いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。


小説

「キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン」長月天音(角川文庫)

30歳目前、かなめは焦っていた。飲食店が大好きで入社したのに、工場併設の製菓部に異動してからは、空回りばかりだ。ある日、先輩から閉店時間を気にせず食事ができる「キッチン常夜灯」を教えてもらう。飴色のタルトタタン、オレンジが香るガトーバスク、…

「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん お茶会の秘密と二人だけのクラムチャウダー」友井羊(宝島社文庫)

スープ屋「しずく」店主の麻野は料理の腕前に劣らず、店に持ち込まれる謎や事件の推理力も評判だ。店の常連客で麻野の恋人の理恵は、同じく常連客でセレブの片山が催すホームパーティーに招かれた。しかし、片山が披露したダイヤモンドが少し目を離した隙に…

「ネコシェフと海辺のお店」標野凪(角川文庫)

青い波が打ち寄せる浜辺にぽつりと佇む小屋は、料理上手なネコシェフの店。ここに辿り着くのは、仕事や恋愛、子育てなどに悩み「現実から逃げ出したい」と切実に願う人ばかり。マイペースで饒舌なシェフは、旬の魚を使い腕をふるう。ホッキ貝のチャウダー、…

「冷たい恋と雪の密室」綾崎隼(ポプラ社)

センター試験二日前、歴史に残る最強寒波が新潟県全域を襲った。放課後、受験勉強を終えた三条市の高校三年生、石神博人は大雪の中、最寄りの三条駅に着いたが大混雑で電車は全然来ない。自宅のある帯織駅までは二駅とはいえ徒歩での帰宅は難しい。十八時過…

「赤と青とエスキース」青山美智子(PHP文芸文庫)

メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが……(「金魚とカワセミ」)。額縁工房に勤める空知は、仕事を淡々とこなす毎日に迷いを感じていた。そんな時、「エスキース」と…

「異世界居酒屋「げん」 二杯目」蝉川夏哉(宝島社文庫)

異世界にある東大国の王都ラ・パリシィアに繋がった居酒屋「げん」は。日々訪れる街の人々や貴族に認められ繁盛していった。評判を聞きつけて、「げん」にはさらに様々な人々が訪れる。自信の一品を求めてやってくる吟遊詩人、王城を抜け出した国王の叔母、…

9/8の雑談

体調微妙 昨日よりはマシだが、とても良いとは言えない。くらいの体調。 眠れればもう少しよくなるんだろうけど、寝れないのよねー(´・ω・`) 出張のお供(木金) 仕事より明らかに読書の比重が大きいのは気にしてはいけない 「異世界居酒屋「げん」 二杯目」…

8/28の雑談(昨日の話)

運が良いのか悪いのか 昨日、結局出張に行くことになりまして。 朝は胸やけと戦い、帰りは運休に怯えながら行ってまいりました。台風もっとはよこいや(# ゚Д゚)そしてさっさと通り過ぎろ 行きは朝通り過ぎた後、浜松-豊橋間が運転見合わせに。 帰りは静岡-掛…

「さよならの言い方なんて知らない。9」河野裕(新潮文庫nex)

賢者の円卓。通称「PORT」の頂点に君臨した男、ユーリイ。架見崎で最強のチームを率いた彼は、常に「王」だった。優雅で、強く、美しく。しかしまったく本心を見せない、謎の王様。ゲームの勝者に最も近いとされた彼は、心の奥底では何を求めていたのか。ユ…

「夏休みの空欄探し」似鳥鶏(ポプラ文庫)

クイズ研究会会長の高校2年生・成田頼伸(ライ)は、クラスで「じゃない方」と呼ばれている。同じ姓で、ダンス同好会所属の人気者・成田清春(キヨ)がいるからだ。「役立たない」ことが好きなライと、効率重視で「役立つこと」が好きなキヨ。対照的な二人は、夏…

「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のみんなの話」武田綾乃(宝島社文庫)

北宇治高校吹奏楽部の活躍を描く、人気青春エンタメシリーズの最新作。 卒業旅行の行き先を相談していた久美子たちのもとに、ひょんなことから沖縄での演奏会の話が舞い込み……!? そのほか、男子部員たちの内緒の恋バナ、大学生になった夏紀、優子、希美、み…

6/27の雑談

出張のお供 出張の移動時間に読んだ本の一言感想。 初日が4時半置きでグロッキーだったので思いの外進まなかったけど(´・ω・`) 「夏休みの空欄探し」似鳥鶏(ポプラ文庫) 感想は後日(新刊で買ったので感想はまじめに書く予定) 『夜のピクニック』恩田陸…

「キッチン常夜灯 真夜中のクロックムッシュ」長月天音(角川文庫)

街の裏路地で、夜から翌朝まで開く「キッチン常夜灯」。同期のみもざに連れてこられて以来、ここを訪れるのが、つぐみの唯一の楽しみだ。涼しげなヴィシソワーズ、とろけるシェーブルチーズのサラダ、若鳥のバスク風煮込みーー。現座に疎まれる本社勤務は、…

「キッチン常夜灯」長月天音(角川文庫)

街の路地裏で夜から朝にかけてオープンする“キッチン常夜灯”。チェーン系レストラン店長のみもざにとって、昼間の戦闘モードをオフにし、素の自分に戻れる大切な場所だ。店の常連になってから不眠症も怖くない。農夫風ポタージュ、赤ワインと楽しむシャルキ…

「レーエンデ国物語 夜明け前」多崎礼(講談社)

四大名家の嫡男・レオナルドは佳き少年だった。生まれよく心根よく聡明な彼は旧市街の夏祭りに繰り出し、街の熱気のなか劇場の少女と出会う。――そして、真実を知り、一族が有する銀夢草の畑を焼き払った。権力が生む欺瞞に失望した彼の前に現れたのは、片脚…

「キッチンつれづれ」アミの会(光文社文庫)

八人の作家が描き出す、家族や大事な人との悲喜こもごも。「対面式」(福田和代)、「わたしの家には包丁がない」(新津きよみ)、「お姉ちゃんの実験室」(永嶋恵美)、男の料理教室で事件を推理「春巻きとふろふき大根」(大崎梢)、「離れ」(松村比呂美…

「石狩七穂のつくりおき 家事は猫の手も借りたい?」竹岡葉月(ポプラ文庫ピュアフル)

四季折々の植物が生い茂り、猫が訪れる古民家で、隆司と暮らしはじめた七穂。抜群の家事能力を生かして立ち上げた家事代行サービス「KAJINANA」には、「対等で完璧な折半」を目指す共働き夫婦や、幼い娘のために亡くなった妻のカレーの味を再現してほしいと…

「冬期限定ボンボンショコラ事件」米澤穂信 (創元推理文庫)

小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人を…

「VR浮遊館の謎 ―探偵AIのリアル・ディープラーニング―」早坂吝(新潮文庫nex)

人工知能探偵・相以(あい)と助手の輔(たすく)は、世界初のフルダイブ型VRに挑戦! あらゆるものが浮遊する館で、相以は魔法使いに変身! 早速、犯人当てゲームの最速クリア法を提案する。「一人ずつ殺していけばいいと思います!」ゲームとは思えない生…

「ビブリア古書堂の事件手帖 IV ~扉子たちと継がれる道~」三上延(メディアワークス文庫)

三つの時代をまたぎ紐解く、鎌倉文庫の謎 まだ梅雨の始まらない五月の終わりの鎌倉駅。よく似た顔立ちだが世代の異なる三人の女性が一堂に会した。 戦中、鎌倉の文士達が立ち上げた貸本屋「鎌倉文庫」。千冊あったといわれる貸出本も発見されたのはわずか数…

「凜として弓を引く 初陣篇」碧野圭(講談社文庫)

発足したばかりの武蔵野西高校(通称ムサニ)弓道同好会は、女子三人男子三人で初めて試合に挑む。部長の矢口楓をはじめメンバーは調子の出ないまま試合を終える。悔しさをバネにそれぞれ課題をもって練習に臨み、次の試合へ。そして、ムサニ弓道の快進撃が始…

「神さまのいうとおり」谷瑞恵(幻冬舎文庫)

「会社を辞めて農業をしたい」。父親が突然宣言し、高校生の友梨は曾祖母の暮らす田舎に引っ越すはめに。主夫となった父親や同級生との関係に悩む友梨に曾祖母が教えてくれたのは、絡まってしまった糸をほどくおまじないだった。最初は、疑心暗鬼な友梨だっ…

「シャーロック・ホームズの凱旋」森見登美彦(中央公論新社)

「天から与えられた才能はどこへ消えた?」舞台はヴィクトリア朝京都。 洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが……まさかの大スランプ!?----- この手記は脱出不可能の迷宮と化した舞台裏からの報告書である。 いつの間にか迷いこんだその舞台裏におい…

「この銀盤を君と跳ぶ」綾崎隼(角川書店)

二ヵ月後にオリンピック開催を控えた、全日本フィギュアスケート選手権。この大会には日本女子フィギュアの歴史を変える選手二人が揃った。卓越したセンスと表現力を持つ完璧主義者・京本瑠璃。圧倒的身体能力でジャンプの限界を超越する雛森ひばり。波乱続…

「紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所」ほしおさなえ(角川文庫)

大学卒業後、晴れて藤崎産業に入社した百花は記念館準備室に配属され、川越での新記念館開館に向けたプロジェクトに携わることに。どのような場所にすれば、人々に和紙の魅力を伝え、活用してもらうきっかけになれるのか。時にプレッシャーを感じながらも一…

「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 巡る季節のミネストローネ」友井羊(宝島社文庫)

早朝にひっそりと営業しているスープ屋「しずく」の常連客の理恵。ついにシェフの麻野に告白したが「待ってほしい」と言われ……。山菜採りがてら手伝うことになった恩人の遺産探し。夏の沖縄で起きた不可思議な出来事。秋の弁論大会と引っ搔き事件。フードロ…

「雑草姫のレストラン」賀十つばさ(新潮文庫nex)

八ヶ岳のふもとにある道の駅で働く茂花(ルビ・もか)は、有名レストランのシェフだった姉の夕花(ルビ・ゆうか)とともに東京から移住してきた。自然豊かな山では、山菜だけでなく雑草までもが美味な素材。ウドの天ぷら、タンポポのピッツァ、レンゲソウの…

「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」多崎礼(講談社)

ルミニエル座の俳優アーロウには双子の兄がいた。天才として名高い兄・リーアンに、特権階級の演出家から戯曲執筆依頼が届く。選んだ題材は、隠されたレーエンデの英雄。彼の真実を知るため、二人は旅に出る。果てまで延びる鉄道、焼きはらわれた森林、差別…

「おいしい旅 しあわせ編」大崎梢、近藤史恵、篠田真由美、柴田よしき、新津きよみ、松村比呂美、三上延(角川文庫)

祖母と一緒に行くはずだったお伊勢参り。急なトラブルでひとりでお参りすることになった元喜は、ある男の子と出会う(「もしも神様に会えたなら」)。 幼い頃に引っ越し、生まれ故郷の記憶はまるでない。両親の思い出話を頼りに故郷をめぐる旅に出るが……(「失…

「異世界居酒屋「げん」」蝉川夏哉(宝島社文庫)

東京某所で店を開いていた居酒屋「げん」は、葦村草平が切り盛りしていた。草平が閉店を考えた矢先、突然店の出入り口が異世界の王都ラ・パリシィアに繋がってしまう。不思議なお客を受け入れながら、心変わりした草平は店を続けていくことを決める。娘のひ…