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朝の5時半、寝ていた無珍先生が起こされた。 「いいかい、パパは今ドイツに戻る。無珍先生はネエネと日... 朝の5時半、寝ていた無珍先生が起こされた。 「いいかい、パパは今ドイツに戻る。無珍先生はネエネと日本で暮らすんだよ」 私はそう伝えた。無珍先生は目を見開いた。その目がみるみるうちに潤んでいった。たちまち大粒のナミダがボロボロと流れた。しかし表情はかわらず、目を大きく開けたまま、声も出さずにナミダだけがこぼれ頬を伝い寝間着に染みこんでゆく。一言も泣き声をあげずに、口を結んだまま。私は絶句した。産みの母親を生後二ヶ月半で失い、四歳になって一ヶ月、父親の私も離れていこうとしている。 私は玄関で靴を履きバックパックを肩にかけ、義理の妹がだっこしている無珍先生に向き直った。無言の私、無言の無珍先生。義理の妹も無言のままじっと無珍先生を抱きしめている。じゃあ、オーベン(肩車)してあげようか、というと、無珍先生はいつものようにうれしそうな顔で両手をめいっぱい伸ばしてきた。肩にのると、毎度のことながら私の
2013/03/06 リンク