2025-11-20

便座ミステリー

職場トイレの個室の便座は、私が座ろうとするとだいたいいつも少し右を向いている。まっすぐ正面を向いていない。高頻度で曲がっているので、多くの人がちょっと右向きに腰掛けているようだ。

本来トイレの便座は首振り方向にはあまり遊びがない構造のはずだが、みんなが強引に右向き体勢で腰掛けものから、どの個室の便座もぐらぐらになってしまっている。この状況が続けばいずれヒンジ部が破損してしまうだろう。便座の耐久性への深刻な懸念が生じていると言える。

それにしても、なぜここのトイレ利用者はみな「ちょっと右向きに」座ってしまうのだろう。ちなみにどの個室のウォシュレットも正確に便器センターに設置されているため、原因ではなさそうだ。

便器の周囲を注意深く観察したら謎が解けた。タイルの目地である

トイレの床には1辺30cmほどの正方形タイルが敷き詰められていて、碁盤目状の目地が地図の緯線経線のように床を走っているのだが、そのうちの一本が問題だった。

経線(タテ線)の一本がたまたま便器中央近くを通過しているのだが、完全に中央とは一致しておらず、1~2cm右にズレているのだ。一見便器中央を通っているようで実は微妙センターを外れている。

おそらく利用者の多くはこのずれた目地を無意識便器正中線と誤認してしまい、それを目印に無意識に真ん中に座ろうとして、便座が右にねじ曲がってしまったのだろう。

目地が便器中央近くを通っているのは施工上の偶然でしかなかったはずだが、それがあまりにも中央に近すぎたため、多くの人がセンターラインと誤認したのだろうと思う。

これが5cm以上中央からズレていたりタイルサイズもっと小さかったりすればセンターラインではないことが明確になるので、利用者はこれを無視しただろう。

便器に的(まと)のようなステッカーを貼るとみんながそれを狙って小便するので撥ねこぼしが減る、という行動心理学アイデアがかつて話題になったことがある。今回の件は、タイルの目地が意図せず便器ねじ曲げる行動をとらせてしまったわけで、内装施工上のアンチパターンとして教訓とされるべきではないだろうか。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん