いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。


「ナゾトキ女とモノカキ男。 未来を写すカメラと人体消失」辻室翔(富士見ファンタジア文庫)

未十士早來は怪物だ。あらゆる道を極め、そのどれもがプロ級の腕前でありながら、彼女はそれをただの趣味だと言う。いつしか付いたあだ名が“史上最強のアマチュア”。そんな彼女の最近の趣味―謎解きに毎回付き合わされる僕はといえば、作家を夢見るだけのただの凡人。だけど彼女との共通点もある。
それは“超理具”と呼ばれる不思議な道具を所持しているということ。未十士は「未来を写すカメラ」を、そして僕は「時を巻き戻す時計」を持っている。“超理具”の謎を追う僕らはやがて学園で起きた、巷を騒がす都市伝説「人体消失事件」に巻き込まれていき……!? 学園青春“不条理”系ミステリー!


未来を写すカメラや三分間時間を撒き戻す懐中時計など超理具と呼ばれる不思議アイテムを駆使して、学園無いで起こる事件を探る学園青春なんちゃってミステリコメディ(自称)

懐かしい。
パワフルで可愛らしいがどこかおかしい女の子に、やる気のない男の子が振り回されるこの構図。一昔前、それこそハルヒが流行っていたころにはよくあったタイプの作品で、いい時代のライトノベルの空気が感じられておじさん大変嬉しいです。口絵一枚目の構図も懐かしい。
謎解きとしては不思議要素が入っている以上に、後出しの事実が多くてかなり微妙だったが、超理具の持つ便利過ぎる不気味さと人の黒い面を前面に出してくる描写で、オカルトホラーとして読めば問題なく楽しめる。特に後半、真犯人の登場からの怖さはなかなか。
キャラクターはブーブー文句言いながら女の子の為に頑張っちゃう男の子な主人公は好み。逆にヒロインのボケキャラ感が強くて可愛さはあまり、と思っていたらラストシーンの為に溜めていたのか。うん、かわいい。
楽しみにしていた謎解きの部分は残念だったけど、懐かしい気分に浸れたので良い読書時間だった。