山岡鉄秀のインチキ

主として『朝日新聞』の英語版記事にいちゃもんをつけるというかたちで歴史修正主義運動に関わっている山岡鉄秀が、『Hanada』の6月号で映画『主戦場』への泣き言を言っています。

この映画で紹介されるのはすでに既知の主張ばかりですから山岡の“自称反論”も耳タコなほど聞かされたものなのですが、非常につまらないインチキーそういうインチキをするのも彼らにとっては毎度のことですがーをしているのを発見したので記録しておくことにします。

問題になっているのは「慰安婦」の総数の推定です。映画中にも登場する「20万」という数字について、まずは吉見義明さんが日本軍の兵員数を基準にした算出方法を説明します。約300万人の日本兵に対し「百人に一人」という基準と1/2ないし全体という交代率をあてはめると「まぁ最低で五万くらいかなと」。映画ではここで語り手がユン・ミヒャンさんに交代し、兵隊二九人あたり「慰安婦」一人という基準の存在が語られます。ご存知のとおり、この比率を用いれば約20万人という計算になるわけです。

ところが山岡は映画が「二九人に一人」という基準に言及していることを隠蔽してまるで吉見さんの発言だけが説明に用いられたかのように装い、「質問は二十万人のはずだが、全く答えになっていない」としているのです。ちなみに「二九人に一人」という基準はもちろんユン・ミヒャンさんが勝手に言っているわけではなく、もとをただせば秦郁彦氏が1992年に『正論』に寄稿した記事の中で出てくる数字です。