ダブルクロスとは、
「レネゲイド」と名づけられたウィルスの発症によって、本人の望む望まざるを問わず超能力を手に入れた超人(=オーヴァード)達をPCとして操り、日常を守る為に戦う。
レネゲイドやオーヴァードの存在は隠ぺい工作により世間一般には知られていない(社会的な混乱を招き、オーヴァードが弾圧される事態を防ぐため)。そのために周囲の人々には自分の正体を隠しながら戦い続けなければならない……という変身ヒーローのような苦悩が演出できるシステムになっている。
いわゆる現代超能力アクションを演出するのに大変便利な世界観を持っており、特殊能力を自由に組み合わせることで、かなり幅広いキャラクターを作ることができる。そのためプレイしやすく、スタンダードな現代モノのTRPGの一つとして認知されている。
また文庫のTRPGリプレイが多く刊行され人気となった面もあり、日本TRPG冬の時代を終焉させる一翼を担ったとも言われる。現在でも版上げによるバージョンアップやサプリメントの追加、リプレイの発売などが行われており、メジャー・タイトルの一つと呼べるだろう。
現在はThe 3rd Editionが展開中。SW2.0やアリアンロッド等と同じく基本ルールブックが文庫で手に入るようになった。気軽に手に入れやすくなったため、興味を持たれた方は書店などで探してみるといいだろう。
シーン制やマルチクラス、スキル(=エフェクト)選択制、戦闘におけるエンゲージ制等、一般的にイメージされるF.E.A.R.社製TRPG的なシステムでまとめられている。
ダブルクロスの判定は上方判定(いわゆる「無限ロール」)と呼ばれる部類に属する。
主な判定としては、ミドルフェイズでの判定(主に情報収集・イベント時)と戦闘中の達成値対決が挙げられる。
※クリティカル回数が0、かつ出た目の最大値が1の場合(=最初のロールで出た目が全て1の場合)、ファンブルとなり自動失敗。なお妨害エフェクトのせいで振ることのできるダイスの数が0以下になってしまった場合も自動失敗となる。
戦闘時のダメージは以下のようにして求める。なおダメージダイスにファンブルはない。
「ダメージ=([達成値÷10 ※端数切り捨て]+1)D10+武器による攻撃力+エフェクトによる修正」
[判定の例]
振るダイスの数:5個(クリティカル値8・技能LV4)
1. ダイスを振る。→結果:1,3,4,8,10
2. クリティカルしたダイス2個のみ振る。→結果:5,9
3. クリティカルしたダイス1個のみ振る。→結果:5
4. ロール終了(最大値5)。
5. 達成値=2×10+5+4=29
戦闘時のダメージ算出(攻撃力9)であれば
[29÷10=2 ※端数切り捨て]+1=3 ⇒ 3D10+9
となる。
このようなシステムであるため、振るダイスの数が1個にでもならない無い限り、ファンブルの発生確率は非常に低い。 具体的に言うと、最初に振るダイス数をnと、した場合、確率=1/10nになる(指数関数的に減少する)。
…のはずであるが、世の中には6個ダイスを振ってファンブってしまう人もいたりする。
プレイヤーキャラクター(PC)は、レネゲイドウィルスを発症したために超能力(=エフェクト)が使える。
その最たるものが《リザレクト》というエフェクトである。侵蝕率が100%になるまではレネゲイドウィルスが身体蘇生をしてくれる。例え腕がもげようが首がちょんぎれようが再生させてしまうのである。ゲーム的に説明するならHPが0になっても復活できるということになる。
侵蝕率はシーンに登場するだけでも上昇し、上記のようにエフェクトを使っても上昇する。この侵蝕率をゲーム中に下げる手段は非常に限られており、シナリオ中侵蝕率はどんどん上昇し続けていくことになる。
侵蝕率の上昇に応じて判定ダイスの個数が増える、エフェクトの効力が上がるといった恩恵も得られるが、クライマックスフェイズ終了後に行うバックトラック(=侵蝕率減少)を経てもなお100%以上となってしまった場合、PCは理性を失い、自己の欲望のままに超能力を乱用するジャームと化してしまう。(=NPC化。つまりPCロスト)
上述のジャーム化を唯一、食い止めてくれる存在が「ロイス」(=PCが大切に思っている存在)である。
家族、友人、恋人、仲間、もしくは仇敵、ライバルへの執着……どんな形であれ、大切なものが多ければ多いほど、PCはレゲネイドの侵蝕に耐え、理性を手放さず人間として生きていくことができるのである。
システム的に説明するなら、クライマックスフェイズ終了時に行われるバックトラック時に振るダイスの数を増やすことにつながる。
ロイスとの関係が大きく変わる(例:死別した、裏切られた)などした場合、「タイタス」にすることができる。
タイタスは昇華することにより、戦闘不能状態から復帰する、判定のダイスの個数を増やす、判定後に達成値を加算する等、劇的な力を発揮する。
しかしタイタスは侵蝕率を下げることには利用できない。あまり調子に乗ってロイスをタイタスにしてしまうと、今度は自身がジャーム化してしまう危険を増やすことにつながる。
力を使いすぎれば人間ではいられない。
力を使わなければ、大切なものを守れない。
そんなジレンマに葛藤しながら、大切な日常を守る為に戦う。それが、このゲームの醍醐味である。
ちなみに上級ルールブックを導入することにより、特に大事なロイスを「スペリオルロイス(Sロイス)」に指定することができるようになった。
Sロイスをセッション終了時まで守りぬくことができれば経験点にボーナスが入る。またSロイスをタイタスにして昇華した際は、通常のタイタスよりも強力な効果を発揮する(通常のタイタスとしての効果を選ぶことも可能である)。
PCが通常のロイスとは別に、キャラクター自身の特別な過去や能力、思いを持つことを「ディスクリプトロイス(Dロイス)」として表現する。
Dロイスは7つあるロイス枠のうち一つを埋める代わりに、専用の特殊な効果(例:Dロイス専用エフェクト、装備を使用できる、能力や判定に修正を与える)を得ることができるようになる。
ただしロイス枠の数が減少する関係上、ジャームになる可能性がやや高くなってしまう面があることは否めない。また、この"特別な過去や能力や思い"が、GMが事前に用意したシナリオに合わずセッション進行に支障をきたす可能性もある。Dロイスの運用はGMに許可を得てから行おう。
「エグゾーストロイス(Eロイス)」はレネゲイドに蝕まれた結果ジャームと化し、行動のすべてを欲求に支配されてしまった者が持つ妄執。生み出す効果は凶悪の一言に尽きる。
敵が所持しているEロイスはPCに対し、ジャームに対する反発心を強く抱かせる。システム的に説明するなら、バックトラックの直前に[撃破したエネミーが持っていたEロイスの数]D10を振って侵蝕値を減少させることができる。
余談になるが、GMによっては敵の所持していたDロイス、Eロイスを経験点に加算することもある。
……というのは基本ステージ(世界観)の話。
使い易いシステムが受けたのか、最近はこのような葛藤をあまり表面に出さないような世界観もサプリメントで提供されるようになっており、「一般人とオーヴァードが共存する学園島」「オーヴァードが傭兵として活動する紛争地帯」「第二次大戦前」等、様々な世界観が公式から提供されている。
なお旧版では「平安時代」「ネットゲームの世界」「アキハバラ」といったステージも提供されていた。
3rd Editionのサプリメント『パブリックエネミー』には「シナリオクラフト」という、テンプレートで大まかな構成とハンドアウトを決定し、セッションを進める中でロールとアドリブによりシナリオを作るというシステムが掲載されている。
ある程度TRPGの知識がある方に対しては「大惨事表がシナリオになりました」と表現してもいいかもしれない。
例えば
「ヒロインの夢や理想が"PCのジャーム化"だった!」
「協力者がジャーム化している可能性が!」
などといった展開は日常茶飯事なのである。
TRPGに慣れた、かつ発想力に富んだ方(特に大惨事を全力で満喫できる人)は楽しめるが、大量のアドリブを要求する関係上、初心者には敷居が高くおすすめしづらい。
シンドロームとは、レネゲイドによるエフェクトを分類、体系化したものである。
PCは最大3つまでシンドロームを選択でき、それぞれのシンドロームに属するエフェクトを取得する。それとは別に、オーヴァードであれば誰でも取得できる一般エフェクトも存在する。
・ピュアブリード(純血種)
エフェクトの上限が通常よりも強化され、専用エフェクトの取得も可能になる。
・クロスブリード(混血種/雑種)
2種類のシンドロームを組み合わせて使用することができるため、特性の強化や弱点の補強などもある程度可能になる。
・トライブリード(三種混合種)
3rd Ediitionより追加。
汎用性はクロスブリードよりも増すが、個々のシンドロームの力は弱くなる(=取得レベル上限の減少、一部制限エフェクトの取得不可)。
なお第3のシンドロームはオプショナルシンドロームと呼び、他のシンドロームとは区別する。
エフェクトはおおまかに以下のように分けられる。
『ユニバーサルガーディアン』で追加されたユニークアイテム一式。
更に『デイズドラマCD 初回特装版』でアイテムが追加されている。
通常のユニークアイテム(経験点消費で常備化するアイテム)と異なるのは、そのアイテムが所属する組織の特徴を反映している、ということ。例えば…
といったように、各組織の特徴を表現し、またそれによって組織への帰属意識を高めるアイテムである。
なお、一部アイテムには取得の際にGMの許可が必要なエンブレムもあるので注意。
『エフェクトアーカイブ』より追加されたルール。
他者と作り上げた、自分自身を構成する大きな要素である“思い出”をルール化したもの。
取得には経験点の消費が必要。使用すると、ひとつにつき侵蝕率が10%下がる。同時に複数使用することもできる。
最新版の3rd Editionのルールブック・サプリメントについて、追加された内容を簡単に紹介する。
2nd Editionに入ってから、たくさんのリプレイが刊行されているが、本稿ではDX3時代のリプレイについて軽く説明する。
※ここでの人名は全て敬称略。
掲示板
1975 ななしのよっしん
2024/12/20(金) 19:27:04 ID: 9ZzYoY/PAm
>>1974
単純に新規エフェクトの存在だけで、武器破壊系エフェクト使い放題になるもんね。
あと、黒犬のポルターガイストって地味に攻撃力の増加分が「破壊した武器」じゃなくて「指定した武器」になってるから、モルフェウスの新規エフェクトとの組み合わせがアカンことになってる
1976 ななしのよっしん
2024/12/20(金) 23:38:07 ID: bmna0mWYLY
昔レネゲイドウォーの壊れない武器使って
水晶の剣して、業師で持ってきたポルターガイストで浮かして、オーバーロードして3倍算アタック!
とかしたなぁ
ところで皆アンチェイアームズは読んでますか? 私はkonozamaでーす……ちくしょう
1977 ななしのよっしん
2024/12/21(土) 13:35:49 ID: 9ZzYoY/PAm
>>1976
電子版あるからそれ読んでる。
なるべく詳細データに触れない範囲で言うと、グレイプニルにってデータ上はそこまでミストルティンが天敵って訳でもない。
ただ、「GMは解除条件を設定しても良い」ってエフェクトが結構あるから、「世界観的には「ミストルティンが天敵」ということにして、解除条件は自由に決めてね」みたいな感じだった。
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最終更新:2024/12/23(月) 10:00
最終更新:2024/12/23(月) 10:00
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