ポケカメ雑記帳

久しぶりに再開しました

一本の杖

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玄関のすみに立てかけられた
一本の杖がある。

今日はその杖に関するお話。



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今では毎日のように早足で何kmもの距離を普通に歩いているけど
ほんの少し前までは、全身が脱力して自由が利かない病気の身だった。


入院時は自力でベッドから起き上がる事も出来ず
移動する時は車椅子に乗せ変えてもらって看護師の手押しで移動した。

 


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病室の壁の手すり棒に掴まって歩くリハビリを重ねてやっと立ち上がれるようになっても、病院内を1人で移動する時は松葉杖が必要で、それが無いと1歩も前に進むことが出来なかった。



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この杖は退院時に担当の看護師に頼んで取り寄せてもらったものだ。
軽くて丈夫なドイツ製の医療用リハビリ歩行杖。
自分の身長に合わせてサイズや重さを選んでもらった。



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家に帰れば、剣道をしていたから杖代わりになりそうなのはいくらでもあるんだけど、さすがにこれ持って街歩くわけにもいかないからね😊



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杖を持って街に出ると、人の視線が気になって仕方ない。
そのせいかすごく気疲れする。

通勤電車に乗る時も何かと注目されている、ような気がする。
これは自分の勝手な思い込みなのかもしれないけどさ。

でも席を譲られたりして、しかも相手の方が自分より明らかに年長の方だったりすると、その方の気遣いを申し訳なく思ってさらに気疲れする。
恐縮しちゃうんだ。

 

「ありがとうございます。次の駅で降りますので・・・、ありがとうございます」

 

なんかすごく自分が小さくなったような、弱者になったような、そんな気がした。

 


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今は杖無しで暮らせる健常者に戻っているけど、近い将来、病気とは関係なく否応無しに杖が必要な歳になる。
そうなれば今は玄関の片隅で隠居中のこの杖が自分の第三の足になる。



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杖の有る無しで世の中の見え方や見られ方がまるで違ってしまう。

その事をこの一本の杖は教えてくれた。

いろんな意味で良い勉強になったんだと思うよ。



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