エス‐ダブリュー‐エヌ‐ティー【SWNT】
読み方:えすだぶりゅーえぬてぃー
単層カーボンナノチューブ
【英】Single-Walled Carbon Nanotube, SWNT
カーボンナノチューブとは、グラファイトシートが円筒状に巻かれた形をした一層のチューブのことである。
カーボンナノチューブ(CNT)は「単層カーボンナノチューブ」と「多層カーボンナノチューブ」に分類されるが、単層カーボンナノチューブは外径が数10オングストローム(数ナノメートル)長さは数μmであることが多い。巻き方によって、導体になったり半導体になったりします。他方、多層カーボンナノチューブは、外径が数100オングストローム(数10ナノメートル)、内径が数10~100オングストローム、長さが数ナノメートルであることが多い。
カーボンナノチューブ
単層のものをシングルウォールナノチューブ (SWNT)[注 1]、多層のものをマルチウォールナノチューブ (MWNT)[注 2] という。特に二層のものはダブルウォールナノチューブ (DWNT)[注 3] とも呼ばれる。
概略
カーボンナノチューブはその細さ、軽さ、柔軟性から、次世代の炭素素材、ナノマテリアルといわれ、様々な用途開発が行われている。カーボンナノチューブ (CNT) の直径は、0.4~50ナノメートルである。非常に高い導電性、熱伝導性・耐熱性を持つことを特性としている。 樹脂やゴム、インクや塗料など、通常は熱や電気を伝導しない素材への応用が見込まれる。 長尺になると少量でも導電性や熱伝導性を発揮し、強度も高くなる[1]。
構造
カーボンナノチューブは、基本的には一様な平面のグラファイト(グラフェンシート)を丸めて円筒状にしたような構造をしており、閉口状態の場合、両端はフラーレンの半球のような構造で閉じられており5員環を必ず6個ずつ持つ。5員環の数が少ないため有機溶媒等には溶けにくい。7員環が含まれる場合には内径が大きくなり得るため太さの違うCNTが形成され、8員環では枝分かれ状の構造も作り出せると考えられている。チューブは筒のような構造のためキャップを焼き切るなどにより中に様々な物質を取りこむ事ができる[2]。ナノチューブとフラーレンが結合したカーボンナノバッド[注 4]という形も理論的には予測されている[3]。
最も基本的な単層カーボンナノチューブの表面はグラフェンシートの表面図のようになっており、そのグラフェンシートの幾何学的構造の違いによって3種類のカーボンナノチューブが成立するとされる。グラフェンの六角形の向きはチューブの軸に対して任意の方向にとれるため、このような任意の螺旋構造の対称性を軸性カイラルといい、グラフェン上のある6員環の基準点からの2次元格子ベクトルの事をカイラルベクトルと呼ぶ。カイラルベクトルは以下のように表される。
エレクトロニクス
半導体
燃料電池
光学機器
構造材料
その他
- 炭素の他の同素体
- ナノテクノロジー
- カーボンナノチューブ黒体
- バッキーペーパー
- 軌道エレベータ
- ミルドレッド・ドレッセルハウス
- 飯島澄男
- 遠藤守信
- 畠賢治
- リチャード・スモーリー
- 斉藤理一郎
- 片浦弘道
外部リンク
- 世界を変えるか・驚異の新素材カーボンナノチューブ at the Wayback Machine (archived 2019年1月1日)2023年9月5日閲覧。
- 同 (2) at the Wayback Machine (archived 2018年11月1日)2023年9月5日閲覧。
- カーボンナノチューブとナノテクノロジー at the Wayback Machine (archived 2010年2月17日)2023年9月5日閲覧。
- 大阪府地域結集型共同研究事業 「ナノカーボン活用技術の創成」2023年9月5日閲覧。
- ナノチューブはアスベストに似た健康被害を及ぼす恐れ、ネイチャーに研究発表 at the Wayback Machine (archived 2008年5月26日)2023年9月5日閲覧。
- 産業技術総合研究所、ナノテクノロジー・材料・製造分野 at the Wayback Machine (archived 2015年3月28日)2023年9月5日閲覧。
- 産業技術総合研究所 ナノチューブ実用化研究センター at the Wayback Machine (archived 2016年3月9日)
- 単層カーボンナノチューブの特性評価[リンク切れ] - シグマ アルドリッチ
- 単層カーボンナノチューブの構造と応用(CoMoCAT法) - シグマ アルドリッチ 2023年9月5日閲覧。
- 『カーボンナノチューブ』 - コトバンク