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前回の話:第六章 - 孤独な蛙 かつてこの場所にあった黒木山を一部切り崩して建設された南黒町団地は、... 前回の話:第六章 - 孤独な蛙 かつてこの場所にあった黒木山を一部切り崩して建設された南黒町団地は、その背後に幾つもの低い山々が連なる町の外れの高台にあった。 団地のある高台の上へと続く大蛇のようにうねった坂をあがりきると、もう誰一人住むものがいなくなった団地にある三棟の建物たちが、それぞれに異様な威圧感を放ちながら無言で目を閉じたままこちらに顔を向けて座っていた。あるいはこの瞬間、建物たちは座って眠りこけている最中なのかも知れなかったが、その背後に広がる漆黒の山々のシルエットは、建物が背中に備え持ち、いま正に開かれようとする大きな黒い翼のようにも感じられた。 ぼくは塩田の家を訪れるため、何度もこの坂をあがりこの景色を目に映しているはずだった。けれど今ぼくの目の前にある団地の姿は、ぼくの知る南黒町団地とはあまりにもかけ離れたものに感じられた。よく見知ったこの団地が、なぜこれほどまでに禍々し
2017/10/03 リンク