山本幸久ばかり読んでいた。
読みたい本がなかったので、当たりはずれのあまりない山本幸久さんの本を続けて4冊読んでみた。
「幸福ロケット」はポプラ社刊。おそらく児童文学分野ということなのだろう。
<クラスで八番目にかわいい(?)香な子(小5♀)と深夜ラジオばかり聞いているコーモリ(小5♂)が、お花茶屋を舞台に織り成す感動の物語。疾走感のあるラストシーンが涙を誘う、初恋未満のリトルラブストーリー。幸福な未来へと走れ!書き下ろし短編「月食」収録。>
私には併録の「月食」の方が面白かった。
「展覧会いまだ準備中」は山本さんお得意のお仕事小説。それなりにうまくまとまっていて、読ませる
<大学時代は応援団に所属し、今は新米学芸員の今田弾吉、二十八歳。個性的な先輩らから振られる雑用をこなすことに精一杯の毎日で、いまだ自ら企画した美術展を実現させていない。だが、美術品専門運送会社の美人社員・サクラの存在と応援団OBから鑑定を依頼された一枚の絵が、彼の心に火を付ける―>
「GOGO!アリゲーターズ」は野球の独立リーグのチームの話。
<(担当編集者)アラサー×バツイチ×シングルマザーで人生に遭難中の茜を主人公に、地方球団「アリゲーターズ」の山あり谷ありの奮闘を描き出します。
東京ではデザイン会社に勤めていたものの、ダメ夫との離婚を契機にすべてを捨てて、一人息子を連れて地元に帰ってきた茜。勤務体系の問題で実家に預けている息子と一緒に暮らす日を夢見て、たまたま採用された「アリゲーターズ」の事務局で働きはじめます。球団は成績も経営も低迷気味なうえに、集まっている選手やスタッフは一癖も二癖もあるメンツばかり。たとえば、監督は試合へのやる気はゼロで趣味はセクハラ。茜の上司であるゼネラルマネージャーは元有名プロ野球選手で、今は仕事の鬼。そしてなぜかいつも全身ピンクできめている奇人。エースピッチャーは追い込まれるとマウンドでいつも号泣してしまう泣き虫。チアリーダーの一人は、派手系の美女だけれど実は元「男」。
茜は当初、彼(彼女)らの強烈すぎる個性に翻弄されてばかりですが、物語が進むにつれて、一人一人がかつて抱いていた夢のあとさき、そして今ここで抱こうとしている夢に気づきはじめて――。仕事にも家庭にも中途半端だった茜が、初めて必死になって、初めて一生懸命に走り出した先に見えてくるのはチーム解散の危機か? それともリーグ優勝か? 最後の最後まで目が離せない展開が続きます。日々奮闘するすべての人へ贈る、最高のお仕事小説&野球小説に仕上がりました。ぜひご一読ください!>
「失恋延長戦」は恋愛小説。思うに、山本さんはこういう小説はあまり得意ではないような気がする。
<女子高生の真弓子は大河原くんに片思い。告白したいけどできない、そんな真弓子を見守っているのは柴犬のベンジャミン。真弓子の大切な“話し相手”だ。KYな同級生ゲロサキに振り回されつつも、真弓子の恋心は燃え続ける。だが、やがて、大河原くんに年下の恋人ができて…。不器用な女の子の切ない日々をかろやかに描く、とっても素敵な青春ラブストーリー!>