12月11日(金)にミュージカル「黒執事」-地に燃えるリコリス2015-上海公演を観てきました。
ミュージカル「黒執事」の初の海外進出として、上海、北京、深センの中国3都市で上演されます。
2015年12月11日~13日 上海 5公演 芸海劇院
12月18日~20日 北京 3公演 北京展覧館劇場
12月25日~27日 深セン 5公演 深セン保利劇院
上海の芸海劇院は1階721席、2階278席、合計999席で、演劇、ミュージカル、バレエなどの公演によく使われる劇場です。
私は初日公演を観ましたが、満席でした。上海公演は基本的に埋まっていたと思います。
グッズもよく売れていたようです。完売が続出。
「黒執事ミュージカル」上海公演は7月から宣伝が始まっており、チケットも早くから販売されていました。
ネルケプランニングの中国法人も設立され、本格的に中国進出という意気込みを感じました。
黒執事ミュージカルが無事に上海で幕を開けることができて、本当に良かったと思います。
というのは、今年の4月に中国当局が日本アニメの動画配信を禁止する動きがあり、「進撃の巨人」「トーキョーグール」をはじめ、中国で人気のあった作品がことごとく視聴できなくなりました。
アニメ黒執事(3期)も「配信禁止作品リスト」の中に入りました。アニメは動画サイトIQIYI(愛奇芸)で正規版配信されていたのに、視聴できなくなってしまったのです。
アニメがそういう状況になったので、ミュージカルを上演できるのか心配していたファンも少なくなかったと思います。
ただ、中国チケット業者の「大麦」damai.cnは、ミュージカル黒執事の宣伝を一貫して積極的に行っていました。中国最大手の「大麦」が常に宣伝しているので、「大丈夫なのかも」と思いました。
中国向けの舞台裏の動画も配信されています。中国動画サイトIQIYI(愛奇芸)。
「黒執事」-地に燃えるリコリス2015-は、元々海外公演を意識して作られているものとは思いますが、すごく海外公演に向いている作品だと思いました。言語に依存しない部分、音楽、ライト、セット、衣装などのビジュアル面が非常に丹精かつ豪華に作られていました。音楽、ビジュアルで「黒執事」の世界を味わえます。
エンタメ性、アトラクション性も強く、仮に原作を知らなくてもエンターテイメントとして楽しめます。
字幕の翻訳も良く作られていて、ギャグもウケてました。
上海バージョンとして、ギャグにショーロンポーや上海カニなどが出てくるところも、ちゃんとお客さんに通じてました。
中国の観客は2.5次元舞台に免疫がないので、原作が抜け出してきたようなビジュアル、動きで役者さんが登場すると、それだけで「うわぁ~~っ!」というため息のような歓声が漏れます。観客のほとんどが女性です。
客観的にいうと、ミュージカルにしては、全体的に歌唱力が弱いとは思いますが、足りないところを長所で補って皆の力で良い舞台を作るという、役者、制作スタッフ全体の気迫を感じる舞台でした。
完璧な人間なんて、滅多にいません。
完璧な人間が集まれば人を感動させられるかというと、そうでもありません。
「足りないところを細やかな努力で補い合って、より良いものを作る」というのは、世界に誇れる日本文化の特徴です。
それを、2.5次元舞台という表現形式で海外の観客に見せることができたのは、素晴らしいことだと思います。
中国語字幕のスクリーンは、上海で見た他の海外ミュージカルと比べると非常に良かったです。ですが、まだ改善の余地があると思います。
・字幕のタイミング
字幕スクリーンにセリフを二つ以上入れると、役者がセリフを言う前に、次の展開がわかってしまいます。
役者のセリフのタイミングと、字幕のタイミングがずれないようにしたほうが感情移入しやすいと思います。
・肝心なセリフの字幕が抜けてしまっていた部分がありました。
・字幕の明るさ、文字の大きさなども、改善、研究の余地があると思います。
ミュージカルなので役者さんが歌うのですが、音響のせいかもしれませんが、歌詞がよく聞き取れないところが時々あります。
何を歌ってるのか分からないときは、思わず字幕を見てしまいました。
19:30開演予定が10分ほど遅れて始まり、公演が終わったのは22:40分くらいでした。
上海の地下鉄は比較的遅い路線でも23時には運行終了するので、最後のほうは帰りの電車の時間を気にしながら観ていたお客さんは多かったと思います。
22:30くらいに本編が終わり、それからカーテンコールだったのですが、終電を捕まえるためにカーテンコールの途中で急いで出て行くお客さんが基本的にいませんでした。
それを見たときに「かなり経済的に余裕のある人たちが観に来ているんだな」と思いました。
チケットの値段は、
1階:VIP1080元(約2万円)、680元(約13000円)、480元(約9000円)
2階:280元(約5000円)、180元(約3000円)
という設定で、他の海外ミュージカルとほぼ同じくらいの価格設定です。
中国の相場からいうと、特に高いほうには入りません。
しかし、舞台ファンには二種類います。
作品または舞台自体が好きな人と、役者が好きな人です。
作品が好きな人は、1演目につき原則として1回、すごく面白かった場合もう1回見ることもあります。
ですが、役者ファンは違います。時間的、金銭的に許す限り何回でも通います。
680元や480元のチケットを買って、1回観る分には問題ありません。
ですが、480元を払って、2回、3回観るというのはかなりハードルが高いです。
それだったら、写真撮影などの特典があるVIPにつぎ込みます。
この価格設定でリピーター客をどれだけ作ることができるのか。未知の領域だと思います。
ロビーではネルケチャイナの会員募集をしていました。
ネルケ中国会員募集の広告。中国SNSアプリWechat(微信)を通じて入会できる。
会員になると中国公演の情報が配信される、チケットを先行購入できるなどの特典があるそうです。
次に何の演目をやるのでしょうか。
中国に向いている2.5次元舞台といえば、中国で圧倒的知名度を持つNARUTO、もしくはテニミュ(テニスの王子様ミュージカル)あたりでしょうか。
ちなみに「テニスの王子様」は中国でも人気があり、中国では実写ドラマ化されたことがあります。
左:テニスの王子様(中国版ドラマ全22話。2008年) 右:テニスの王子様Ⅱ(続編。全20話。2009年)
ある意味ものすごい意欲作、時代の先を行き過ぎたドラマだったかもしれません・・・。
ミュージカル「黒執事」の初の海外進出として、上海、北京、深センの中国3都市で上演されます。
2015年12月11日~13日 上海 5公演 芸海劇院
12月18日~20日 北京 3公演 北京展覧館劇場
12月25日~27日 深セン 5公演 深セン保利劇院
上海の芸海劇院は1階721席、2階278席、合計999席で、演劇、ミュージカル、バレエなどの公演によく使われる劇場です。
私は初日公演を観ましたが、満席でした。上海公演は基本的に埋まっていたと思います。
グッズもよく売れていたようです。完売が続出。
「黒執事ミュージカル」上海公演は7月から宣伝が始まっており、チケットも早くから販売されていました。
ネルケプランニングの中国法人も設立され、本格的に中国進出という意気込みを感じました。
黒執事ミュージカルが無事に上海で幕を開けることができて、本当に良かったと思います。
というのは、今年の4月に中国当局が日本アニメの動画配信を禁止する動きがあり、「進撃の巨人」「トーキョーグール」をはじめ、中国で人気のあった作品がことごとく視聴できなくなりました。
アニメ黒執事(3期)も「配信禁止作品リスト」の中に入りました。アニメは動画サイトIQIYI(愛奇芸)で正規版配信されていたのに、視聴できなくなってしまったのです。
アニメがそういう状況になったので、ミュージカルを上演できるのか心配していたファンも少なくなかったと思います。
ただ、中国チケット業者の「大麦」damai.cnは、ミュージカル黒執事の宣伝を一貫して積極的に行っていました。中国最大手の「大麦」が常に宣伝しているので、「大丈夫なのかも」と思いました。
中国向けの舞台裏の動画も配信されています。中国動画サイトIQIYI(愛奇芸)。
「黒執事」-地に燃えるリコリス2015-は、元々海外公演を意識して作られているものとは思いますが、すごく海外公演に向いている作品だと思いました。言語に依存しない部分、音楽、ライト、セット、衣装などのビジュアル面が非常に丹精かつ豪華に作られていました。音楽、ビジュアルで「黒執事」の世界を味わえます。
エンタメ性、アトラクション性も強く、仮に原作を知らなくてもエンターテイメントとして楽しめます。
字幕の翻訳も良く作られていて、ギャグもウケてました。
上海バージョンとして、ギャグにショーロンポーや上海カニなどが出てくるところも、ちゃんとお客さんに通じてました。
中国の観客は2.5次元舞台に免疫がないので、原作が抜け出してきたようなビジュアル、動きで役者さんが登場すると、それだけで「うわぁ~~っ!」というため息のような歓声が漏れます。観客のほとんどが女性です。
客観的にいうと、ミュージカルにしては、全体的に歌唱力が弱いとは思いますが、足りないところを長所で補って皆の力で良い舞台を作るという、役者、制作スタッフ全体の気迫を感じる舞台でした。
完璧な人間なんて、滅多にいません。
完璧な人間が集まれば人を感動させられるかというと、そうでもありません。
「足りないところを細やかな努力で補い合って、より良いものを作る」というのは、世界に誇れる日本文化の特徴です。
それを、2.5次元舞台という表現形式で海外の観客に見せることができたのは、素晴らしいことだと思います。
中国語字幕のスクリーンは、上海で見た他の海外ミュージカルと比べると非常に良かったです。ですが、まだ改善の余地があると思います。
・字幕のタイミング
字幕スクリーンにセリフを二つ以上入れると、役者がセリフを言う前に、次の展開がわかってしまいます。
役者のセリフのタイミングと、字幕のタイミングがずれないようにしたほうが感情移入しやすいと思います。
・肝心なセリフの字幕が抜けてしまっていた部分がありました。
・字幕の明るさ、文字の大きさなども、改善、研究の余地があると思います。
ミュージカルなので役者さんが歌うのですが、音響のせいかもしれませんが、歌詞がよく聞き取れないところが時々あります。
何を歌ってるのか分からないときは、思わず字幕を見てしまいました。
19:30開演予定が10分ほど遅れて始まり、公演が終わったのは22:40分くらいでした。
上海の地下鉄は比較的遅い路線でも23時には運行終了するので、最後のほうは帰りの電車の時間を気にしながら観ていたお客さんは多かったと思います。
22:30くらいに本編が終わり、それからカーテンコールだったのですが、終電を捕まえるためにカーテンコールの途中で急いで出て行くお客さんが基本的にいませんでした。
それを見たときに「かなり経済的に余裕のある人たちが観に来ているんだな」と思いました。
チケットの値段は、
1階:VIP1080元(約2万円)、680元(約13000円)、480元(約9000円)
2階:280元(約5000円)、180元(約3000円)
という設定で、他の海外ミュージカルとほぼ同じくらいの価格設定です。
中国の相場からいうと、特に高いほうには入りません。
しかし、舞台ファンには二種類います。
作品または舞台自体が好きな人と、役者が好きな人です。
作品が好きな人は、1演目につき原則として1回、すごく面白かった場合もう1回見ることもあります。
ですが、役者ファンは違います。時間的、金銭的に許す限り何回でも通います。
680元や480元のチケットを買って、1回観る分には問題ありません。
ですが、480元を払って、2回、3回観るというのはかなりハードルが高いです。
それだったら、写真撮影などの特典があるVIPにつぎ込みます。
この価格設定でリピーター客をどれだけ作ることができるのか。未知の領域だと思います。
ロビーではネルケチャイナの会員募集をしていました。
ネルケ中国会員募集の広告。中国SNSアプリWechat(微信)を通じて入会できる。
会員になると中国公演の情報が配信される、チケットを先行購入できるなどの特典があるそうです。
次に何の演目をやるのでしょうか。
中国に向いている2.5次元舞台といえば、中国で圧倒的知名度を持つNARUTO、もしくはテニミュ(テニスの王子様ミュージカル)あたりでしょうか。
ちなみに「テニスの王子様」は中国でも人気があり、中国では実写ドラマ化されたことがあります。
左:テニスの王子様(中国版ドラマ全22話。2008年) 右:テニスの王子様Ⅱ(続編。全20話。2009年)
ある意味ものすごい意欲作、時代の先を行き過ぎたドラマだったかもしれません・・・。