あそ(列車) 単語

あそとは、以下の列車名を指す。

1. 国鉄が運行していた急行列車。列車名は漢字表記の「阿蘇」。
2. JR九州が1992年から2004年にかけて運行していた特急列車。列車名は平仮名表記の「あそ」。
3. JR九州が2020年8月より運行を開始した特急列車。列車名は2.と同じく「あそ」。

概要

急行「阿蘇」

阿蘇は国鉄時代に夜行急行列車として東海道本線沿線から熊本駅を結んでいた。1949年の運行開始当初には、特急列車と急行銀河・せと以外は列車名が付けられていなかったので無名の急行からスタートした阿蘇だが、1950年に急行列車の内12列車に列車名が付けられる事になったので阿蘇と命名されている。これから阿蘇の列車名も最古参の部類に当たる。同時に九州島内では博多駅を経由せず筑豊本線経由となり、当時は炭鉱が栄えていて利用客が多かった筑豊本線初の優等列車となっている。

本州側の発着駅が東京駅・名古屋駅・新大阪駅と徐々に短くなっていく中で山陽新幹線が博多駅まで開業してからもしぶとく残っていた急行阿蘇だが、国鉄のゴタゴタによる利用者減と長距離利用客が新幹線へ移行していって国鉄民営化を前に廃止された。

特急「あそ」

JR九州が1992年に豊肥本線を全線走破する初の特急列車として運行を開始した。JR四国で2000系の整備に伴い余剰となっていたキハ185系を購入して、急行火の山を格上げする形で設定された。尚、久大本線でも同じ時期に同じ車両であるキハ185系使用の特急ゆふが急行由布の格上げで設定されている。余談だが同じ時期に鹿児島本線では特急有明の西鹿児島駅発着列車が特急つばめとして分離されている。

線形の関係で特急格上げ後も急行時代と大差の無いスピードで「特急＝特に急がない」等と揶揄されていくものの、大した減便を経ずに九州新幹線新八代開業まで推移していく。しかし九州新幹線の部分開業(2004年)のダイヤ改正にて熊本駅と肥薩線人吉駅を結んでいた急行くまがわの格上げ統合で九州横断特急が設定される事となったので、あそは一旦廃止された。

そして2020年8月、16年ぶりに熊本駅～宮地駅間の特急として「あそ」の名称が復活することとなった。熊本地震により豊肥本線は長期間不通となったが、2020年8月に復旧が完了し全線で運転再開。それに併せて特急の運行体系が変更され、九州横断特急を2往復に減便した上で一部区間のみ運行する「特急あそ」を新設した。2020年8月より1日最大3往復運行される。

運行形態

特急「あそ」（2020年～）

• 会社：JR九州
• 運行種別：特急
• 運用線区：豊肥本線
• 運行区間：熊本駅～宮地駅（通常期1往復、多客期3往復）
• 使用車両：キハ185系2両編成
• キハ185系編成図：
  

  1号車	2号車
  指定席	自由席

• 備考：2020年8月8日より運行開始

停車駅

特急「あそ」（1992年～2004年）

• 会社：JR九州
• 運行種別：特急
• 運用線区：豊肥本線・日豊本線
• 運行区間：熊本駅～別府駅（2往復）・熊本駅～大分駅（1往復）
• 使用車両：キハ185系3両編成
• 備考：2004年3月13日に九州横断特急に改称

停車駅

▲は一部停車。別府駅には1往復を除く全列車が、豊後萩駅には大分駅行1本のみ通過していた。また、犬飼駅・南熊本駅には特急格上げ前の急行火の山が停車していたが、特急格上げの際に武蔵塚駅と共に通過となっている。（武蔵塚駅は後に優等列車停車駅に復活している）

列車名の由来

熊本県の阿蘇山から。

列車名の変遷

急行阿蘇

1949年12月　東京～博多間に無名急行が設定される。

1950年10月　運行区間が東京～小倉～直方～熊本間に変更される。

1950年11月　急行阿蘇と命名される。

1961年6月　運行区間が名古屋～博多～熊本間に変更される。

1975年3月　山陽新幹線博多開業のダイヤ改正で運行区間が新大阪～博多～熊本間に変更される。

1980年10月　急行阿蘇廃止。

特急あそ

1992年7月　急行火の山の格上げで特急あそが別府～宮地～熊本間に3往復設定される。

2001年3月　1往復の運行区間が大分～熊本間に短縮される。

2004年3月　九州新幹線新八代開業のダイヤ改正で熊本～人吉間の急行くまがわとの統合で九州横断特急が設定された事に伴いあその名称廃止。

2020年8月　豊肥本線全線復旧に伴い、新たに熊本～宮地駅間の区間特急として設定。

関連動画

この動画内であそについても触れられている

関連商品

関連項目

• 鉄道列車名一覧
• 山陽本線・鹿児島本線・豊肥本線
• キハ185系
• 九州横断特急・あそぼーい！
• 日本国有鉄道・JR九州