2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

元陸軍省軍事課予算班員が回想する関特演

昨日のエントリで言及した『陸軍の反省』(加登川幸太郎)の紹介。著者の元陸軍中佐は1940年に陸軍省軍務局軍事課資材班員となり、翌3月に予算班に異動。41年3月当時の陸軍大臣は東條英機、陸軍次官が阿南惟幾、軍務局長は武藤章、参謀総長は杉山元、参謀次…

Fisrt Into Nagasaki、その4

これまでのエントリは以下の通り。 検閲された長崎潜入ルポ、米で刊行 Fisrt Into Nagasaki、ファーストインプレッション First Into Nagasaki、セカンドインプレッション Fisrt Into Nagasaki、その3 先週は仕事が忙しくてあまり読み進んでおらず、ウェラー…

秦郁彦、『現代史の争点』、文春文庫

この本は昨年買って南京事件に関する章だけ読み、エントリでとりあげようと思う論点がなかったのでそれっきりになっているのだが、とあるきっかけで目次を読み直してみて興味深い章を発見した。加登川幸太郎の『陸軍の反省(上)』(文京出版/建帛社)を古…

否定論本、新刊

東中野修道センセイ待望の新刊は『南京「百人斬り競争」の真実』(ワック)。また、冨澤繁信、『「南京事件」発展史』(展転社)も今年1月に刊行だ! 両者をあわせると否定論の今後のアプローチは要するに「南京事件はどんどんはなしが大きくなってる、それ…

Fisrt Into Nagasaki、その3

ひきつづき『ファースト・イントゥ・ナガサキ』について。過去のエントリは次の通り。 検閲された長崎潜入ルポ、米で刊行 Fisrt Into Nagasaki、ファーストインプレッション First Into Nagasaki、セカンドインプレッション ここでジョージ・ウェラー記者の…

産經新聞その他の憶測敗れたり

トラックバックをいただいたDr-Setonさん経由で。サンダンス映画祭の公式サイトにテッド・レオンシス製作の南京事件に関する映画の情報が。原文はDr-Setonさんのところと青狐さんのところで既に紹介されているので、一部をざっと翻訳。 1937年の冬、中国の都…

「張作霖爆殺=ソ連の犯行」説を紹介する櫻井よしこ

『「南京事件」の探究』(北村稔、文春新書)および映画『Nanking』についての櫻井よしこの発言についてはすでに青狐さんが批判しておられるが、今度は「捨身成仁日記」さんが櫻井発言をとりあげておられる。対象となる発言はこちら。 だまされやすい人々 追…

半藤一利の『昭和史探索』

青狐さんのこのエントリに呼応して。ちくま学芸文庫から半藤一利編著、『昭和史探索 一九二六―四五』全6巻が刊行中。現在は第2巻までが発売中で、期間でいえば昭和天皇の即位から国際連盟脱退、滝川事件のあたりまで、ということになる。 このシリーズの特徴…

First Into Nagasaki、セカンドインプレッション

『ファースト・イントゥ・ナガサキ』についてのこのエントリの続き。あれこれとマルチスレッド的にやっているもので読み終わるまで待ってたらはじめの方を忘れてしまいそうで…。先日のエントリで「「惨状を目の当たりにして良心の呵責に苛まれるアメリカ人」…

再追記

「(他の条件が同じなら)大義のない戦争では軍記が弛緩しやすい」というテーゼはいかにももっともらしいし、戦争を批判するときに非常に便利でもあるのだが、これに対する反論を考えるとすると、「どんな戦争であれ、実のところ兵士が命をかけるのは大義で…

追記

“日清、日露戦争の頃に比べて皇軍の軍紀は弛緩してしまった”という認識を持っていた日本人は実は少なくない。多くはそれを「日本人の道義心の低下」として理解しているのであるが、これは「品格」大好きな数学者の年賀状同様の誤謬を犯している可能性がある…

『シベリア出兵』

昨日のエントリでアフガニスタン戦争(ソ連による)と日中戦争、ヴェトナム戦争の類似性について触れたが、失敗した戦争というのはどれもどこかしら似ているというのはある意味で当たり前のことだろう。今回はシベリア出兵について。N・Bさんご推薦の『シベ…

『将軍はなぜ殺されたか』

D_Amonさんのこちらでのコメントより。 (…) 日本人だからこそ日本の戦争犯罪を追及するという立場はああいう人々には理解してもらえないのかなと思います。 過去の日本の戦争犯罪は日本文化特有の陥穽も示していたりすることもあり、事実を事実として認め…

]NHK教育ETV特集、『「アフガン戦争」 米ソ介入・秘められた真実』

以下、放送を見ながら断片的なメモ。 導入部:ロシアでアフガニスタン戦争当時の公文書がすでに公開され、当初派兵が否決されていたことが明らかになった、とのこと。 まずはアフガニスタン戦争までの経緯。タラキ革命評議会議長からコスイギンへの(派兵要…

ちょっとびっくり

昨日の朝日の夕刊には一面に「アテネ米大使館で爆発」という見出しの後にたった一行、「ロイター通信は12日、警察情報としてギリシャのアテネにある米大使館で爆発があったと伝えた」という記事が載っていた。いかにも大急ぎでつっこまれた記事という印象な…

馬鹿に馬鹿と言うのも馬鹿、と言う馬鹿に馬鹿と言うのも馬鹿だが

一つの行動パターンとして興味深いのでメモ。 http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20070110/p2#c1168535346 http://d.hatena.ne.jp/jyl2142/20070109#c1168443594 http://d.hatena.ne.jp/jyl2142/20070110#c http://d.hatena.ne.jp/jyl2142/20070111#c における「…

Fisrt Into Nagasaki、ファーストインプレッション

このエントリで紹介したFirst into Nagasaki: The Censored Eyewitness Dispatches on Post-Atomic Japan and Its Prisoners of War がAmazon.co.jpから到着(N・Bさんへ:Lakoffの本も3冊買いました。いずれ本館の方で)。まだ目次に目を通して冒頭部分を読…

あえてそのたとえにのっかるなら…

すげえくだらないたとえなんだけど。 要するに整理すると、あなたは『事実』という関東軍の資料を『おまんじゅう』にたとえるなら、『おまんじゅう』をそのまま『おまんじゅう』と食べるのではなく、関東軍は悪逆非道であったというもともとのあなた達の歴史…

なに一つ「事実」を提示せずに「事実について語れ」と主張するひと

「関東軍」といえば記憶に新しいのが、自民党の中川秀直幹事長が自身の公式サイトで「日銀が「平成の関東軍」などといわれることのないことを期待する」と題する一文を発表したというはなしで、まあそれくらい「関東軍=独りよがりな暴走で国家に重大な危機…

「関東軍が未払い明文化」報道について

このエントリの続き。朝日の報道への反応(例えばこことかこことかこことか)を見ていると「そういえば朝日の報道も、事情を知らない人にとっては不親切といえば不親切かも」とも思ったので、昨日のエントリへの追記部分を敷衍しておく。 まず1月8日の朝日の…

8日付エントリへの補記

このエントリのコメント欄ですが、みなさんがマジレスを肩代わりしてくださってるのに甘えてばかりというのもなんなのでフォローアップエントリをば。 南京事件について私から反応を引き出したいんだったら、次のどっちかが出発点ですよ。 戊辰戦争において…

腹の皮がよじれる

# aki-fam 『というか、議論というのは、言い争いですよね。僕が言ったことを、あなたが信じるわけないし、僕もあなたの言う事は、信じない。俺はかつての日本人を信じる。』 (2007/01/08 22:18) # FireBird 『正しい歴史は よく調べてみれば 皆さんにも き…

関東軍の極秘文書発見

asahi.com 2007年01月08日06時00分 旧満州・中国人捕虜強制労働、関東軍が賃金不払い明文化 日中戦争で捕虜になった中国人兵士らを旧満州国(中国東北部)に連行し、建設現場で「特種工人」として働かせるため、旧日本軍が1943年に作成した極秘の取扱規…

日本人が「虐殺」なんてするはずない、だって?

南京事件否定論の中でももっとも愚劣で、目にするたびにヘドが出そうな思いがするのは“そんな残虐行為は日本の文化にはない、そういう殺し方は中国人に特徴的なものだ”というタイプのものである(もちろん、実際にはレイシズム丸出しのもっと下品な表現が使…

吉田裕による『餓死した英霊たち』評

すでに青狐さんが紹介しておられるように、2月号の『論座』で吉田裕が藤原彰の『餓死した英霊たち』(青木書店)の書評を書いている(320-321頁)。2001年に刊行された本の書評がいまなぜ? かといえば「書棚の奥から」という新刊書を対象としない書評欄だか…

『シベリア出征日記』

N・Bさんからの情報提供により、先日古書店で入手した『シベリア出征日記』(風媒社*1)はなかなか資料価値がありそうなことがわかったので、ご紹介する。 『スラブ研究』誌に掲載されたシベリア出兵研究の論文を読むことができる。 http://src-h.slav.hokud…

「アウシュヴィッツ証言者はなぜ自殺したか」

明日、1月6日午後21時〜23時、「ヒストリーチャンネル」にて放送。2003年にNHKで放映されたもの。 ユダヤ人作家、レーヴィは、ユダヤ人狩りにあい、アウシュビッツに収容された。ガス室送りを免れた彼は、1年間に及ぶ強制労働を経験し、1945年ソ連軍に…

まん延する「悪魔の証明」脳?

「悪魔の証明」論法(「○○がない、という主張は証明不可能であり、それゆえ○○があると主張する側が論証の責任を負うべきである」とする論法)が安易に使われていること、実際には「○○がない」という主張をちゃんと論証できるケースが多々あること、について…

ニュルンベルク・東京からバグダッドへの道

昨日大掃除をしていたら、5月10日付けの新聞が出てきた。ブログでとりあげようと思って捨てずにとっておいたものの、それっきりになっていたものである。「歴史と向き合う アントニオ・カッセーゼ氏(旧ユーゴ戦犯法廷元所長)に聞く 東京裁判の遺産は何です…