ベストアンサー
ポリウレタンの方が弾性値が高かったと思うので、同じ厚さなら被衝撃耐性はやや高いと思います。 しかし、一般にポリエステル塗膜の方がその工程の性格上、ぶ厚いので、頑丈さについては結局は同じようなものじゃないかな。 共通して言えるのは、ニトロセルロースラッカーより遥かに強度が高いこと、擦過耐性も高いです。 ギターの塗膜としては、一般に、ラッカー→ポリウレタン→ポリエステルの順で音抜けが悪くなる傾向が確認できます。 体感的知識に過ぎないけど、極薄のポリウレタン塗装の高級ギターでも、ラッカー塗装と比べると、音の張りとかアタック反射が僅かに劣るように思います。トップコートのみラッカー塗装のギターでも音の反射はいいと感じます。聴く人には分からないけど、弾いていると分かる。 とは言え、ポリウレタンのギターでも極薄のものは十分なボディ鳴りがあり、音抜けや反射も許容できる範囲です。神経質にならなければ実用上問題ないです。 これに対してポリエステルは、「極薄」と謳っていても、やはりイマイチですね。(但し、ポリエステル塗装は殆どが安価なギターに施されるので、ギターの材質や組付け、チューナー及びブリッジの精度、また、PUなどのせいで、もともと反応が悪いこともある。) 僕は、音についてはラッカーの方が好きだけど、ボディの手入れはラッカーでない方が気楽ですよ。 ちょっと詳しく説明すると、次のようになる。 ①ポリエステル 酸とアルコールが脱水反応したものをエステルというが、多塩基酸と多価アルコールが反応すると連続した樹脂状のエステルが生成される。これをポリエステル樹脂という。 ここで多塩基酸として不飽和多塩基酸を使えば、不飽和、すなわち二重結合のある不飽和ポリエステル樹脂ができる。この樹脂をスチレンのようなビニルモノマーに溶解したものがポリエステル樹脂塗料となる。つまりこの塗料は、反応硬化型(二ないし数種類の液体を混ぜて硬化するタイプ)で、中身は、ポリエステル樹脂に反応促進用の薬剤を添加した主剤があり、それに硬化剤を混合したものだ。 ポリエステル樹脂塗料の特徴は、塗料全体が塗膜を形成するので非常に厚い塗膜が一回塗りで得られること(粘度が高く、木材に吸収される量が少ない)。また、塗膜は内部から硬化していくため上乾きの心配がなく、塗膜が厚いほど硬化性が良い。これは研磨の不手際を補うのに有利だ。3時間から半日で完全に硬化し、ラッカーと異なり、塗布後に目痩せすることは殆んどない。いったん硬化するとプラスチック並の硬さになる。但し、ポリウレタンのようにガラスのような輝度は望めない。 短所は可使時間注)が短いことで、可使時間を延長するための多液型スプレー装置の使用や、特殊な塗装方法が要求される。圧倒的な作業性のよさ、作業リスクの少なさ等から一般的には量産ギターに使用されている。 注) 可使時間:反応型塗料において、塗料液に硬化剤、架橋剤、触媒などを混合した後、粘度や状態が使用に耐えられなくなるまでの時間でポットライフともいう。液状で一見塗装に使用できるように見えても可使時間を過ぎていると塗膜性能が発揮できない。 ②ポリエウレタン ポリイソシアネートとヒドロキシル基を含むポリエステルとの付加反応を応用した塗料で、一般には二液性である。厚塗りには不向きだから、肉厚のポリウレタン塗装はまずない。この点、ポリエステルより音響面では有利で、また、トップコートに使えば、見た目ではラッカーに近い風合いも出せる。ポリウレタンは塗膜が強靭で、耐磨耗性や耐候性に富み、付着力も優れている。また耐薬品性も耐溶剤性も高く、樹脂の配合如何でかなり柔軟性のあるタイプの塗料も作れる。 短所の一つは、硬化時間が遅いため生産性(作業性)が良くないこと。また、変色がある。硬化剤を混ぜる前は、ほぼ無色なのだが混ぜると淡く黄変する。 二つ目は、光酸化により、時間経過とともに塗膜がさらに若干黄変する。屋内可視光でも同様。ただ、白色や淡色ボディなどで塗膜の透明度を維持したい場合、木材保護着色剤を混合すればよい。 (中級以上の価格帯のギターで、これを混合しているものと、明らかにそうでないものとがある。なぜ混合しないのか理由は不明だ。これもまた、コストカットか? あるいは無頓着? どちらにせよ、がっかりする。) 三つ目。上塗りに使用する場合、いわゆるマットフィニッシュ(塗り放し)では問題ないが、鏡面仕上げでは、その強靭性、耐磨耗性の高さゆえに難作業となるのも短所である。 ポリウレタンは、質の良い1ピースまたは2ピースの材を使用する中級以上のギターに、薄く塗膜するのに向いている。ジョン・カラザースやジーン・ベイカーのように、研磨を繰り返し、0.1mm程度まで薄膜化したギターもある。
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質問者からのお礼コメント
分かりやすくありがとうございます。
お礼日時:2010/12/22 3:17