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2011年5月26日 (木)

震災後の企業行動が積年の恨みに変わる?

本日、東京の某開示研究会に参加してまいりましたが、長年大手電機メーカーで資材調達に携わっておられ、現在経営コンサルタントでいらっしゃる方のご講義を拝聴させていただきました。主に阪神大震災、中越地震の際の有事の資材調達というご経験からのBCPに関するお話であります。いわゆる「有事対応」というものは、属人的な資質に依拠する部分が多く、マニュアルには書いていないところで事業継続の浮沈が決まるのでは・・・・・と、私自身漠然と考えていたところがありましたが、本日の講義を拝聴して、それを再確認したような気がしました。

ところで、お話のなかで、私が最も「ゾッと」しましたのは、「企業の積年の恨み」に関するものでありました。昭和20年、30年代に事業継続の危機に瀕した会社への取引先の対応、そのあまりにも自己中心的な対応が、今の時代にも尾を引いており、著名な企業どうしの間でも、まったく取引がない、という事例を3つほどご紹介されました。講義後、直接質問させていただいたところ、こういった事例は3つどころではなく、多くの会社で不文律のごとく残っているそうであります。もし「企業の積年の恨みシリーズ」のような本が出たら、私はきっとネット予約してでも真っ先に購入したいですね。

ただ、「ほかの取引先は当社を信用して手形のジャンプをしてくれたのに、○○会社だけは絶対に首をたてに振らなかった」といって積年の恨みをかうことになってしまうのであれば、今の内部統制の時代、積年の恨みをかってでも例外事例を作らないことに執心する企業もありそうな気もいたします。これはまた難しいところではないかと。

社長どうしの個人的な関係から、ある一定期間取引が断絶する、といったことであれば理解できますが、日本を代表するような企業間で、何の経済的合理性もなく、長年取引がまったくなされない、というのはとても違和感を覚えるものであります。もう50年、60年も前に受けた仕打ちを肌で覚えているような役職員は存在しないにもかかわらず、組織というものは、こういった過去の恨みのようなものも引き継いでいくのでしょうか。

被災地もしくは被災地周辺地域に本拠を置く取引先企業の安否を気遣う電話の内容ひとつとっても、当社へのイメージがずいぶんと変わるそうであります。こういった応対は、決してBCP(事業継続計画)で「付け焼刃」的に身に付くものではなく、普段からの(平時からの)サプライチェーンに対する接し方、つまり当該企業の企業風土に依存するところが大きいようです。CSR経営というのは、どちらかというと前向きな企業行動の印象を持つわけですが、ひょっとすると事業のリスク管理という側面も重要なのかもしれません。

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