いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。


「営業課の美人同期とご飯を食べるだけの日常」七転(電撃文庫)

営業課の美人同期とご飯を食べるだけの日常 (電撃文庫)

弊社の営業課には美人と評判のエースがいる。名前は秋津ひより、俺の同期である。「入社時期が同じ」というだけでなく、なんと高校時代の同級生でもある。人気者の彼女と学生時代からの知り合いだなんて、周りにバレると面倒だ。なるべく彼女とは関わらないように過ごしているが……。
『昼一緒に食べられそうだけど、どう?』
なぜかランチを一緒に食べたり、帰り際に飲みにいったり、はたまた自宅で夕飯を食べるような仲になっていた。これは社会の荒波に飲まれた残業モンスター達が美味しいご飯を食べるだけの話。
そして、同期社員がほのかに宿した恋心をゆっくりと育む話。


web版既読。
仕事に追われる日々の中で料理・食事に幸せを見出す社畜の日常を描いた飯テロ小説にして、押せ押せの彼女とそれをのらりくらりと躱す彼の社会人ラブコメ。
食べることに感じる幸せは味や量の満足感はもちろんのこと、誰と何処で食べるかも重要なファクター。そのすべてが揃っているのがこの作品の最大の長所。
外食でも自作でも「それ間違いなく旨いやつだ」と思える王道の料理のチョイスに、隣で美味しそうに食べる彼女。外食ならシェア出来るし感想が言い合える、自作なら「美味しい」の一言が聞ける。そんな理想的な食事風景が繰り広げられている。
ラブコメとしては、彼のことが大好きで好意を隠そうともしない彼女と、口先では邪険にしながら眼差しは優しく態度は受け入れる気満々な彼。そんな二人の可愛くも安心感のあるやり取りが程よく甘い。
こんな幸せそうな空気感を出しておきながら、付き合ってないとか最早詐欺だろう。全くのノーチャンスなのに出てきている二人のサブヒロインが気の毒になる。
web版既読組として、ヒロインひより書き下ろし、しかもバリキャリ彼女のダメな時期が読めるのが嬉しい。これは惚れ直して甘えちゃうのも仕方がない。
二人でいることの幸せを十二分に味わえて心があったかくなる作品。
原作の分量的には残り1.5巻分くらいだと思うのだけど、2巻で納めるのか加筆増量して3巻まで行くか。とにかくゴールインまでよろしくお願いします。