2016・4・16(土)ノット指揮東京響 リゲティ&R・シュトラウス
東京オペラシティ コンサートホール 2時
この4月に創立70周年を迎えた東京交響楽団。
シーズン幕開きの「オペラシティシリーズ」は、音楽監督ジョナサン・ノットの指揮による意欲的なプログラムで飾られた。
前半は、リゲティの作品を計3曲、その間にパーセルの作品を2曲ずつ1組にして計2回挿入する凝った構成だ。
具体的に言うと、リゲティの「アトモスフェール」、パーセルの「4声のファンタジアZ.742と739」、リゲティの「ロンターノ」、パーセルの「同737、741」、リゲティの「サンフランシスコ・ポリフォニー」━━という配列である。これら全部の演奏時間は、計1時間近くになった。
ノットと東響が演奏するリゲティの作品群は、いずれも壮麗なふくらみを以って蘇る。鮮烈かつ幻想的な音の綾の、法悦と陶酔。
一方、パーセルの作品群は、オルガンの下手側に配置された神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団(4人)により演奏されたが、これは現代音楽のトーンとの対比をつくるよりも、むしろ一つの流れに同化して、リゲティの音色の陰影に対して明朗、あるいは複雑に対して明晰、不安に対して平安━━といったような、表裏一体の世界をつくり出すことになっていた。これまた「プログラミングの妙」と言えよう。
私の好みからいえばリゲティの方だが、この対照の面白さはまたとないものだったことは確かである。
後半は、R・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」。
このホールで「ツァラ」は如何なものか、と、正直なところ聴く前には少々危惧もいだいていたのだが、さすがはノット、見事な音量とバランスとで全曲を構築した。鳴らし過ぎず、抑え過ぎず、明晰な響きと艶やかな音色で、この曲を最後まで雄弁に再現してくれた。
特にチェロとコントラバスの響きが力強く美しく、曲全体を堅固に支えて、どっしりとした安定感を生み出していたことが印象に残る。
ただし、特に前半での、アインザッツやアンサンブル等に関しては、出来れば「TAKE2」をやりたいな、と思ってしまう・・・・。練習時間がリゲティの作品群の方に多く割かれたのかしらん。いずれにせよ、もう一度公演があれば、そこでは完璧になるだろう(1回公演だけではもったいない)。なお、コンサートマスターは、客演の林悠介。
集客は、このプログラムではちょっと苦戦したという話だが、確かに1階席後方には空席も見られた。だが、2階と3階の席は埋まっていたようである。安い席を買って聴きに来る、「こういうプログラムが好きな客」の方が多かったということか? もしそうだとしたら、この意欲的なプログラムの意義は、充分に生かされたことになるだろう。
この4月に創立70周年を迎えた東京交響楽団。
シーズン幕開きの「オペラシティシリーズ」は、音楽監督ジョナサン・ノットの指揮による意欲的なプログラムで飾られた。
前半は、リゲティの作品を計3曲、その間にパーセルの作品を2曲ずつ1組にして計2回挿入する凝った構成だ。
具体的に言うと、リゲティの「アトモスフェール」、パーセルの「4声のファンタジアZ.742と739」、リゲティの「ロンターノ」、パーセルの「同737、741」、リゲティの「サンフランシスコ・ポリフォニー」━━という配列である。これら全部の演奏時間は、計1時間近くになった。
ノットと東響が演奏するリゲティの作品群は、いずれも壮麗なふくらみを以って蘇る。鮮烈かつ幻想的な音の綾の、法悦と陶酔。
一方、パーセルの作品群は、オルガンの下手側に配置された神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団(4人)により演奏されたが、これは現代音楽のトーンとの対比をつくるよりも、むしろ一つの流れに同化して、リゲティの音色の陰影に対して明朗、あるいは複雑に対して明晰、不安に対して平安━━といったような、表裏一体の世界をつくり出すことになっていた。これまた「プログラミングの妙」と言えよう。
私の好みからいえばリゲティの方だが、この対照の面白さはまたとないものだったことは確かである。
後半は、R・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」。
このホールで「ツァラ」は如何なものか、と、正直なところ聴く前には少々危惧もいだいていたのだが、さすがはノット、見事な音量とバランスとで全曲を構築した。鳴らし過ぎず、抑え過ぎず、明晰な響きと艶やかな音色で、この曲を最後まで雄弁に再現してくれた。
特にチェロとコントラバスの響きが力強く美しく、曲全体を堅固に支えて、どっしりとした安定感を生み出していたことが印象に残る。
ただし、特に前半での、アインザッツやアンサンブル等に関しては、出来れば「TAKE2」をやりたいな、と思ってしまう・・・・。練習時間がリゲティの作品群の方に多く割かれたのかしらん。いずれにせよ、もう一度公演があれば、そこでは完璧になるだろう(1回公演だけではもったいない)。なお、コンサートマスターは、客演の林悠介。
集客は、このプログラムではちょっと苦戦したという話だが、確かに1階席後方には空席も見られた。だが、2階と3階の席は埋まっていたようである。安い席を買って聴きに来る、「こういうプログラムが好きな客」の方が多かったということか? もしそうだとしたら、この意欲的なプログラムの意義は、充分に生かされたことになるだろう。
コメント
「アトモスフェール」を生で聴いたのは I・フィッシャー/N響以来だから、もう15年ぶりくらいになるでしょうか?現代音楽(という言い方も、もう変な気がするが・・・)の中でも比較的演奏頻度の高い名作ですね。それに今回は、「ロンターノ」、「サンフランシスコ・ポリフォニー」まで一緒に聴けるのですから確かに一回のコンサートだけではもったいない!! 因みにノットは6月にバンベルク響でも同様のプログラムを演奏します(後半は「ツァラ」ではなく「英雄の生涯」)。お金と時間に余裕のある方は聴けると思います。 私は無理なので代わりに、ノット/ベルリン・フィルのCD(テルデック WPCS-11281 今回の3曲が全て収録)を今回のコンサートの余韻が消える頃、また聴きたいと思います。 そしていつか、あのカッコイイ「ルーマニア協奏曲」をやってほしい! [集客について] このてのコンサートでは、わりと入っていた方だと思います。その中でも“こういうプログラム”が好きな客は全体の3分の1にも満たないか・・・?(ノットも冊子のインタビューで“本当はリゲティを沢山やりたいが、それでは集客が見込めないので「ツァラ」を加えた”と言っている)。これ以上増やしてもザワザワと落ち着きの無い輩が増えるだけ(ただでさえヒドかった)。ガラガラもマズいが、本当に好きな人達が気持ち良く聴けることが何より大事だと思います。 終演は16時を少し廻ったところ。私は、NHKホールまで電車で移動。18時開演のスラットキン/N響(プロコ: 5番 他)を聴きました(超名演!!)。土日は、聴きたいコンサートが重なる。スケジュールの都合上、泣く泣く諦めたモノも少なくない。このように時間をずらしてくれれば両方聴ける!!とても良い!!!
ガンバとリゲティとシュトラウス
オーケストラの定演に4名からなるガンバ団が登場し、大オーケストラを見下ろすオルガン席でパーセルを演奏する-これはたいへんな驚きで、ほとんどスキャンダルではないでしょうか。ガンバ団って、普通近江楽堂の方です。リゲティの湧いては消えていく、みたいな前半2曲の間にがっちりとした構成のパーセルが入る。コントラストを示しながらも調和があって、世紀を超えた世界を作っている。後半の『ツァラストラ』も含めてとても面白く、ききました。私はプログラムに関心をもって、安い方の席を買った者です。
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