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始まりは旅立ちの場面だった。簡素な孤児院の庭で、他の子とは違う上品なドレスを身に纏った少女が、皆... 始まりは旅立ちの場面だった。簡素な孤児院の庭で、他の子とは違う上品なドレスを身に纏った少女が、皆に別れを告げている。ダイアナは養女として貰われてゆく。その国第4位の資産を所有する、貴族ブラッドハーレーの家に。幸福に満ちた門出だ。それに選ばれるということは二重の意味を持つ。ひとつめは言わずもがな、資産家の娘になるということ。ふたつめは切符を手に入れたということだ。そういう噂があった。「ブラッドハーレー聖公女歌劇団」当主が主宰するその歌劇団は、子どもたちの羨望と憧憬の的。年に一度だけ、観ることのできるステージ。夢のような演出に、心躍らせない者はいない。いつかあの舞台に立てたら……と誰しもが願う。そんな豪奢で絢爛なオペラ。その演目の最後に、新人たちのお披露目がある。舞台に上がれるのは毎年たった数人の少女。彼女たちはすべて元孤児だという。そう、そこに立つ切符だ。ダイアナと輝かしい(はずの)その未来
2008/06/04 リンク