SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

スレイヤーズすぺしゃる1 白魔術都市の王子

[著者:神坂一/イラスト:あらいずみるい/富士見ファンタジア文庫]

 なにもかもが懐かしい。長編と比べて割と自由奔放なイメージのリナ、初っ端一発目の平和主義者フィル王子(超強い40代くらいのおぢさま)、短編専属キャラのナーガ(魔道の腕は超一流だがリナの前ではボケ担当)、活き活きし過ぎているリナのライフワークな盗賊いぢめ、などなど。

 うっすらとおぼろげな記憶ながら意外とエピソードも何となく忘れてない。一巻目で印象強いからかな? 途中で追うのやめちゃったんでどこまで覚えているか……登場キャラがもれなくクセつよなので話を忘れてても思い出せる事もあるかも。まあ割と気軽に手頃に読める内容なので、ぼちぼち続きも追ってみたい。

傷痕のメッセージ

[著者:知念実希人/KADOKAWA]

 死に間際の言葉くらい素直に伝えられたら良かったのに……と言ってしまいたくなったものですが。そうは行かない複雑な事情を全て知った後には、本音を尽くせなかった水城穣の苦悩や葛藤や悔恨が一挙にあふれ返ってしまってたまらなかったです。

 千早は父の遺言を言葉通りに捉えてしまってたので、読みながら「多分その通りの意味じゃないんだろうけどなあ」なんて思いながら、父の死を振り切れない彼女の心の痛みが重く圧し掛かってしまうものでした。

 事件の真相を一緒に追った紫織は、千早にとって本当にかけがえのない大切な存在。紫織がいなければ絶対に真相には辿り着けなかっただろうし、穣の真のメッセージを受け取った千早が前を向いて歩めるようになれたもの、彼女が寄り添ってくれたからこそではないかなと。

ビブリア古書堂の事件手帖III  ~扉子と虚ろな夢~

[著者:三上延/イラスト:越島はぐ/メディアワークス文庫]

 栞子さんの不在で扉子の存在が際立ってくれたり、智恵子の介入で篠川家三代の本の虫の女性が一堂に会したり、何となくこう世代の移り変わりの様相を眺めているような気持ちになりました。

 智恵子の思惑は相変わらず読めなくて、一見すると栞子さんのやり方を妨害しているとしか思えないんですが、大体そうではない裏を匂わせて来るから厄介なんだよなあこの人。

 終盤の智恵子の雰囲気から、栞子さんを後継者にする目は完全になくなったから今度は扉子に目を付けた、ようにも見えましたが……。いずれ主役が成長する扉子に移り変われは智恵子の思惑や問題は表面化して来そうですが、同時に栞子さんの頼もしさも見せてつけてもらえた事で大分安心出来たかな。

ビブリア古書堂の事件手帖II  ~扉子と空白の時~

[著者:三上延/イラスト:越島はぐ/メディアワークス文庫]

 智恵子おばあちゃん、年月を重ねて大分いい年になった今でも得体の知れない雰囲気をまとってるのは相変わらずのようで。その空気を察してもなお、正面から臆せず向き合えていた高校生の扉子の度量、もしかしたら智恵子に関する事へ向き合う積極性は栞子さんにはないものかも知れない。

 智恵子の存在が出来きた時点で、「どうせ事件の裏で何らに関わってるんだろうなあ」って事は疑う余地もなく、結局彼女にしか知り得ない真相の一端を煙に巻くようはぐらかしてくれる嫌らしさも表れていました。扉子が智恵子に抱いているのは畏怖とか興味とか、なのかな。

 本と人の繋がりを介して事件の謎を解く事に興味を覚え始めている風にも見えて、その辺りはやはり危険に巻き込まれるかも知れない感じもあるんですよねえ。

ビブリア古書堂の事件手帖  ~扉子と不思議な客人たち~

[著者:三上延/イラスト:越島はぐ/メディアワークス文庫]

 栞子さんと大輔の娘の扉子が新シリーズの主人公かと思ってたのだけど、今の6歳時点ではマスコット的存在のような印象だったかな?

 幼いながら無類の本好きなのは、栞子さんと智恵子とその上の代の血を見事に受け継いでいる。もっとも、本を通じて人の心の内を見抜く事に関してはまだまだ発展途上のようで。まあ6歳でそんな卓越したものを身に付けていたら恐いか。

 それでも時折無意識にか、本に関して鋭い指摘を垣間見せたりしているんですよねえ。さすがに6歳では本に関して底知れない脅威は感じられないものの、案外将来的には母や祖母に匹敵するかそれ以上の見抜きが扉子に備わったりするのかも? 同時に危うさも抱える事になりそうですが、まだ現時点ではどうなるか分からない。