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愛に飢えているのですよと彼は言った。嘘だねと私はこたえた。あなたが飢えているのは愛じゃないよ、ど... 愛に飢えているのですよと彼は言った。嘘だねと私はこたえた。あなたが飢えているのは愛じゃないよ、どう考えても。それから私たちはなんだか可笑しくて笑った。日常語でないと言われる語彙を、私はわりに平気で口に出すけれども、誰にでもというのではなくって、慣れが必要で、彼はあまりそういう語を口にしたことのない相手なのだった。 十年を過ごした恋人と泥沼の挙げ句に別れてから彼はずいぶんと野方図で、デートの相手を幾人もつくり、色も恋もない話し相手にすら性別が女であることを好むところがあった。以前は年に二度かそこいらしか会わない薄い友人だったのに、そんなわけで私にもなにかとお呼びがかかる。職場の近くで軽く飲みながら女たちに関する話を聞いてやるのが私はそんなに嫌いではなかった。なぜなら彼はみじめで可哀想で、いかにも不安定に見えたからだ。私は可哀想なものにえさを投げるような行為が好きだ。そういう自分を卑しいと思う
2019/04/24 リンク