「会社からの機内食」と言っても、必ずしも客室で提供される機内食と同じものを食べている訳ではありません(同じ場合もありますが)。
例えば、会社や路線によってはそもそも機内食を提供しない場合もありますし、むしろ国内線の場合はほとんどがそうです。では、その場合は何を食べているか、ということですが、この場合は「会社から支給される食事」を食べます。
ステイ先でのホテル予約や移動手段の手配を会社が行うように、食事も会社が用意します。食事内容は機内食のようなものであったり、空港内のレストランのテイクアウトであったり、空港付近の飲食店にオーダーしていたり、と会社やその空港によって様々です。
航空身体検査との関連性ですが、会社支給の食事にジャンクフードはおそらく選ばれないので、不安視する必要はあまりないかと考えます。最も重要なのが食後にアルコールを検知する可能性が無いかですが、それを満足した上で多少の栄養バランスも考えて食事内容の選定を行っています。もし機内食が原因で航空身体検査に引っかかるならば、そもそもその方のプライベートでの食生活や運動習慣に大きな原因があるはずです。
会社から提供される食事とは別で持参する方もいらしゃいます。足りないから、忙しい合間に手早く食べれる軽食が欲しい、今日の機内食の内容が苦手、など色々な理由はありますが、持ち込みは自由です。もちろんアルコールが検知されないように発酵食品などは控えます。ご家族のお弁当は今のところみたことがありませんが、ステイ先で洗わないといけなくなるので、ありがたいというよりは、かえって面倒になってしまう可能性もあります。素敵なご家族ですけどね。
以上、普段私が目にする光景をご紹介させていただきました。これはあくまで1つの例でして、狭い業界ですが、航空会社によって全く違うということも大いにあり得ます。年収に目が行きがちな職業ですが、こういった細かな待遇の違いが至る所にあり、それが外資や大手である所以とも言えます。しかし確実なのは全ての航空会社は安全を第一としているということです。会社がアルコール検査も含めて責任を持ってきちんと食事を用意することは、パイロットの疲労管理の一環であり、その先には安全運航のサポートに繋がっています。
昨今風当たりが厳しい業界ではありますが、皆さまには想像の及ばないレベルにまで徹底した安全運航への取り組みを航空会社全体で行っています。