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「続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー (9)」佐島勤(電撃文庫)

続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(9) (電撃文庫)

サンフランシスコ暴動は収まり、平静を取り戻した。達也は暴動を引き起こした魔法ギャラルホルンの対抗魔法の開発を急いでいた。
一方、日本の政界の黒幕でも動きが。元老院四大老の一人、穂州実明日葉が、四葉家への粛清計画を進めていた。彼女らが自分の縄張りだと見なしていた富士山麓の遺跡を達也が無断で発掘したためだ。魔法を絶対的に無力化する異能を持つ、次期当主の富貴花を中心に四葉の隠れ里襲撃を企てる。
絶体絶命の四葉家だが、達也のことを憎む分家の当主、黒羽貢がどうやら不穏な動きをしており……。


新たな敵が続々と!?なメイジアン・カンパニー 9巻。
まずは日本のトップ、元老院四大老の穂州実家による四葉家への制裁に、仲の良い黒羽姉弟の父・貢の裏切りのコンボ。
これにはさすがの達也も窮地に立たされるかも!?……と期待した私がバカでした。
穂州実家弱!!! あれ? 四大老って恐れ敬う必要性があまりないのでは?
貢氏も弱!!! 主に意志弱! いくらなんでも手の平返しが早すぎる。それに戦う前から負けを悟るの盛り上がらないからやめてもらえませんかね。
お次は新ソ連と大亜連合が手を組んでの襲撃作戦。
この両国は本シリーズでは最早コメディ要員ではないかと思うくらい、強者ムーブからのズコーな敗北が定番だけど、今回もその例に漏れず一蹴される結果に。何で他に目を向けずに日本にやってきてしまったのか……。新ソ連の皆さん、実験台のお仕事ご苦労様でございました。達也にビビり散らかす姿は滑稽を通り越して哀愁が漂っておりました。現実の某国もこのくらい直線的で阿呆だと助かるだけど。
大亜連合関係は火種が残ったままなので次回に持ち越し。レイラ周りがどうなるか。達也が近くにいるなら何も心配しないのだけど、傍にいるのが一条のプリンスなのが心配だ。
そんなわけで戦闘面は残念オブ残念だったのだけど、魔法科の学生としての話、新魔法の開発が面白かった。
前回、米国で猛威を振るった[ギャラルホルン]への対抗策、暴徒化した集団を鎮静化する魔法の開発。アプローチ方法の模索から、トライアンドエラーを繰り返す試行錯誤の過程、教授や先輩との共同作業。このシリーズの技能・技術としての魔法の在り方を感じられるエピソードでとても良かった。
ただ、汎用性を求めていたので固有魔法は考慮の範囲外だったのだろうけど、一番効果がありそうな中条先輩の梓弓の話題が一切出てこなかったのがちょっと寂しい。
今回は戦闘そのものは期待外れだったけど、主題や展開が目まぐるしく変わる動きの大きい回でストーリーは面白かった。もう少し敵が強いともっと良いのだけど、もう達也が苦戦するような相手を出すのは無理な気はしている。