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訓読 >>> 君がため醸(か)みし待酒(まちざけ)安(やす)の野にひとりや飲まむ友なしにして 要旨 ... 訓読 >>> 君がため醸(か)みし待酒(まちざけ)安(やす)の野にひとりや飲まむ友なしにして 要旨 >>> あなたと飲み交わそうと醸造しておいた酒も、安の野で一人寂しく飲むことになるのか。友がいなくなってしまうので。 鑑賞 >>> 大宰帥の大伴旅人が、民部卿(民部省の長官)として転任することになった大弐(大宰府の次官)の丹比県守(たじひのあがたもり)に贈った歌。丹比県守は、左大臣正二位多治比嶋の子で、唐に派遣されたこともある人です。家柄からして、旅人にとっては胸襟を開いて接することができた、ごく少数の友だったとみえます。「醸みし待酒」は、接待するために醸造して用意していた酒の意。「安の野」は、大宰府の東南にあった野で、大宰府の官人がよく野遊びをしていた所。 酒の醸造方法は、古くは「口醸(くちか)み」とされ、女性が蒸し米を口でよく噛み、唾液の作用で糖化させ、容器に吐き入れたものを、空気中の酵