イタダキマンとは、タツノコプロの黒歴史タイムボカンシリーズ7作目にして最終作だった作品である。
本作は土曜日夕方6時30分から当時各チャンネル間での競争率がかなり激しかった夜7時30分に移動して放送された。
西遊記をモチーフにした作品であり、シリアスだった前作「逆転イッパツマン」とは打って変わって「52個あるかもしれないし26個あるかもしれないといわれるオシャカパズルを巡って世界を旅する」というコメディ調のストーリーに原点回帰している。
タイトルの「イタダキマン」は「視聴率はイタダキマン」 という意味合いが込められている。
また、当初は「チン遊記オシャカマン」というタイトルだったが縁起が悪かったため、今のタイトルに改められた。
本作はタイムボカンシリーズの忌み子として悪い方向で有名でもある。
その理由はこの作品が生まれた経緯にある。
製作の際に「イッパツマン」からプロデューサーに参加した岡正氏により、マンネリ打破が色々と要求された。
その中で代表的なのが長年シリーズ構成を努めてきた脚本家の小山高生氏とシリーズ全てのOP・EDを担当してきた山本正之氏の降板である。一応、二人共脚本と作曲に参加自体はしているものの、小山氏は脚本を一本書いただけに終わっている。
なお、小山氏は熱心な仏教信者でもあり、登場キャラであるオチャカ校長に「お釈迦様の霊が乗り移った」という設定に対し不謹慎だと発言しており「今までどおりシリーズ構成だったら簡単に辞められなかっただろうから結果的に外されて良かった」と発言している。
さらに放送時間帯移動。イタダキマンが放送されることとなった当時の土曜夜7時30分枠は、裏番組に「クイズダービー」(TBSテレビ)、「あばれはっちゃく」シリーズ(テレビ朝日、関西の朝日放送では「部長刑事」)、さらに夏場には頻繁に日本テレビが巨人戦中継で視聴率を稼ぐという、現在では考えられないほどの視聴率激戦区であり、当時のフジテレビは夜7時台の番組が何をやってもすべて半年で終了するなどかなり苦戦していた。そこに土曜夕方6時30分枠で長年放映される人気作であったボカンシリーズを移動して人気を回復させようと画策したのである。
しかし、時間帯移動は見事裏目に出てしまい視聴率はこれまでの20%から平均9%に急落(現在から見ればそれなりに高い方ではあるが当時と現在ではテレビ事情が大きく異なるため単純比較は野暮である)。
さらに小山氏の構成降板によるものか、作風も従来のシリーズから変化し戸惑いを持った視聴者も少なくなかった。
結果、本放送はたったの19話で打ち切られた。(最終回も典型的な打ち切りオチ)
後に未放送の1話がビデオソフトや再放送などで日の目を見た。ついでにいうと、小山氏と山本氏は打ち切り決定を聞いて共に「ざまあみろ!」と喝采をあげたという逸話もある。
そして、この作品の放送終了後、ボカンシリーズのスポンサーを務めたタカトクトイスは、イタダキマンや同時期にスポンサーについていた「超時空世紀オーガス」「銀河疾風サスライガー」の関連グッズの売上不振が引き金となってまもなく倒産した。タツノコプロの創業以来長年にわたってタツノコプロ作品を放送してきたフジテレビとの仲も悪くなってしまったのか、「スターザンS」「よろしくメカドック」「炎のアルペンローゼ」を放送したあと、なんと約25年もの間タツノコプロはフジテレビでアニメを放送しなくなってしまった(ちなみに復帰作はノイタミナ枠で放送された『C(アニメ)』である)。
おかげで「継子のイタダキマン」「シリーズの鬼子」と散々な評価を下されてしまっている他、知名度もあまり高くない。
挙句、OVA「タイムボカン王道復古」では「シリーズを象徴しておりますねぇ」と自虐ネタとして扱われていたり(さらにCDドラマ収録のソングでは「すぐに終わりそう」とまで言われている)、山本氏によるボカンソングやタツノコプロオールスター総出演の特番アニメでもイタダキマンだけハブられていたり、ゲーム「ボカンGoGoGo」でのイタダキマンEDでは「私達脇役としても出足りないもんねぇ」とまた自虐ネタが出たり、 ファンイベントにおいてイタダキマン関連の歌だけ歌われなかった上に小山カメラマンは「イタダキマンはどうでもいい」と発言した。ネタにしすぎな上に、いつまで恨んでいるんだ・・・
以上のことから色々な意味でタツノコプロの転機となってしまった作品であると言える。
放送から30年が経過した今だからこそ再評価されてもいい気がしないでもない。
また、山本氏は現在ではイタダキマンに対して少々わだかまりが解けたらしく、DVD-BOX化の際に購入特典として新たに「イタダキマンの歌」を書き起こした。ここでもまた一騒動あり、歌詞が歌詞だけに穿った見方をする人もいるがそれはまた別の話である。
掲示板
21 ななしのよっしん
2023/03/18(土) 16:24:25 ID: 4lqP3vDZjD
クイズダービーの裏に移動させられたのがすべて。
元の時間帯のままだったら、普通に1年間完走してた
と思うよ。
結局、あの時間だから視聴習慣があったんであって、
そこを離れたら別に見なくてもいいやというレベルの
話なんだよ。
22 ななしのよっしん
2023/05/31(水) 17:28:59 ID: 4lqP3vDZjD
あの枠で平均9%というのは、むしろ健闘した方
だと思う。
ただ、裏番組とバッティングしないよう対象年齢
を引き上げたのが致命傷になってしまった。
おもちゃを欲しがる幼児が離れ、ハイティーンが
メインの視聴者となり、スポンサーが降りる。
快傑ズバットと全く同じ構図。
23 ななしのよっしん
2024/02/24(土) 21:45:06 ID: HNFEz3yaBE
きらめきマンとかはわりと面白かったのに冷遇されてて仕方ないけど悲しい……ってなるが、本作は「まあそうだよな」って感じ
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最終更新:2024/12/23(月) 19:00
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