民法がわかると会社法はもっと面白い!(新刊のご紹介)
ちょうど4年まえにエントリー「楽しい会社法学習法」のなかで、「楽しく使う会社法」をご紹介した木俣由美先生(京都産業大学法学部教授)の新刊書です。2007年から2011年まで、第一法規さんの「会社法務A2Z」で連載されていたものに加筆修正をされて、一冊の本にまとめられたものでして、私はほぼ毎月連載時に拝読しておりました。
ビジネス実務に関わる法律上の論点は、我々法律家であれば「民法的発想」で考えるのが当たり前のように思うのでありますが、なかなか企業実務家の方々には難しいところであります。ビジネスの世界では、紛争が長期化したり、弁護士に解決をゆだねる、といったこと自体を回避することが重要なのでありますが、たとえば取締役を辞任した後の「権利義務取締役」の概念や、会計上の資産除去債務の引当の必要性や見積もりの合理性判断など、民法上の委任契約や双務有償契約の法的性質が理解できないと、無用な紛争を起こしかねません。そこで、ビジネス法とりわけ会社法の理解に必要な範囲で、民法をわかりやすく解説されたのがこの一冊。
「民法がわかると会社法はもっと面白い!」(木俣由美著 第一法規 2200円税別)
木俣教授については、すでに4年前のエントリーでご紹介させていただきましたので、ここでは多くを語りません。ただ、以前のエントリーをお読みになった木俣教授から、当時メールを頂戴しまして、
「あたしの若い頃について、竹内まりやさんの大学時代にソックリだったなんて、本当のことを書いてくれてありがとう♪」
一部ツイッターでも話題になっておりますとおり、内容はたいへん素晴らしいものであり、実務家向け入門書としては申し分ないものと思うのでありますが、いかんせん「日本笑い学会」理事でいらっしゃるだけあって、ギャグ連発の内容となっており、これは好き嫌いが分かれるかもしれません(^^;;。(私は関西人ですので、こういったナウでヤングな発想は大好きなのですが・・・)。ユミ先生が大学のWEBサイトの「教員紹介欄」で、毎年生年月日を後ろにずらしている、といった件(くだり)は、「実話ではないか?」と疑う読者もいらっしゃるのではないかと、ひそかに心配しております(^^;;。
なお番外編としまして、最近中間整理がリリースされました民法(債権法)改正の論点についても解説がなされております。よくよく考えてみますと、会社法と民法では、学者の先生方も「棲み分け」がハッキリしているために、双方にまたがるテキストというものもあまり存在しなかったのかもしれません。会社法を民法から掘り起こして考えるというスタイルは、とても新鮮に映ります。「これでキッチリ会社法を勉強しよう」と思って会社法テキストを購入してみても、「チョコレートパフェを注文したら、ほとんど中身がコーンフレークだった」みたいな感覚で挫折をした経験のある方にはおススメの一冊であります。
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コメント
恐ろしく内容の濃いブログですね。
読んでいたら、時間を忘れてしまいました。
投稿: 永倉比呂志 | 2011年5月16日 (月) 17時40分
すぐ買ってみました。アフィリエイト的に報酬もらったほうがいいですね。やや、だじゃれ多すぎ感はありますが会社法オンリー野郎にはいいですね。
投稿: unknown2 | 2011年5月17日 (火) 22時31分
出版社からは御礼のメールをいただきましたが、アフィリエイトはもらってまへん。アマゾンは在庫切れになったそうですね。
「だじゃれ多すぎ感」ではなく「だじゃれ多すぎ」ですね(笑)。ときどき琴線に触れるダジャレもあるのですが・・・(^^;
投稿: toshi | 2011年5月17日 (火) 23時24分