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二酸化窒素(NO₂)の生成エンタルピー(ΔHf°)が正の値である理由は、窒素原子間の非常に強い三重結合を切り離すために、大きなエネルギーの投入が必要だからです これは、NO₂を構成する原子が、もともと極めて安定な分子として存在していることに起因します NO₂生成反応とエンタルピー NO₂の生成反応は、その構成元素である窒素(N₂)と酸素(O₂)の単体から、NO₂が生成する反応です (1/2)N₂(g)+O₂(g)→NO₂(g) (この反応の生成エンタルピーΔHf°は約+33kJ/molです) 窒素分子(N₂)の強固な結合 この反応が吸熱(ΔHが正)になる最大の原因は、反応物であるN₂の解離に必要なエネルギーが非常に大きいことです N₂分子はN≡Nの三重結合で結ばれています これは、化学結合の中でも最も強い部類に入ります(結合エネルギーは約945kJ/mol) この強固な三重結合を切って窒素原子にするには、大量のエネルギーを外部から供給する必要があります このエネルギーが反応全体のエンタルピーを正の方向に押し上げます 酸素分子(O₂)の解離 O₂もO=Oの二重結合を持っていますが、その結合エネルギー(約498kJ/mol)はN₂よりもかなり小さいです エネルギー収支 反応全体のエンタルピー変化は、「切断する結合のエネルギー」と「生成する結合のエネルギー」の差で決まります ΔH=(反応物の結合エネルギー合計)−(生成物の結合エネルギー合計) NO₂の生成の場合、切断エネルギー(エネルギー吸収): 非常に大きなN≡N結合の切断に大量のエネルギーが使われます 生成エネルギー(エネルギー放出): N−O結合やN=O結合が新たに生成しエネルギーが放出されますが、この放出されるエネルギーがN₂の三重結合を切るために必要なエネルギーを相殺しきれないため、全体として吸熱反応(ΔH>0)となるのです つまり、NO₂は安定なN₂分子を不安定化させて無理やり作った分子であるため、生成するためには外部からのエネルギー供給(吸熱)が必要となるのです

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