
計略の「混沌の匣」は、範囲内の敵の統率力を下げる妨害陣形。当初は広い範囲に統率-10とさしもの信玄も統率1に落ちるという性能で大筒の競り合いに勝ちやすく、統率が低くて通常は効果時間が伸びない三好三人衆の一人岩成友通の「力萎えの術」も補助でき、また統率激減で三国志大戦で言う馬鹿火計と同じ混沌火牛等のコンボにも使用できた。

しかしVer1.1で範囲が一気に縮小、その後範囲はやや戻ったが今度は統率低下が-10から-7へ、更に効果時間短縮と散々な下方修正を食らう事になってしまった。まあ士気4であんだけ強かったのもあるけど…

その他

「信長の野望」（PC）シリーズにおける三好長慶の能力一覧。

	軍事能力						内政能力
戦国群雄伝(S1)	戦闘			80			政治	91			魅力	90	野望	91
武将風雲録(S1)	戦闘			65			政治	79			魅力	84	野望	81	教養	85
覇王伝	采配	74	戦闘	70	智謀	88	政治	84					野望	87
天翔記	戦才	140(B)			智才	170(A)	政才	172(A)			魅力	83	野望	89
将星録	戦闘			66	智謀	88	政治	91
烈風伝	采配	90	戦闘	45	智謀	84	政治	90
嵐世記	采配	62			智謀	83	政治	84					野望	95
蒼天録	統率	63			知略	83	政治	84
天下創世	統率	65			知略	82	政治	84							教養	77
革新	統率	91	武勇	67	知略	92	政治	94
天道	統率	91	武勇	67	知略	92	政治	94
創造	統率	92	武勇	65	知略	87	政治	95
大志	統率	91	武勇	70	知略	89	内政	96	外政	95