先般、「現行法令の下で・・」において、最近の試みを紹介させていただいた。
この「試み」で使った差物工法を本格的?に使いだしたのは、今から20年ほど前の設計。それが上掲の建物。もちろん(!?)、確認申請は、便宜上、壁量の計算ですませた。
写真に見える柱間の横材は、すべて差物になっている。というよりも、鴨居レベルだけのつもりでいたら、大工さんが全部差物にする、というのでそうなった。
この大工さんには、当時60代だったけれども、加工場でも現場でも、いろいろ教わった。
ただ、設計が施工手順をよく考えてなかったから、現場では手こずった箇所があった。
茨城の農村には、屋敷のなかに「までや」と呼ばれる建屋が建てられていることが多い。納屋でもあり作業場でもある。
多くの場合、本体:上屋に下屋を差し掛け、下屋は吹き放しが多い。下屋は一面だけの場合もあるし、二面にL型に回る場合もある。
この単純な上屋+下屋形式を、そっくりいただいた計画。
筑波の台地の縁には古代遺跡が多いが、この建物は、古墳を背中にして建っている。前面には水田が広がる。川を越えれば土浦。学園都市の東はずれだから、当分、この環境は維持されるのではないか。
約20年を過ぎて、いまのところ健在。
なお、筑波は冬の冷え込みがきついので、温風床暖房を施してある。夏は、冷房要らず。よく風が吹き抜ける。