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* 数年ぶりに実家に帰った。 8月の田舎町はうだるような暑さだった。 そう、私の実家は、なかなかに田... * 数年ぶりに実家に帰った。 8月の田舎町はうだるような暑さだった。 そう、私の実家は、なかなかに田舎だ。 よく遊びに行った隣町さえ、帰省するたびにシャッターで閉ざされた店が増えている。私が子どもだった時分には栄えて見えたものだったが。 もちろん交通の便も悪い。ハワイにでも行く方が時間がかからないだろう。せっかく休みを取っても片道の交通だけで丸一日潰れる。そんなわけで、実家にいられたのは二日程度だった。 そのうちの一日目は祖母の様子を見るため、午後から祖母のもとへ向かった。齢90を超えているというのに元気なものだった。祖母と話している間、私はずっと祖母の手を握っていた。老人特有の脂の少ない乾燥した手。たるんだ皮膚の柔らかさがなんとなく好きだ。 長生きしてくれよと私が言うと、祖母は、お前も元気にしてないといかんぞ、と私の手をパシンパシンと叩いた。 祖母のもとを発ち、実家に戻るともう日が暮れて
2016/08/08 リンク