ペンギンの雑学集大成「ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ」

仕事用の本読みすぎてイヤになって、なんか普通の本読みたいなあ、とフラフラしながら本屋に入ったら入口のとこに積まれてて、あっこれでいいかあ…と適当に手にとって帰ってきた。
たまにそんな日もある。
ペンギンに絡む歴史の本、歴史ジャンルの中のペンギンである。

ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ - 上田一生
ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ - 上田一生

歴史ってなんだよ、という話だが、日本絡みのところでいくと、たとえば、日本人がペンギンという存在を知ったのはいつなのか、とか。カタカナ表記が”ペンギン”になったのはいつからなのか、とか。実物のペンギンの剥製が最初に日本に入ってきたのはいつなのか。
豊臣と徳川の世の切り替わりのあたりに起きた歴史事件についての解説とペンギンの関わりの部分は読み応えがあるので、増補版で入れたのは正解だと思う。
三浦按針がここで絡んでくるのは知らなかったので、ほーなるほどなあと思った。

日本以外のところでは、西洋人がいつペンギンと出会い、いつから歴史に出てくるようになったのか、だ。
ケープペンギンや、南米のはしっこパタゴニアに住むペンギンなどは、先住民が既に知っていたので、人類との出会いの歴史は長いのだが、知られるようになったのは世界周航の時代になって、文書記録として出回りだしてからである。

中の人はパタゴニアのペンギンを見にいってクルーズ船に乗ったことがあるのだが、正直、居すぎてちょっとキモかった(笑) あれが先住民の食料となり、衣料となっていたとすれば、ああなるほど極地でも生きていけるわけだな…という感じ。

そしてペンギンって、脂がのってるので、そのままでもよく燃えるらしい。燃料として使える。
クジラやトドなどと同じく、脂絞りに使われていた時代もあるとは、この本を読むまで知らなかった。たしかにサイズは小さいけど、捕まえるのはとても簡単だから、効率的にやれば商売になるくらいの脂は集まるのか…。
今の動物園のアイドルなイメージからはだいぶかけ離れている。

あとペンギンが気候変動などの影響で減ったとか、重油の流出事故に巻き込まれた時の救出の話とか、日本人はペンギン好きと言われるがペンギン研究者が少ないとか、いろんな話題が詰め込まれている。

「北のペンギン」としてオオウミガラスの話も入っていて、絶滅に至る経緯は他の本でも読んでたけど、ちょっとつまされるものがあった。

読みやすいので、ちょっと脳が疲れて娯楽な読み物が必要な時にはオススメ。
え? 普通は脳が疲れたら本読まない? そんなのは書痴だけ? まあそうかもしれない。