「モリー先生との火曜日」。僕が本書の存在を知ったのはNHKで偶然見た1999年にアメリカで制作されたテレビ映画からでした。コラムニストの筆者と難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵された恩師との邂逅。 僕は本書『モリー先生との火曜日』の存在を知ったのはかつて偶然見たジャック・レモンがモリー先生を演じていた1999年にアメリカで制作され、ABC放送で放送されたテレビ映画版でした。 その流れで原作本である本書を読んでいたのですが、アメリカのジャーナリストのミッチ・アルボムと、16年間連絡を絶っていたかつての師であるモリー・シュワルツ教授が難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵され、、余命いくばくもないことを知り、毎週火曜日に行われた「最後の授業」を行い、記録したものです。 内容を思い出しているとそれだけ眼頭が熱くなってくるのですが、死の床でモリー先生が筆者に語り掛ける言葉の数々は僕の胸の中にも確実

早大卒、元公務員からプロの総合格闘家へと転身し「DREAM」や「ONE FC」で世界ライト級王者に就いた青木真也氏による「空気を読まない」ことをベースに、人生や試合に対する心構えを記した自己啓発書です。 実のところを言うと、僕と青木氏は同い年で(学年は2月生まれの僕の方が上)、同年代で同じ時代に生きる人間の一人としてその活躍を追い続けておりましたし、(口幅ったいことですが)自分も少し武道をかじっていた時期もあったりするので、安定した公務員(静岡県警)の職をなげうち、その後の活躍は広く知れわたるところですが、本書ではそこに至るまでの「プロセス」が開陳されており、 「一つの分野で頂点を極めるにはここまでやらんといかんのか!?」 と読んだ後に思わず天を仰いでしまいました。 青木氏は総合格闘家になる前は柔道の選手でしたが、体躯や才能には恵まれていなかったそうで、指導者に見放されながらも自分の得意で

本書は『NHK Eテレ』にて放送された『哲子の部屋』の書籍化第三弾です。哲学者、千葉雅也先生をナビゲート役にゲストに女優の清水富美加(千眼美子) と俳優・ミュージシャンのマキタスポーツの両氏を迎えます。 本書は『NHK Eテレ』にて放送された『哲子の部屋』の書籍化第三弾です。教養と娯楽を融合する 「ハイブリッド・エデュテイメント」 をコンセプトとして放映されたこの番組はATP賞を受賞したことでも知られ、本書では「『変態』の哲学」をテーマに哲学の世界へとわれわれをいざなってくれます。 ここでは國分功一郎先生に代わって、同じく気鋭の哲学者である千葉雅也先生をナビゲート役に迎え、ゲストに女優の清水富美加(千眼美子) と 俳優・ミュージシャンのマキタスポーツの両氏と共に、「変態」をキーワードに「アイデンティティの悩み」を解き明かしていきます。 自分もかつて行っていた「自分探し」を考えるテクストとし

本書は『NHK Eテレ』にて放送された『哲子の部屋』の書籍化第二弾です。哲学者、國分功一郎先生をナビゲート役にゲストに女優の清水富美加(千眼美子) と俳優・ミュージシャンのマキタスポーツの両氏を迎えます。 本書は『NHK Eテレ』にて放送された『哲子の部屋』の書籍化第二弾です。 教養と娯楽を融合する 「ハイブリッド・エデュテイメント」 をコンセプトとして放映されたこの番組はATP賞を受賞したことでも知られ、ここで紹介された「環世界」や「学ぶことの意義」は僕の日常を大きく変えてくれました。 本書でも『哲子の部屋　Ⅰ: 哲学って、考えるって何?』(NHK『哲子の部屋』制作班、河出書房新社)に続き、気鋭の哲学者、國分功一郎先生をナビゲート役として、ゲストに女優の清水富美加(千眼美子) と 俳優・ミュージシャンのマキタスポーツの両氏を迎え、「『学び』の哲学」をテーマとしてわれわれ視聴者、並びに読者

本書は『NHK Eテレ』にて放送された『哲子の部屋』の書籍化第一弾です。哲学者、國分功一郎先生をナビゲート役にゲストに女優の清水富美加(千眼美子) と俳優・ミュージシャンのマキタスポーツの両氏を迎えます。 本書は『NHK Eテレ』にて放送された『哲子の部屋』の書籍化第一弾です。教養と娯楽を融合する 「ハイブリッド・エデュテイメント」 をコンセプトとして放映されたこの番組はATP賞を受賞したことでも知られ、とっつきにくいとされる「哲学」の世界を身近なものにしてくれました。 ここでは気鋭の哲学者、國分功一郎先生をナビゲート役として、ゲストに女優の清水富美加(千眼美子) と 俳優・ミュージシャンのマキタスポーツの両氏を迎え、哲学対談を続けていきます。 本書の中で國分先生が紹介されていたジル・ドゥルーズの 「哲学とは新しい概念を作り出すこと」 という言葉は誠に持って衝撃的であり、ゲストの二人―分か

本書は漫画家、林まつりさんの『ダンナは海上保安官』(ぶんか社)の続編であり、海上保安官である夫との日々に加えて「3.11」東日本大震災での経験に加え、夫婦の間に子供を授かり、出産話を収録しております。 本書は漫画家、林まつりさんの『ダンナは海上保安官』(ぶんか社)の続編であります。僕は本書を読んだのは前作である『ダンナは―』を読んだからであり、海上保安官である「もー」さんと筆者であるまつりさんとのひびが描かれ、7年間の歳月がみっちりと詰まっております。 前作に引き続き、「カイホ妻」である夫婦の日々に加えて、今回はお互いのエッセイも収録されていることに始まり、夫の「もー」さんの転勤についていく形で日本の各港を転々としていたり、前作と本作との間に起こった最大の『出来事』と言ってもいい「3.11」の東日本大震災。僕もかつて、回答保安庁が撮影、刊行したDVD『海上保安官が見た巨大津波と東日本大震災

苛烈を極めた弾圧にも関わらず、現在に至るまで変わらなかった信仰——本書はかくれキリシタン信仰の歴史とその真の姿を追ったフィールドワークを纏めたブックレットです。長崎・平戸とヨーロッパを結ぶ信仰の軌跡。 かくれキリシタン。 その信仰が現在に至るまで受け継がれていたことを知ったのは、TBS系列で絶賛放送されている『クレイジージャーニー』にて2016年5月12日放送されていたオカルト研究家の吉田悠軌氏が現地、長崎にてかくれキリシタンの信仰生活の実態を取材した様子が放送され、すでに絶えたと思っていた信仰が今なお、脈々と受け継がれ、存在しているという事実には本当に衝撃を受けたことからでした。 その後、マーティン・スコセッシ監督作品の映画『沈黙‐サイレンス‐』と原作である作家・遠藤周作の小説『沈黙(新潮文庫)』(新潮社)を読み、さらに篠田正浩監督が1971年に『沈黙 SILENCE』を見ることができ、

本書は「自衛隊徒手格闘術」を300点余の写真と図版で紹介したものです。ただ、2008年（平成20年）より新たな内容の格闘術（自衛隊内では「新格闘」と呼称)に変更されており、現在は使用されておりません。 本書は日本拳法や日本合気道協会(富木合気道)などをベースに体系化された「自衛隊徒手格闘術」の技術を300点余の写真と図版で紹介したものです。 僕がこういう本を読んでいたのは19歳から22歳ごろのことで、本を読んだからと言って強くなることはできないことをその後、東京に行って文字通り徹底的に叩きのめされることで知るわけでありまして、当時は『残酷な天使のテーゼ』ではありませんが 「もとめることに夢中で　運命さえまだ知らないいたいけな瞳」 だったわけです。 話を戻してこの「自衛隊徒手格闘」は2008年（平成20年）より新たな内容の格闘術（自衛隊内では「新格闘」と呼称)に変更されており、現在は使用され

「スマホなら自由自在に使えても、パソコンはあまり馴染みがない。」そんな10代、20代の存在は僕がそんな彼、彼女らのことを知ったのは2015年から17年にかけて大学で学生相手にものを教えていた時でした。 「スマホなら自由自在に使えても、パソコンはあまり馴染みがない。今の10代20代にはそんな人が増えています。」 本書でいうところのそういう世代の存在を知るきっかけになったのは市の雇用創出事業によって開催された釧路公立大学経済学部の下山朗准教授(現在は奈良県立大学地域創造学部准教授)の求職者向けのセミナーに参加してからのことでした。 何回目かのセミナーの休憩時間の際に下山准教授が 「今後あなた方はそういう人たちと働かなくてはならないんですよ。」 と予言していたことを昨日のことのように覚えております。 のちに僕が釧路公立大学へと週3日から5日通い、北海道学生研究会SCAN第6期、第7期生、および下

「この女(ひと)「30ン歳」と言っているけど確実に僕と同い年だ…。」趣味は1人で映画を観ることと感想ブログの独身OL。木根真知子さんの繰り広げるキネマコメディーの第1巻です。のっけから濃ゆいです…。 「この女(ひと)「30ン歳」と言っているけど確実に僕と同い年だ…。」 このマンガを読みながら確信したことはコレでした。本書は映画愛がこもりすぎててこじらせちゃってる独身OL、木根真知子さんがヒロインの映画コメディーのコミックス第1巻です。 紹介されている映画もこれまた濃いラインナップが勢揃いでありまして、『ターミネーター』『ター・ウォーズ』『バッドボーイズ2バッド』…。これらの映画を基にお話が進んでいくのです。 さらに、木根さんの「相棒役(作中では「バッドガールズ2バッド」と称される)」として夫の浮気現場に立会い、木根さんの部屋に転がり込んできて、翌朝夫と離婚して同居生活をスタートさせる佐藤香

人工知能の最先端をひた走っている研究者たちがはじめて語るディープラーニング(深層学習)の世界。果たしてわれわれの未来は「ユートピア」なのか、それとも「ディストピア」なのか?　その道しるべになります。 本書は情報処理推進機構より天才プログラマー/スーパークリエイターとして認定される清水亮氏が、世界中が注目する人工知能について、トヨタ、東大、スーパーコンピュータ開発の最先端の現場をひた走っている研究者たちとともに語り合い、自らの知見をまとめたものです。 僕は世に言う「ビジョナリー」ではありませんので、「2025年の未来」についてうんぬん言うことはできませんが、それぞれの現場の第一線を張る研究者がそれぞれの分野で開発･研究されている人工知能について熱く語っている読んでいると、(コトの是非を問わず)この流れを止めることはできないことを痛感させられます。 人工知能の急速な発達はつい最近のことだそうで

漫画家の福満しげゆき氏が青林工藝舎『アックス』に28号から46号（33号を除く）にかけて3年間にわたり連載された作品を単行本化したものです。氏の15歳から25歳までの「しょっぱさ」が心を打ちました。 僕が漫画家の福満しげゆきのことを知ったのは週刊ヤングマガジンに掲載されていた『中2の男子と第6感』でありまして、主人公が女の子に翻弄される姿を見て自分の内面に深く突き刺さるものがあったからです。 本書はその福満氏の自伝的な要素を多く含む作品でありまして、15歳から25歳までの姿が描かれているわけであります。工業高校に進学するも中退して漫画家デビューを果たすも、漠然とした自らの将来の不安と夜間高校に復学して大学に進学するもそこには居場所を見いだせず、鬱鬱とした日々を送るその心理じ状態。さらに自らの裡から突き上げてくる女性へのリビドー描写されており、自分の中にも同じものがあるなとつくづく思ってしま

本書は人工知能に関する研究で日本では最先端を走っている研究者の一人である東京大学大学院工学系研究科の松尾豊准教授が語る知能とは、人間とは何かを問い直す野心的な一冊です。将来はどうなるのか…。 僕も最近、人工知能に関する本を読み始めており、最初に読んだのが同じく松尾豊先生が塩野誠氏と共著で表された『人工知能はなぜ未来を変えるのか (中経の文庫)』(KADOKAWA)であり、やれチェスで勝ったとか、将棋ではプロ棋士相手に連戦連勝ですとか、さらには囲碁にまで勝利し、人間の現在行っている仕事の大半が人工知能に取って代わられるのではないかと囁かれている中で本書読んでいたので、「現在」人工知能に何ができて、何ができないのか、それが明確になったかと自分では認識しております。 最近ではグローバルIT企業であるグーグルやフェイスブックが開発にしのぎを削っているのだそうで、別な話に寄れば、人工知能の開発や研究

『AKB48の公式ライバルグループ』として発足し、今、勢いに乗るアイドルグループ、乃木坂46。本書は集英社・週刊プレイボーイに連載されていた彼女たちの軌跡を書籍化したものです。「今」を体言しています。 『AKB48の公式ライバルグループ』として発足し、今、勢いに乗るアイドルグループ、乃木坂46。僕が彼女たちに注目し、この文章を書くようになったきっかけと言うものがありまして、それは2015年に地元の大学にある学生団体と、一つゼミ生を「外部アドバイザー」として教えに行く機会がありまして、そこで約1年間彼ら、彼女らと関わる機会があったのですが、その中の一人に乃木坂46に青春をささげたといっても過言ではないH君と言う青年がおりまして、僕は彼と一番深く関わり、アイドルの「ガチヲタ」と言う存在と言うものを僕は彼から逆に教わったのです。 彼は乃木坂のためならたとえ火の中水の中の男で、コンビニの深夜帯のア

魔夜峰央先生による衝撃(あるいは笑撃)の埼玉ディス作品、その復刻版です。熱狂的なファンの間で長年語られていたそのインパクトは激しく、「ここまでやってエエんかいな…。」とおもわずうめいてしまいました。 僕が本書を知ったのは、たまたま入ったコンビニでマンガの棚に積まれていたからでした。漫画家、魔夜峰央先生による衝撃(あるいは笑撃)の埼玉ディス作品の復刻版です。本書を執筆当時、埼玉在住だった魔夜峰央先生の実体験が入っているとかいないとか? 熱狂的なファンの間で長年 「埼玉版『ロミオとジュリエット』」 とささやかれていた本書は東京と埼玉、そして茨城という地域格差をメインテーマとし、東京都民と埼玉県民の 「許されざる愛」 が描かれていくのです。 描かれている「埼玉ディス」っぷりもここまで行くと逆にむしろすがすがしくさえ思えるほどで、一部を抜抜粋させていただきますと、 「埼玉から東京に行くには通行手形

1996年に刊行された村上龍の小説を原作に1998年に庵野秀明よって映画化された女子高生の援助交際をテーマにしたシナリオを書籍化したものです。高校時代に読んでいたことを久方ぶりに思い出しました。 1996年に刊行された村上龍の小説を原作に1998年に庵野秀明よって映画化された女子高生の援助交際をテーマにしたシナリオを書籍化したものです。僕は高校時代に小説と本書を読んでおり、以来ずっと忘れていましたが、それを思い出したのはアイドルグループ「欅坂46」のデビューシングル『サイレントマジョリティー』を見てからのことでした。歌。ダンス。歌詞共に素晴らしく、軍隊を思わせるような緑色の制服を模したコスチュームで一切笑顔を見せることなく、センターを努める平手友梨奈を中心に歌い、踊る彼女達を見てCDのジャケットを見たとき、はっと気がつきました。 それは全てのパターンのCDジャケットが撮影され、メンバーの彼

「現代の魔法使い」の異名を取り、月刊『文藝春秋』(2016年2月号)では「日本を元気にする逸材125人」に選ばれた落合陽一氏の語る若者たちへのメッセージです。彼が見つめている「未来」がよく分りました。 本書は筑波大学助教として学生を指導する一方でメディアアーティストとして国内外で活躍する落合陽一氏による自分より下の若い世代に向けて送った熱いメッセージです。しかし、僕は本書が想定しているような読者層には所属しておらず、若干の後ろめたさを感じながらも、落合氏が見ている「ヴィジョン」を共有でき、大いに感銘を受けました。 個人的に落合氏が前回上梓した『魔法の世紀』(PLANETS)よりもより「一般向け」に書かれており、本書を読んだ後で落合氏にツイッターで 「先日「これセカ」読了させて頂きました。正直なところ「魔法の世紀」よりも「一般向け」なのかなと。」 と話しかけると、落合氏からなんと返事が返って

本書は2016年2月6日に膵臓がんで89歳で他界された政治評論家である清宮龍氏の政治評論集です。僕が清宮氏のことを知ったのは雑誌や新聞の連載からでしたが、もっと早ければと悔やまれてなりません。 本書を読みながら先日、高須クリニック院長である高須克弥先生とツイッター上で以下のようなやり取りをしたことを思い出しました。僕が 「『戦後70年』という言葉がイマイチピンと来ないとおっしゃる方は、高須先生がこの世に生を受けてから現在に至るまで。と考えると以下に膨大な時間が流れたかを皮膚感覚で理解できるのではなかろうか?　そんなことをふと考えております。」 と高須先生に話しかけると先生からは 「僕は防空壕で生まれました。70年は僕にとって一炊の夢です。夢から覚めたら振り出しから始めます。今度はドジりません。」 というなんとも洒脱なお返事をいただきました。 話題を戻して本書は2016年2月6日に膵臓がんで

本書は2009年から2010年2月号までの雑誌『宝島』において、一番人気の「不動産特集記事」を大幅に拡大、加筆、追加取材をしてまとめ、書籍化したものです。マイホーム取得にまつわる数多くの「ワナ」とは? 本書は僕がかつて、不動産関係の仕事、具体的には物件の打ち込みに始まってWEBマーケティングの基礎をかじっていたなどをしていたときに業界研究のために買い込んでいた本のひとつです。 但し書きに曰く、 「※本書は『宝島』2009年10月号「特集 不動産の怖~い話50」、同2010年1月号「実録 住宅ローンの怖い話」を元に追加取材、大幅な加筆の上、文庫化したものです。」 とのことで、いやはや、すさまじい現実がてんこ盛りで最初読んだときは唖然としたことを今でも覚えております。具体的にはタワーマンションの裏事情だったり、中古住宅の死角についてだったり、『携帯基地局』の電波問題など、一般の住宅情報誌には決