元高島屋常務の石原一子さん死去、100歳 1部上場企業で女性初の役員(副題:清水一行「動脈列島」ほか)(追記あり)

元高島屋常務の石原一子さん死去、100歳 1部上場企業で女性初の役員 - 産経ニュース
 上記記事を紹介しますが、清水一行「動脈列島」の紹介など「関係ない脱線」が多数あることをお断りしておきます。
 100歳(1924年生まれ*1)という高齢にまず「びっくり」ですね。 
 1924年 - Wikipediaã‚„村山富市 元首相が100歳の誕生日 | NHK | 大分県(2024.3.3)、村山富市・元首相100歳、長寿の秘訣は「自然体」…「日本が平和な国であり続けること願う」:地域ニュース : 読売新聞(2024.3.4)、三次 米カーター元大統領の100歳を祝う催し|NHK 広島のニュース(2024.11.4)を見たら「カーター元米国大統領*2」「村山元首相」も同じ年生まれの「100歳(いずれも未だ存命*3)」で「もうカーター氏、村山氏もそんな年なのか」「時の流れは速い」とびっくりですが。
 改めて共産支持者として「不破哲三同志(1930年生まれ、現在94歳)にも100歳まで元気なお姿を」との思いを強くしました。
 常務就任が1982年、高島屋退社が1987年(石原一子 - Wikipedia参照)だそうなので「1980年代に常務になった」わけで1980年代当時の女性としては「土井たか子(1928~2014年:享年85歳)の社会党委員長就任(1986~1991年)」並に「異例の抜擢」でしょう(だからこそ訃報が今回の記事にもなった)。
 今や「日航の鳥取社長」など女性社長も珍しくないですが、石原一子 - Wikipediaによれば「東証一部上場企業初の女性重役であり、経済同友会初の女性会員」とのこと。
 また、

石原一子 - Wikipedia
 高島屋退社後も、香港の婦人服専門店トピーインターナショナルの日本法人トピージャパンの副社長や、 ギャップ・ジャパンの特別顧問等を歴任。清水一行*4著『女重役』 (角川文庫)の主人公「明石市子(第一屋百貨店*5重役)」のモデル

とのこと(つまりは業界ではかなりの有名人なのでしょう)。
【参考:名古屋新幹線騒音訴訟】

名古屋新幹線訴訟 - Wikipedia
 新幹線の高速運転に伴って発生する騒音が公害として社会問題化していた1970年代半ば、愛知県名古屋市内を通過する東海道新幹線の騒音・振動に対し、沿線住民から日本国有鉄道(国鉄)に対して、新幹線の運行差止請求がなされた訴訟である。
 1974年(昭和49年)3月30日、名古屋市南区、熱田区、中川区内の東海道新幹線沿線の住民575人(名古屋新幹線公害訴訟原告団、判決時には488人)が、国鉄を相手取り、新幹線列車の走行に際して、一定値以上の騒音・振動を侵入させてはならないとの差止請求と、原告ら各人に慰謝料100万円の支払いを求める損害賠償請求を提訴した。
 1980年(昭和55年)9月の名古屋地方裁判所及び1985年(昭和60年)4月の名古屋高等裁判所判決では、被害の存在を認めて慰謝料の支払いを命じたが、新幹線が交通機関として高い公共性を有していることを理由に、いずれも差止請求は認めなかった。
 住民・国鉄ともに最高裁判所へ上告したが、1986年(昭和61年)4月、両者の間で「和解協定」が成立した。その内容としては、国鉄は新幹線の沿線騒音を当面75ホン以下とするのを始め、騒音・振動の軽減を図ることや、住民への和解金の支払い、住居の移転補償、防音・防振工事の実施、公害を現状以上に悪化させないことなどであった。

【参考:動脈列島】

近藤正臣(ボーガス注:主演)の社会派サスペンス大作・動脈列島
 清水一行が1975年に日本推理作家協会賞を受賞した同名ベストセラー小説を映画化した新幹線モノの傑作。
 完全なるサスペンス映画である。なのでパニック映画「新幹線大爆破」との比較はNG。
 当時問題視されていた新幹線による騒音被害をテーマに、豪華俳優陣が繰り広げる演技合戦が見所。
【美声集団】
 特に田宮二郎*6率いる捜査班は凄い。声が良いのである。田宮二郎はモチロン、ピーター・フォークのFIX声優・小池朝雄*7、ウィリアム・ホールデンのFIX声優・近藤洋介*8と抜群に心地よいボイス。吹き替え実績も豊富(らしい)渥美国泰*9のシブい声、吹き替え実績も豊富な勝部演之*10と井川比佐志*11。とにかく捜査班全員の声が良い。その上、美声俳優が総ぞろい。神山繁、久米明(ボーガス注:犯人・秋山の父)、鈴木瑞穂、歌手の藤村泰介*12、橋本功(ボーガス注:新幹線騒音訴訟団のメンバー)その他モロモロ。 汚い声の俳優は一人もいない。現在の邦画では期待し得ない「上品さ」。コレを持ち合わせたオールキャスト。
【近藤正臣】
 近藤正臣ファンにとって奇跡の様な映画となっているのだ。とにかくキザに格好が良い。全盛期のイカした近藤正臣ルックを見たい人は観るべし。  
【一人の男が国家と戦う映画】
 一人の男がここまでのスケールで国家と戦い破滅していく映画というのは他に「太陽を盗んだ男」ぐらいしかないのではないか?
 もし比較するならば「新幹線大爆破」より「太陽を盗んだ男」と比較するべきだ。

悲劇の主人公
 この「動脈列島」と「新幹線大爆破」の比較などというナンセンスをして生まれる批判は主人公「秋山宏」のキャラクターについてである。やはり「女性に対してだらしがない部分」が批判の大半を占めるのではないか。関根恵子(現:高橋恵子)という恋人がいるのに、潜伏期間中、行きずりの女(梶芽衣子)と一夜を共にし「好きだ」と伝えるなど。確かに「新幹線大爆破」の高倉健は女性関係にしっかりした男であったが。 しかし、そんな比較をしてもムダなのだ。何故なら作品性が、テーマが違う。監督が違えば作風も変わる。

動労がまさかの撮影協力。 動脈列島 - デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)2012.4.2
 東京オリンピックまでに何としても完成させねばならなかった新幹線。
 突貫に次ぐ突貫工事に“環境問題”など考慮する余裕は無く、騒音公害という深刻な副作用が近隣住民に襲い掛かっていました。
 新幹線が通る度に狂乱のうちに息を引き取った老婆。看取った青年研修医・秋山(近藤正臣)は義憤から国鉄と対峙する決意を固めます。
 騒音公害問題解決の手段を講じない場合は、10日後に新幹線を破壊する。
 迎え撃つは、警視庁きっての切れ者、犯罪科学捜査官・滝川(田宮二郎)。
 僅かな証拠とプロファイリングから、容疑者を秋山と特定しますが、秋山はやすやすと包囲網を突破。大胆不敵にも国鉄総裁の自宅を訪問。
 『総裁、あなた100ホーンの騒音の中で生活したことがありますか? お聞かせしましょう。私の患者はこの音で死にました』
 知能の限りを絞った計画の最後が、遠隔操作によるブルドーザーの(ボーガス注:新幹線への)体当たりというウルトラ大味攻撃なのが玉に瑕ですが、(ボーガス注:セット撮影ではなく)実際に(ボーガス注:本物の新幹線の)フェンスぎりぎりをブルドーザーが動いている(万が一、不測の事態が起きれば、本当に列車が転覆する可能性が無いとは言えない)というデンジャラスさが増村監督らしいじゃないですか。
 同時期に公開された「新幹線大爆破」同様、国鉄の撮影協力が一切得られなかったためのゲリラ撮影が緊迫感を醸造していた(と思っていた)わけですが、今回、DVD封入のライナーノーツに衝撃の事実発見。
 なんと、本作、動労(国鉄動力車労働組合)が“極秘裏に”撮影響力していたそうです。
 確かに、保線区に引き込まれた新幹線(トイレから偽装爆弾を発見するシーン)とか、運転席からの車窓とか、内部の協力無しには撮影不能なカットがいくつかあります。
 1950年の結成当初は穏健な職能組合だったそうですが、60~70年代には活動が先鋭特化し、「泣く子も黙る鬼の動労」と言われた機関士の組合。そのメンバーが騒音公害を告発する映画に影で協力していたとは。

動脈列島 - トーキョーナガレモノ2014.9.18
 「動脈列島」と比すべきは(ボーガス注:「新幹線大爆破」ではなく)手塚治虫が『ブラック・ジャック』に描いた1エピソード「震動」(週刊少年チャンピオン1976年9月6日号掲載、講談社『手塚治虫文庫全集・ブラック・ジャック(7)』所収)ではないかと思う。
 新幹線の沿線の長屋に住むオヤジ「八つぁん」が、(ボーガス注:騒音がうるさいと)新幹線に投げた小石が跳ね返り、運悪くカミさんの腹に当たって大ケガを負わせる。出血がひどく、動かせる状態ではない。たまたま近くの居酒屋に居合わせたブラック・ジャックが妻を応急手術することになる。「あいつは高い手術代をふんだくるヤミ医者だ」という八つぁんの仲間の忠告に、ブラック・ジャックは国鉄から賠償金をせしめればいいと宣言する。
 しかし、いざ手術を始めると、新幹線の起こす震動のために動脈の縫合が出来ない。しかも新幹線は3分おきに通過する。これでは手術は続行不可能だ。
 八つぁんは無我夢中で国鉄に電話し、電話に出た偉い人に「うちのかあちゃんを殺さないでくれ」とオイオイ泣きながら懇願する。すると奇跡が起きる。国鉄は手術が終わるまで新幹線を緊急停止させた。ブラック・ジャックは血管縫合手術を無事終わらせ、八つぁんに妻をすぐ入院して輸血させるよう指示する。
 「国鉄もアジなことするじゃねえか」と安堵する八つぁんを、ブラック・ジャックは「そんなことより国鉄からゴッテリ見舞金をふんだくることを考えろ」と叱咤する。

ねこむすめのブログ:動脈列島2015.2.11
 騒音被害が顕著となり、1974年には沿線の住民575人が国鉄に対して集団訴訟を起こします。その社会問題を背景にした清水一行の小説の映画化。知能犯・近藤正臣と切れ者捜査官・田宮二郎のやりとりが緊迫してます。個人的には捜査一課長の小池朝雄さんの表情がいいです。計画を遂行しようとするわりに、途中で梶芽衣子さんのような美女と関わったりして近藤さん、なんか得な役割だなあ。
 新幹線がそんな社会問題をはらんだのも過去のこと、いまは町おこしのために東北だのあちこちに新幹線が走り出し、北陸も開業に向かって歓迎ムードです。それどころか、将来リニアまで計画されているのですが、果たして必要なのかな。新幹線が経済効果をあげたのも過去のことになりつつあると思うのですが。どうなんでしょう、自治体の首長さん。

動脈列島 - ダイキチ☆デラックス the ブログ2024.6.2
 田宮二郎対近藤正臣というだけで燃える『動脈列島』。警察側、田宮二郎*13を担ぎ出すのが小沢栄太郎*14(『白い巨塔』の財前と鵜飼だ)、田宮とチームを組むのが小池朝雄*15、井川比佐志*16、近藤洋介*17、勝部演之*18、渥美国泰*19。近藤正臣のカノジョが関根恵子、逃亡中に知り合って懇ろになるのが梶芽衣子。職場の上司が佐原健二で、学生時代の恩師が中条静夫。父親は久米明。脅迫される国鉄側、総裁が山村聡、部下*20が平田昭彦、記者が神山繁、鈴木瑞穂と、嬉しくなっちゃう豪華さ。他にも橋本功*21、加藤嘉*22、芹明香*23、稲葉義男*24、渡辺文雄*25、峰岸徹*26、高橋昌也*27まで出てて、今の日本映画じゃ揃えられない個性の集団。やっぱり昔の映画は俳優の顔ぶれだけで楽しめるんだなぁ。同じシナリオを今の役者で作ったら、かなりお寒くなると思う。

*1:同じ年生まれの著名人に安倍晋太郎自民党幹事長(1991年死去:享年67歳)、竹下元首相(2000年死去:享年76歳)、ブッシュ父・元米国大統領(2018年死去:享年94歳)、石橋政嗣元社会党委員長(2019年死去:享年95歳)(以上、年齢順に記載)等がいる(1924年 - Wikipedia参照)

*2:アメリカ大統領経験者で初、ジミー・カーター氏が100歳…2002年にノーベル平和賞 : 読売新聞(2024.10.1)、米大統領経験者で初 カーター氏100歳に 過去にノーベル平和賞 | 毎日新聞(2024.10.2)によれば「100歳に達した元米国大統領」はカーター氏が史上初

*3:追記:その後、カーター氏が死去したことについては例えば米 カーター元大統領死去 100歳 ノーベル平和賞受賞 | NHK | 訃報(2024.12.30)参照

*4:1931~2010年。「実在の企業事件」をモデルとした企業小説の第一人者として知られる。1975年に『動脈列島(現在は『1996年、双葉文庫・日本推理作家協会賞受賞作全集29巻』等で入手可能。1975年に東宝が映画化)』で日本推理作家協会賞を受賞。死後にテレビドラマ『そうか、もう君はいないのか』(2009年、TBS)もつくられた城山三郎(1927~2007年。企業小説の第一人者の一人。1959年、『総会屋錦城』で直木賞受賞)の死去時に比べ、世間的な知名度は低く、訃報の扱いは小さかった。なお、生涯の作品数は、清水が214作品、城山は118作品である(清水一行 - Wikipedia参照)。なお、映画『動脈列島』については例えば動脈列島 - Wikipedia、「近藤正臣(ボーガス注:主演)の社会派サスペンス大作・動脈列島」、動労がまさかの撮影協力。 動脈列島 - デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)(2012.4.2)、動脈列島 - トーキョーナガレモノ(2014.9.18)、ねこむすめのブログ:動脈列島(2015.2.11)、「動脈列島」名匠増村保造監督の社会派サスペンスですが… - レタントンローヤル館(2021.4.4)参照。『新幹線のテロ予告がされる』という設定は同時期(1975年)に公開された『新幹線大爆破』(東映)に似ていますが興行的に大成功した『新幹線大爆破』に比べると知名度が落ちるかと思います。また、『動脈列島』の犯人(近藤正臣が演じた)は新幹線騒音の被害者(ちなみに映画公開当時、小説や映画の舞台になった名古屋で新幹線騒音訴訟があった)で、国鉄への要求が新幹線騒音対策である点が金目当ての『新幹線大爆破』と大きく違います。なお、『動脈列島』『新幹線大爆破』ともに「模倣犯がでたら困る」と言う理由で国鉄の協力は全く得られなかったようです(まあ『動脈列島』の場合は新幹線騒音で国鉄が悪者とされてることもあったでしょうが)。

*5:勿論高島屋がモデル

*6:登場人物たちによれば「滝川保犯罪科学研究所所長(この事件の捜査本部長)」。

*7:登場人物たちによれば「山崎警察庁捜査一課長」

*8:登場人物たちによれば「相良警視庁公安一課長 」

*9:登場人物たちによれば「村田愛知県警捜査一課長」。なお、渥美国泰 - Wikipediaによれば「ジョゼフ・コットン、ロバート・ミッチャムの吹き替えで知られた」

*10:登場人物たちによれば「中野愛知県警公安一課長」

*11:登場人物たちによれば「明石警視庁特別捜査班班長」。なお、井川比佐志 - Wikipediaによれば「リチャード・バートン、マーロン・ブランド(1954年、『波止場』で、1972年、『ゴッドファーザー』でアカデミー主演男優賞受賞)等の吹き替えを担当している」

*12:登場人物たちによれば「愛知県警の山口刑事」

*13:登場人物たちによれば「滝川保犯罪科学研究所所長(この事件の捜査本部長)」。

*14:登場人物たちによれば「国松警察庁長官」。勿論1970年代の映画なので「1995年に狙撃された警察庁長官」と同姓なのはただの偶然

*15:登場人物たちによれば「山崎警察庁捜査一課長」

*16:登場人物たちによれば「明石警視庁特別捜査班班長」

*17:登場人物たちによれば「相良警視庁公安一課長 」

*18:登場人物たちによれば「中野愛知県警公安一課長」

*19:登場人物たちによれば「村田愛知県警捜査一課長」

*20:動脈列島 - Wikipediaによれば種村国鉄総裁秘書課長

*21:新幹線騒音訴訟団のメンバー

*22:動脈列島 - Wikipediaによれば「新幹線騒音訴訟団の団長」

*23:動脈列島 - Wikipediaによれば「新幹線の女性客」

*24:動脈列島 - Wikipediaによれば「動労(国鉄動力車労働組合)委員長」

*25:動脈列島 - Wikipediaによれば「野党国会議員」

*26:動脈列島 - Wikipediaによれば「伊藤テレビディレクター」

*27:動脈列島 - Wikipediaによれば「テレビ局編成局長」