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(新潮文庫版) 私は『〈郊外〉の誕生と死』において、当初の構想では第4章「郊外文学の発生」を、大江... (新潮文庫版) 私は『〈郊外〉の誕生と死』において、当初の構想では第4章「郊外文学の発生」を、大江健三郎の『飼育』から始めるつもりでいたのだが、彼の作品は次回言及する『万延元年のフットボール』も含め、スパンの長い郊外や消費社会の前史に位置づけられるので、この章が長くなってしまうこともあり、見送らざるをえなかった。 それに加えて、大江の作品と文体には他の作家たちと異なる特有の呪縛力が秘められていること、とりわけ『飼育』にはかつて原文でも読んだピエール・ガスカールの『種子』(青柳瑞穂訳、講談社、一九五七年)の明らかな影響が見てとれ、そちらも論じていくとテーマがずれてしまうことも危惧されたからだ。またあらためて私たちの戦後世代に対して、大江文学がもたらした比類なき波紋と影響も思い出されたし、中上健次や村上龍はもちろんだが、それは前回取り上げた山田詠美に至るまで続き、彼女も大江文学の強度な引力圏を
2013/09/12 リンク