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一九五九年、ウラル山脈北部の雪山で若者の登山チーム九名の遺体が発見される。テントから一キロ以上離... 一九五九年、ウラル山脈北部の雪山で若者の登山チーム九名の遺体が発見される。テントから一キロ以上離れた場所で皆散り散りになり、服や靴は脱げ、三人は頭蓋骨折などの重傷、一人は舌を喪っていた。一部の衣服からは濃度の高い放射線が検出された─。 「世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相」とサブタイトルが付けられた『死に山』(安原和見訳)は、フロリダ出身の映像作家ドニー・アイカーが現場へ足を運び、チームに何が起きたのかを探った渾身のルポルタージュ。冬山登山の模様、遺族ら関係者への取材、九人の当時の足取りを再現する時間軸を交互に配置し、写真や図解などの資料も豊富に盛り込みながら真実に迫ってゆく。 殺人説、陰謀説、宇宙人の仕業説などのあらゆる仮説を取りあげ、導かれた結論は驚きの一言。しかし荒唐無稽ではなく、専門家による詳細な裏付けも記されていて、こんなこともあるのかと唸らずにはいられない。そし