アイカツ!・第1話『私がアイドルになっても?』感想
この番組が始まった当初、一応BDレコーダーに録画していたものの、観ようかどうか悩んでいました。
そして、レコーダーのHDD残量が少なくなった頃(第2~3話)、たまたま体調を崩した事をキッカケに、一度観てみると、すぐにハマりました。
以降、毎週妹と一緒に楽しく視聴し、今では一緒にデータカードダスのゲームまでしています。
物語は現在、31話まで放送中。(※全50話予定。)
残り19話と言う場面で、普段なら感想は書かないのですが、どうしても感想を書きたくなったので、書いてみる事にしました。
では早速、第1話の感想を駆け足で――。
お得意さんの顔になぞらえて、『ハイパー・メガ・ハンバーグ弁当』(※通称・メガハン)の盛り付けをするいちご。
ご飯を目算で2合程よそった後、巨大なハンバーグを乗せ、野菜等で顔を作って完成!
しかも、ハンバーグも、既製品を温めた品では無く、手作りです。
31話で、りんごさんが『キンピラごぼう』の仕込みをしていましたが、それも手作りでした。
お弁当のおかずが、全て手作りのお弁当屋さん。これだけで、この店が他の弁当屋チェーンとは一線を画している事が窺えます。
昔、弁当チェーン店でアルバイトをしていた事がありますが、その店舗は、既製品(下拵え済み)を加工するだけの店で、お客さんの細やかな要望に応える事が出来ませんでした。
焼肉弁当を注文したお年寄りが、「辛いのが苦手なので、甘めにお願いします。」と注文したのですが、「ソースが決まっているので無理です。」と、店主が無下に断っていました。
その姿を見ながら、「砂糖と醤油と生姜で味付けすれば、良いのに。」と、苦々しい気持ちになった事を思い出しました。
でも、りんごさんの店なら、それぞれの客の好みに応じたメニューを作ってくれそうです。
そんな店が近所にあったら、度々利用するのになぁ…。
弟・らいちと一緒に母・りんごさんの仕事を手伝っているいちご。その姿は、孝行娘そのものです。
いつもの様に家の手伝いをしていると、りんごさんから「将来の夢は?」と訊かれました。
「大人になっても、一緒にお弁当屋さんするのが夢かな?」
娘の言葉を聞き、りんごさんは、嬉しそうに微笑みました。
そして、弟・らいちと一緒の子供部屋に戻り、「ただいま!」と、らいちに声を掛けたいちご。
瞬間、らいちは慌てて、さっきまで見ていたモノを、身体で必死に隠しました。
彼が中高生なら、隠している品は一つに限られていますが、彼はまだ小学生。
さて、何を隠していたのでしょうか?
「お姉ちゃん、お店手伝ってたんじゃないの?」
姉の視線から『お宝』を守る為に、必死に身体を動かすらいち。それを何とか覗こうとする、いちご。
そして、一瞬の隙を突き、いちごが飛び出した瞬間、慌ててコップに入っていたジュースを溢してしまったらいち。
瞬く間に台無しになる、らいちの『お宝』。その正体は、トップアイドル・神崎美月の切り抜きグラビアでした。
「これって、神崎美月?」「良いでしょ?別に…。」「いいけど、好きなの?」「良いでしょ、別に…。」
「いいけど、溢しちゃったのに…?」「いいでしょ!別に…!」
「良いの…?」「良くなーい!!」
頭を抱え、落ち込むらいち。しかし、「アイドル好きなんだ?」と姉に訊かれた途端、「ただのアイドルじゃないよ!トップアイドルだよ!」と、熱心に語るらいち。
本当は、ライブにも行きたい。でも、チケットが…。
落ち込む弟の姿を見て、「何とかならないか、明日、訊いて見るよ!」と笑顔で語るいちご。
そして翌日。早速いちごは、親友のアイドル博士・霧矢あおいに、事の顛末を話しました。
「穏やかじゃないわね。いちごから、アイドルの話が出るなんて。」
――出た!あおいの名台詞にして口癖・『穏やかじゃないわね』。
今改めて観ると、初登場時の台詞が、これだった事に気付きました。
まさか、この言葉には色んなバージョンがあるなんて、この頃は想像だにしませんでした。
いちごから話を訊いたあおいは、いちごの相談に、二つ返事。
らいちの悩みを解決すべく、早速、放課後にいちごの家に遊びに行きました。
「これ!神崎美月ちゃんの切り抜き!私の布教用のコレクションを、少しあげるわ。あと、ポスターも!」
あおいが進呈した切り抜きは、らいちが集めていたモノとは違い、資料と呼ぶに相応しいモノでした。
思い掛けない『お宝』が手に入り、らいちは大喜びしました。
「あのね。らいち、神崎美月のライブに行きたいんだって。ライブなら、TVでも観られると思うんだけど…。」
いちごが呟いた途端、「いやいやいや!」と同時にツッコむ、あおいとらいち。
「ライブは、生じゃないと!」と語るらいちの意見を、「弟君の言う通り!」と肯定するあおい。
「ですよね?姐さん。」(※6話で、実家でサイン会が開催された際、『あおい姐さん』と書いていた。)
「君の姉さんは、いちご!」「クール!」
貴重なコレクションを分けて貰った事で、あおいに、懐いたらいち。
そのクールな物言いに、一瞬でファンになった様子。
美月のチケットはプレミア化している様で、既に入手困難。
ガッカリしているらいちに、あおいは、「耳寄りな情報」を提供しました。
「うええええ!?ライブ、観れるの――!!」
自身が熱烈な美月ファンであるあおいは、チケットを入手出来る伝手を色々と探し、何とかチケットを入手する事に成功しました。
「パパの従兄弟の娘のハトコの知り合いが、同窓会で数十年振りに再会した人の、息子が昔入っていた野球チームのマネージャーのママの弟が、旅行先のコートジボワールで擦れ違ったフランス人旅行者を、日本に来た時に面倒見た、浅草に住んでいるおばあちゃんの姪っ子のパパが、放送局で働いていてね!」
「神崎美月のチケットを貰える事になった!それも、タダで3枚!!」
「ええ~!?本当っ!!」
興奮するらいち。
「と言う事で、一緒に行きましょう!美月様のライブへ!!」
「「おおー!!」」
拳を振り上げ、ライブへ向けて気合を入れる、3人。
『アイカツ!』の番宣で、あおいが拳を振り上げていたのは、このシーンだったんだ!と、今更ながらに感動しました。
その夜。二段ベッドで眠りに就く直前の、いちごとらいち。
しかし、らいちは、壁に張ったあおいに貰った美月のポスターの目の前で正座し、大興奮。
服装こそパジャマなものの、リュックを背負い、臨戦態勢です。
興奮している弟を宥め、寝かしつけたいちご。
「アイドルって、眠れなくなっちゃう程、スゴイのかな…?」
眠りに就く直前、ふと、アイドルについて想いを馳せたいちご。
いちごの人生を変える出会いが、待ち構えていた事を、この時の彼女はまだ、知る由もありませんでした。
翌日。ライブ会場前のいちご・あおい・らいち。
後日、アイドルとして活躍するいちごとあおいですが、この時点の服装はまだ、アイドルとは程遠い、『普通の中学生』の服装です。
入場前にチケットの半券と共に、何やらアンテナっぽい機器を手渡され、不思議に思うらいち。
あおいによると、それは、観客の興奮度を測る為の機器の様です。
普通のライブとは違う、不思議な仕組みの神崎美月のライブ。
さて、一体、どんな内容なのでしょうか?
開閉式のドーム会場は、既に観客で一杯。その様子に興奮したらいちは、いちごの手を引っ張って、客席に向かいました。
そして、上空には、美月のイメージロゴが浮かび、遂に、ライブ開始です。
この時点で、この作品の科学力が、現代より遥かに進んでいる事が推測出来ます。
いちご達が観客席に到着した瞬間、ステージ上に美月が颯爽と登場。
同時に、遥か頭上には、美月の顔のパネルとパラメーターが浮かびました。
『Move on now!』
神崎美月の代表曲の一つで始まったライブは、早くも最高潮。
その華麗な歌と舞いに、観客は大興奮です。
このライブシーンはCGなのですが、当時はまだ、ショボいCGでした。
また、歌のパートも、今に比べると、まだまだ未熟な感じがしました。
当時、「ああ。この作品は、ライブパートは諦めなきゃいけないのかな…?」と、少し諦め気味で観ていた事を、今も覚えています。
しかし、歌は、回を重ねる毎に上達を続け、CGも9話を境に向上し続けました。
今では、どちらも、安心して観られるレベルに達し、物語に没入する大切な要因になっています。
『神崎美月…。神崎…美月!!』
アイドルの事に詳しくなかったいちごは、一瞬にして、その圧倒的な存在感とパフォーマンスに魅了されました。
そして、ライブの華・スペシャルアピールを目の当たりにし、いちごは、放心状態に陥りながら帰宅しました。
そう言えば、このシーンを見た瞬間に、いちごはアイドルを目指す事になるのですが、このライブを、26話から登場するいちごの後輩・北大路さくらもまた、この場面を同時に観ていたのでしょうか?
(※さくらがアイドルを志したのも、いちごと同じ理由。)
もしかしたら、お互い知らない間に、会場の何処かで擦れ違っていたのかも知れません。
帰宅し、ライブの凄さを興奮気味に、母・りんごさんに報告するらいち。
しかし、いちごは放心しながらソファーに座り、「何だか、良く覚えていない…。」と呟きました。
折角のライブだったのに、ボーっとしている姉の姿を見て、呆れるらいち。
しかし、いちごは、余りの衝撃に放心状態になっていただけでした。
『だって、あんなの初めてだったんだもん…!何が何だか、良く解んないけど…。私きっと、今日は眠れない…!』
ライブの興奮が身体を渦巻いて、眠りに就けない、いちご。
そして翌日。いちごは、らいちと一緒に美月のライブビデオを観ていました。
「あら?二人揃って何?アイドル?」
「一緒に行ったのに、お買い物。」
買い物から帰って来たりんごさんを出迎え、荷物を受け取ったいちご。
その直後、あおいが訪ねて来て、いちごに『耳寄り情報』を提供しました。
「いちごは、この学校、知らないわよね?」
あおいがいちごに見せたのは、『スターライト学園』のパンフレット。
アイドルの事を良く知らない彼女に、あおいとらいちは、スターライト学園の事を詳しく語りました。
「芸能人は、カードが命!世の中のアイドルは全員、『アイカツカード』を使って、衣装やステージを、セルフプロデュースしているの。」
「そのレッスンをしながら、アイドル活動、即ち・アイカツを行うのが、スターライト学園。」
「美月様も、生徒なんだよ。」
そう言って、らいちがパンフレットを捲ると、生徒代表として美月と3人の生徒がクローズアップされていました。
「で、耳寄りな情報は此処から。実は、スターライト学園の編入試験が行われる事になったの!」
この編入試験を受験する事を決意した、あおい。
その言葉を聞き、「学校、別になっちゃうんだ…。」と落ち込むいちご。しかしその直後、予想外の言葉が。
「ううん。いちごも一緒に受けるの!」
「私、解るの!いちごは、アイドルの匂いがする!」
この『アイドルの匂い』と言うのは、アイドルが発するオーラの事を指しています。
後にらいちも、『アイドルの匂い』に気付く能力を発し、羨ましくも怪しからん体験をする事になります。
「ええっ!?いきなり、そんなっ!」
「楽しそうだと思わない?美月ちゃんみたいなアイドルになれたら。」
突然のあおいの提案に戸惑っていたものの、ステージで輝く美月の姿を思い出し、首肯するいちご。
「持ち替えるのよ!おしゃもじをマイクに!!」
いちごの手を取り、気合充分のあおい。まだ戸惑いを隠せない、いちご。
その夜。らいちが貰った美月の切り抜きを見ながら、アイドルへの憧れと母との約束で、いちごの心は揺れ動いていました。
其処に、夕飯時にぼんやりしていた娘の異変に気付いたりんごさんが登場。
いちごの見ていた切り抜きを覗き込み、「神崎美月、良い顔してるじゃない。」と、美月を褒めました。
そして――。
「持ち替えなさい。おしゃもじをマイクに!」
りんごさんに背中を押され、翌日から、いちごとあおいの『アイドル特訓』が始まりました。
神社の境内までの長い階段を駆け上ったり、音楽に合わせてダンスの練習をしたり。
カラオケで歌の特訓を繰り返したりしながら、2人は特訓に励みました。
日々の練習に疲れて、ソファーで寝てしまった娘に、そっとシーツを掛けるりんごさん。
夢に向かって直走るいちごの姿を見て、嬉しそうに微笑みました。
そして、スターライト学園・編入試験当日。
会場には、いちごとあおいを始め、各地から多数のアイドル志願者が、続々と到着。
志願者は、約1000人。もしかしたら、1人も合格しないかも知れない、狭き門です。
立て板に水が流れるかの様に、志望動機を語る受験者。その様子を目の当たりにして、いちごは少し、自信を無くしていました。
しかし、「あなたには、アイドルの匂いがする!」と励ますあおいと一緒に、いちごは『ライブオーディション』に挑戦しました。
オーディション会場入口に設置された机。その上には、多数のアイカツカード。
審査員の指示に従い、いちごは、その中から3枚選び、セルフプロデュース完了。
いちごが扉を開くと、目の前には『アイカツシステム』を司る機器が。
予め選んだ3枚のカードをセットし、光に包まれながらゲートを駆け抜けるいちご。
こうして、最終審査・『入学オーディション』が始まりました。
選んだアイカツカードが、いちごのステージ衣装に変化し、初めてライブステージに立った、いちご。
『一体、どんな仕組みでカードが衣装になるのか?』と言う疑問を持たない事から、この技術は、いちごが生きている時代では一般的な技術だと窺う事が出来ます。
今の科学技術では、到底不可能なこの技術。どうやら、作中では、少なくとも20年前には確立している様です。
(※31話で、レジェンドアイドル・『マスカレード』が活躍していた頃には、既に使用されていた事が判明。)
僕達が、この技術の恩恵に与るには、一体、どれだけの技術革新を重ねる必要があるのでしょうか?
「なかなかのコーデね。」
トップアイドル・神崎美月の隣でステージを見学していたのは、学園長・光石織姫さん。
レジェンドアイドル・マスカレードの一人・『ヒメ』その人です。
『これが、アイカツステージ…!』
多くの学園の生徒と、ネットを介してスターライト学園のアイドルのファンが見守る中、いちごのファーストステージが、幕を開けました。
曲名は、『アイドル活動!』。作中で頻繁に流れる、定番曲です。
練習の甲斐があり、華麗なダンスと歌声を披露するいちご。
そして、何時の間にか、いちごの身体から花弁の様なオーラが発せられました。
『楽しい!此処に居たい!!ずっと!!!』
いちごの心の中で、ステージに対する興奮が最高潮に達した瞬間、いちごは『スペシャルアピール』の一つ・キュートフラッシュを、無意識に放っていました。
「入試でスペシャルアピールを出すなんて、余程、レッスンしたのかしら?」
「星宮いちご。」
学園のトップアイドルが気に掛けた生徒の名を、そっと教える学園長。
今を思えば、学園長はいちごの姿に、かつてのパートナー・『ミヤ』を重ねていたのでしょうか?
『面白くなって来た!早く、私の所まで、登って来て!』
入試でスペシャルアピールを出すと言う、滅多に無い事をやってのけたいちごに、何かしらの可能性を見出した美月。
いちごがアイドルとして、自分と肩を並べる迄に成長する事を、心から望んでいる様です。
編入試験の結果は、いちごとあおい他8名・合計10名が合格を果たしました。
お互いの合格を確認し、抱き合って喜びを分かち合う2人。
その周囲には、落選し、肩を落とす受験者達が。
どうやら、残り8名の合格者は、周囲には居ない様です。
『こうして、私とあおいのアイドル活動・アイカツが、幕を開けた!』
その直後、いちごとあおいの様子を窺う、謎の女生徒の影が。
しかし、2人は、その視線に気付きませんでした。
「やれやれ…。仲良しで居られるのも、今の内だよ。」
何かを悟っているのか、或いは諦めているのか?
いちご達の喜ぶ姿を見ながら呟き、静かに立ち去る女生徒。
『美しき刃』と呼ばれる1年生・紫吹蘭。
この後、いちごとあおいの親友になる事を、今はまだ、知る由もありません。
こうして、いちごとあおいの『アイカツ』は、始まりました。
2人を中心に、今後、どんな展開になるのでしょうか?
※当初は、簡単に書くつもりが、何時の間にか『普段通り』の感想の長さに。自分でも驚きです。
でも、このペースでは到底追い付かないので、次回はきっと、短い感想になると思います。
たとえ短い感想でも、メリハリをつけたモノが書ければ良いなぁ、と思っています。
そして、レコーダーのHDD残量が少なくなった頃(第2~3話)、たまたま体調を崩した事をキッカケに、一度観てみると、すぐにハマりました。
以降、毎週妹と一緒に楽しく視聴し、今では一緒にデータカードダスのゲームまでしています。
物語は現在、31話まで放送中。(※全50話予定。)
残り19話と言う場面で、普段なら感想は書かないのですが、どうしても感想を書きたくなったので、書いてみる事にしました。
では早速、第1話の感想を駆け足で――。
母・星宮りんごさんの経営するお弁当屋の手伝いに励む、孝行娘・星宮いちご。
ごく普通の中学1年生だった彼女に、突然、転機が訪れました。
小学生の弟・らいちが大切にしていた、トップアイドル・神崎美月の切り抜き写真を過って台無しにしてしまった事をキッカケに、親友のアイドル博士・霧矢あおいに、美月の情報を訊いたいちご。
そして、あおいが偶然入手した美月のコンサートチケットで、らいちと一緒に3人でコンサートに出掛けたいちごは、その眩いステージに魅了されました。
そして後日、いちごはあおいの誘いで、アイドル養成学校『スターライト学園』の編入試験に臨みました。
2人の試験の結末は――?
お得意さんの顔になぞらえて、『ハイパー・メガ・ハンバーグ弁当』(※通称・メガハン)の盛り付けをするいちご。
ご飯を目算で2合程よそった後、巨大なハンバーグを乗せ、野菜等で顔を作って完成!
しかも、ハンバーグも、既製品を温めた品では無く、手作りです。
31話で、りんごさんが『キンピラごぼう』の仕込みをしていましたが、それも手作りでした。
お弁当のおかずが、全て手作りのお弁当屋さん。これだけで、この店が他の弁当屋チェーンとは一線を画している事が窺えます。
昔、弁当チェーン店でアルバイトをしていた事がありますが、その店舗は、既製品(下拵え済み)を加工するだけの店で、お客さんの細やかな要望に応える事が出来ませんでした。
焼肉弁当を注文したお年寄りが、「辛いのが苦手なので、甘めにお願いします。」と注文したのですが、「ソースが決まっているので無理です。」と、店主が無下に断っていました。
その姿を見ながら、「砂糖と醤油と生姜で味付けすれば、良いのに。」と、苦々しい気持ちになった事を思い出しました。
でも、りんごさんの店なら、それぞれの客の好みに応じたメニューを作ってくれそうです。
そんな店が近所にあったら、度々利用するのになぁ…。
弟・らいちと一緒に母・りんごさんの仕事を手伝っているいちご。その姿は、孝行娘そのものです。
いつもの様に家の手伝いをしていると、りんごさんから「将来の夢は?」と訊かれました。
「大人になっても、一緒にお弁当屋さんするのが夢かな?」
娘の言葉を聞き、りんごさんは、嬉しそうに微笑みました。
そして、弟・らいちと一緒の子供部屋に戻り、「ただいま!」と、らいちに声を掛けたいちご。
瞬間、らいちは慌てて、さっきまで見ていたモノを、身体で必死に隠しました。
彼が中高生なら、隠している品は一つに限られていますが、彼はまだ小学生。
さて、何を隠していたのでしょうか?
「お姉ちゃん、お店手伝ってたんじゃないの?」
姉の視線から『お宝』を守る為に、必死に身体を動かすらいち。それを何とか覗こうとする、いちご。
そして、一瞬の隙を突き、いちごが飛び出した瞬間、慌ててコップに入っていたジュースを溢してしまったらいち。
瞬く間に台無しになる、らいちの『お宝』。その正体は、トップアイドル・神崎美月の切り抜きグラビアでした。
「これって、神崎美月?」「良いでしょ?別に…。」「いいけど、好きなの?」「良いでしょ、別に…。」
「いいけど、溢しちゃったのに…?」「いいでしょ!別に…!」
「良いの…?」「良くなーい!!」
頭を抱え、落ち込むらいち。しかし、「アイドル好きなんだ?」と姉に訊かれた途端、「ただのアイドルじゃないよ!トップアイドルだよ!」と、熱心に語るらいち。
本当は、ライブにも行きたい。でも、チケットが…。
落ち込む弟の姿を見て、「何とかならないか、明日、訊いて見るよ!」と笑顔で語るいちご。
そして翌日。早速いちごは、親友のアイドル博士・霧矢あおいに、事の顛末を話しました。
「穏やかじゃないわね。いちごから、アイドルの話が出るなんて。」
――出た!あおいの名台詞にして口癖・『穏やかじゃないわね』。
今改めて観ると、初登場時の台詞が、これだった事に気付きました。
まさか、この言葉には色んなバージョンがあるなんて、この頃は想像だにしませんでした。
いちごから話を訊いたあおいは、いちごの相談に、二つ返事。
らいちの悩みを解決すべく、早速、放課後にいちごの家に遊びに行きました。
「これ!神崎美月ちゃんの切り抜き!私の布教用のコレクションを、少しあげるわ。あと、ポスターも!」
あおいが進呈した切り抜きは、らいちが集めていたモノとは違い、資料と呼ぶに相応しいモノでした。
思い掛けない『お宝』が手に入り、らいちは大喜びしました。
「あのね。らいち、神崎美月のライブに行きたいんだって。ライブなら、TVでも観られると思うんだけど…。」
いちごが呟いた途端、「いやいやいや!」と同時にツッコむ、あおいとらいち。
「ライブは、生じゃないと!」と語るらいちの意見を、「弟君の言う通り!」と肯定するあおい。
「ですよね?姐さん。」(※6話で、実家でサイン会が開催された際、『あおい姐さん』と書いていた。)
「君の姉さんは、いちご!」「クール!」
貴重なコレクションを分けて貰った事で、あおいに、懐いたらいち。
そのクールな物言いに、一瞬でファンになった様子。
美月のチケットはプレミア化している様で、既に入手困難。
ガッカリしているらいちに、あおいは、「耳寄りな情報」を提供しました。
「うええええ!?ライブ、観れるの――!!」
自身が熱烈な美月ファンであるあおいは、チケットを入手出来る伝手を色々と探し、何とかチケットを入手する事に成功しました。
「パパの従兄弟の娘のハトコの知り合いが、同窓会で数十年振りに再会した人の、息子が昔入っていた野球チームのマネージャーのママの弟が、旅行先のコートジボワールで擦れ違ったフランス人旅行者を、日本に来た時に面倒見た、浅草に住んでいるおばあちゃんの姪っ子のパパが、放送局で働いていてね!」
「神崎美月のチケットを貰える事になった!それも、タダで3枚!!」
「ええ~!?本当っ!!」
興奮するらいち。
「と言う事で、一緒に行きましょう!美月様のライブへ!!」
「「おおー!!」」
拳を振り上げ、ライブへ向けて気合を入れる、3人。
『アイカツ!』の番宣で、あおいが拳を振り上げていたのは、このシーンだったんだ!と、今更ながらに感動しました。
その夜。二段ベッドで眠りに就く直前の、いちごとらいち。
しかし、らいちは、壁に張ったあおいに貰った美月のポスターの目の前で正座し、大興奮。
服装こそパジャマなものの、リュックを背負い、臨戦態勢です。
興奮している弟を宥め、寝かしつけたいちご。
「アイドルって、眠れなくなっちゃう程、スゴイのかな…?」
眠りに就く直前、ふと、アイドルについて想いを馳せたいちご。
いちごの人生を変える出会いが、待ち構えていた事を、この時の彼女はまだ、知る由もありませんでした。
翌日。ライブ会場前のいちご・あおい・らいち。
後日、アイドルとして活躍するいちごとあおいですが、この時点の服装はまだ、アイドルとは程遠い、『普通の中学生』の服装です。
入場前にチケットの半券と共に、何やらアンテナっぽい機器を手渡され、不思議に思うらいち。
あおいによると、それは、観客の興奮度を測る為の機器の様です。
普通のライブとは違う、不思議な仕組みの神崎美月のライブ。
さて、一体、どんな内容なのでしょうか?
開閉式のドーム会場は、既に観客で一杯。その様子に興奮したらいちは、いちごの手を引っ張って、客席に向かいました。
そして、上空には、美月のイメージロゴが浮かび、遂に、ライブ開始です。
この時点で、この作品の科学力が、現代より遥かに進んでいる事が推測出来ます。
いちご達が観客席に到着した瞬間、ステージ上に美月が颯爽と登場。
同時に、遥か頭上には、美月の顔のパネルとパラメーターが浮かびました。
『Move on now!』
神崎美月の代表曲の一つで始まったライブは、早くも最高潮。
その華麗な歌と舞いに、観客は大興奮です。
このライブシーンはCGなのですが、当時はまだ、ショボいCGでした。
また、歌のパートも、今に比べると、まだまだ未熟な感じがしました。
当時、「ああ。この作品は、ライブパートは諦めなきゃいけないのかな…?」と、少し諦め気味で観ていた事を、今も覚えています。
しかし、歌は、回を重ねる毎に上達を続け、CGも9話を境に向上し続けました。
今では、どちらも、安心して観られるレベルに達し、物語に没入する大切な要因になっています。
『神崎美月…。神崎…美月!!』
アイドルの事に詳しくなかったいちごは、一瞬にして、その圧倒的な存在感とパフォーマンスに魅了されました。
そして、ライブの華・スペシャルアピールを目の当たりにし、いちごは、放心状態に陥りながら帰宅しました。
そう言えば、このシーンを見た瞬間に、いちごはアイドルを目指す事になるのですが、このライブを、26話から登場するいちごの後輩・北大路さくらもまた、この場面を同時に観ていたのでしょうか?
(※さくらがアイドルを志したのも、いちごと同じ理由。)
もしかしたら、お互い知らない間に、会場の何処かで擦れ違っていたのかも知れません。
帰宅し、ライブの凄さを興奮気味に、母・りんごさんに報告するらいち。
しかし、いちごは放心しながらソファーに座り、「何だか、良く覚えていない…。」と呟きました。
折角のライブだったのに、ボーっとしている姉の姿を見て、呆れるらいち。
しかし、いちごは、余りの衝撃に放心状態になっていただけでした。
『だって、あんなの初めてだったんだもん…!何が何だか、良く解んないけど…。私きっと、今日は眠れない…!』
ライブの興奮が身体を渦巻いて、眠りに就けない、いちご。
そして翌日。いちごは、らいちと一緒に美月のライブビデオを観ていました。
「あら?二人揃って何?アイドル?」
「一緒に行ったのに、お買い物。」
買い物から帰って来たりんごさんを出迎え、荷物を受け取ったいちご。
その直後、あおいが訪ねて来て、いちごに『耳寄り情報』を提供しました。
「いちごは、この学校、知らないわよね?」
あおいがいちごに見せたのは、『スターライト学園』のパンフレット。
アイドルの事を良く知らない彼女に、あおいとらいちは、スターライト学園の事を詳しく語りました。
【スターライト学園】
日本一のアイドル学校で、生徒は、全員が現役アイドル。
毎日、『アイカツシステム』のレッスンに勤しんでいる。
「芸能人は、カードが命!世の中のアイドルは全員、『アイカツカード』を使って、衣装やステージを、セルフプロデュースしているの。」
「そのレッスンをしながら、アイドル活動、即ち・アイカツを行うのが、スターライト学園。」
「美月様も、生徒なんだよ。」
そう言って、らいちがパンフレットを捲ると、生徒代表として美月と3人の生徒がクローズアップされていました。
「で、耳寄りな情報は此処から。実は、スターライト学園の編入試験が行われる事になったの!」
この編入試験を受験する事を決意した、あおい。
その言葉を聞き、「学校、別になっちゃうんだ…。」と落ち込むいちご。しかしその直後、予想外の言葉が。
「ううん。いちごも一緒に受けるの!」
「私、解るの!いちごは、アイドルの匂いがする!」
この『アイドルの匂い』と言うのは、アイドルが発するオーラの事を指しています。
後にらいちも、『アイドルの匂い』に気付く能力を発し、羨ましくも怪しからん体験をする事になります。
「ええっ!?いきなり、そんなっ!」
「楽しそうだと思わない?美月ちゃんみたいなアイドルになれたら。」
突然のあおいの提案に戸惑っていたものの、ステージで輝く美月の姿を思い出し、首肯するいちご。
「持ち替えるのよ!おしゃもじをマイクに!!」
いちごの手を取り、気合充分のあおい。まだ戸惑いを隠せない、いちご。
その夜。らいちが貰った美月の切り抜きを見ながら、アイドルへの憧れと母との約束で、いちごの心は揺れ動いていました。
其処に、夕飯時にぼんやりしていた娘の異変に気付いたりんごさんが登場。
いちごの見ていた切り抜きを覗き込み、「神崎美月、良い顔してるじゃない。」と、美月を褒めました。
そして――。
「持ち替えなさい。おしゃもじをマイクに!」
りんごさんに背中を押され、翌日から、いちごとあおいの『アイドル特訓』が始まりました。
神社の境内までの長い階段を駆け上ったり、音楽に合わせてダンスの練習をしたり。
カラオケで歌の特訓を繰り返したりしながら、2人は特訓に励みました。
日々の練習に疲れて、ソファーで寝てしまった娘に、そっとシーツを掛けるりんごさん。
夢に向かって直走るいちごの姿を見て、嬉しそうに微笑みました。
そして、スターライト学園・編入試験当日。
会場には、いちごとあおいを始め、各地から多数のアイドル志願者が、続々と到着。
志願者は、約1000人。もしかしたら、1人も合格しないかも知れない、狭き門です。
立て板に水が流れるかの様に、志望動機を語る受験者。その様子を目の当たりにして、いちごは少し、自信を無くしていました。
しかし、「あなたには、アイドルの匂いがする!」と励ますあおいと一緒に、いちごは『ライブオーディション』に挑戦しました。
オーディション会場入口に設置された机。その上には、多数のアイカツカード。
審査員の指示に従い、いちごは、その中から3枚選び、セルフプロデュース完了。
いちごが扉を開くと、目の前には『アイカツシステム』を司る機器が。
予め選んだ3枚のカードをセットし、光に包まれながらゲートを駆け抜けるいちご。
こうして、最終審査・『入学オーディション』が始まりました。
選んだアイカツカードが、いちごのステージ衣装に変化し、初めてライブステージに立った、いちご。
『一体、どんな仕組みでカードが衣装になるのか?』と言う疑問を持たない事から、この技術は、いちごが生きている時代では一般的な技術だと窺う事が出来ます。
今の科学技術では、到底不可能なこの技術。どうやら、作中では、少なくとも20年前には確立している様です。
(※31話で、レジェンドアイドル・『マスカレード』が活躍していた頃には、既に使用されていた事が判明。)
僕達が、この技術の恩恵に与るには、一体、どれだけの技術革新を重ねる必要があるのでしょうか?
「なかなかのコーデね。」
トップアイドル・神崎美月の隣でステージを見学していたのは、学園長・光石織姫さん。
レジェンドアイドル・マスカレードの一人・『ヒメ』その人です。
『これが、アイカツステージ…!』
多くの学園の生徒と、ネットを介してスターライト学園のアイドルのファンが見守る中、いちごのファーストステージが、幕を開けました。
曲名は、『アイドル活動!』。作中で頻繁に流れる、定番曲です。
練習の甲斐があり、華麗なダンスと歌声を披露するいちご。
そして、何時の間にか、いちごの身体から花弁の様なオーラが発せられました。
『楽しい!此処に居たい!!ずっと!!!』
いちごの心の中で、ステージに対する興奮が最高潮に達した瞬間、いちごは『スペシャルアピール』の一つ・キュートフラッシュを、無意識に放っていました。
「入試でスペシャルアピールを出すなんて、余程、レッスンしたのかしら?」
「星宮いちご。」
学園のトップアイドルが気に掛けた生徒の名を、そっと教える学園長。
今を思えば、学園長はいちごの姿に、かつてのパートナー・『ミヤ』を重ねていたのでしょうか?
『面白くなって来た!早く、私の所まで、登って来て!』
入試でスペシャルアピールを出すと言う、滅多に無い事をやってのけたいちごに、何かしらの可能性を見出した美月。
いちごがアイドルとして、自分と肩を並べる迄に成長する事を、心から望んでいる様です。
編入試験の結果は、いちごとあおい他8名・合計10名が合格を果たしました。
お互いの合格を確認し、抱き合って喜びを分かち合う2人。
その周囲には、落選し、肩を落とす受験者達が。
どうやら、残り8名の合格者は、周囲には居ない様です。
『こうして、私とあおいのアイドル活動・アイカツが、幕を開けた!』
その直後、いちごとあおいの様子を窺う、謎の女生徒の影が。
しかし、2人は、その視線に気付きませんでした。
「やれやれ…。仲良しで居られるのも、今の内だよ。」
何かを悟っているのか、或いは諦めているのか?
いちご達の喜ぶ姿を見ながら呟き、静かに立ち去る女生徒。
『美しき刃』と呼ばれる1年生・紫吹蘭。
この後、いちごとあおいの親友になる事を、今はまだ、知る由もありません。
こうして、いちごとあおいの『アイカツ』は、始まりました。
2人を中心に、今後、どんな展開になるのでしょうか?
※当初は、簡単に書くつもりが、何時の間にか『普段通り』の感想の長さに。自分でも驚きです。
でも、このペースでは到底追い付かないので、次回はきっと、短い感想になると思います。
たとえ短い感想でも、メリハリをつけたモノが書ければ良いなぁ、と思っています。